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【ロンドン福本容子】世界の主要国で今年最も株が下落したのは?答は日本ではなく、意外にもドイツ。指標のDAX指数は年間約45%の下落で、ニューヨーク市場・ダウ工業株30種平均の17%、日経平均株価の18.6%、ロンドン市場・FT100指数の27%を大幅に超える下げ率を記録した。
日本と同じく、雇用制度が硬直的な点や、米英と比べ経営者が人件費削減に動きにくい環境があることも問題視されている。03年後半に景気が上向くとの見方はあるが、株式市場は米相場が下落するたびに大幅な値下げを続け、日本以上の悲観ムードに包まれている。[毎日新聞12月30日] ( 2002-12-30-20:06 )
ドイツでは、すでに「日本病」に感染したのではという懸念が広がっている。たとえば、不良債権の処理に苦しむ銀行が貸し渋りをしている点だ。メリルリンチのリポートは最近、「ドイツの銀行は日本化している」と警告した。日本の「デフレ病」の三つの主な症状のうち二つが既にドイツに現れている。一つは生産の縮小、もう一つは物価の下落だ。ただし、三つ目の通貨供給量の減少はドイツでは起きていない−−−今のところは。(ニューズウィーク日本版11月6日号)
ドイツの日本化を示す指標はほかにもある。このほど、欧州委員会がEU(欧州連合)経済に関する恒例の「秋季経済見通し」を発表した。その一環として取りまとめられた02年に関する各国の財政収支推計をみると、ドイツの財政赤字が今年は対GDP(国内総生産)比で3・8%に達する見込みとなっている。日本の場合にはこれが8%を超えているから、それに比べればまだまだマシだ。だが、EUの中でみれば突出して悪い。(浜矩子・同志社大学教授)
日本病がドイツにも感染し始めた。銀行の不良債権の増大と貸し渋り、所得の低下と増える失業、さらには財政赤字の増大はまさしく日本病の特長だ。それにもまして株式の暴落はドイツにとって悪夢を見る思いだろう。バブルとは無縁のドイツ経済がなぜ日本病に罹るのだろうか。
ドイツは通貨統合によりマルクからユーロに切り替わった。その時にドイツマルクは割高に交換され、ユーロ通貨圏でマルク高が固定されたようになってしまった。輸出してもユーロ圏外からの受け取り金額がそれだけ目減りする。マルクの時代なら切り下げ効果で調整されたが、ユーロになってからは為替変動でドイツだけの調整が出来ない。
東西ドイツの統一は、旧東ドイツ地区への投資や、資本主義化された東ヨーロッパ諸国への、ドイツからの投資が期待された。その際にドイツの銀行の融資は当然大きく膨らみ、バブルと同じ状況になったと思われます。しかしながら膨らんだ投資の中には、当然上手くいかなかった投資が不良債権化してドイツの銀行に重くのしかかっている。
旧東ドイツへの政府の開発投資も、巨額の政府出資を強いられ、その反面、旧東ドイツ地区からの税収は望めない。ドイツの国際企業も東ヨーロッパなどへ投資したものが利益となって収益に結びつくのは先の話だ。それらの企業の用地買収も重い負担となり、さらには建設投資の縮小が円滑に行われていないようだ。日本の公共事業と同じ結果をもたらしている。
日本病はドイツのみならずアメリカにも感染が広がってゆくだろう。経済のグローバル化は日米独の先進工業国から、通貨も人件費も安い諸国へ生産拠点を移動させる。アメリカの場合その穴埋めをベンチャービジネスなどの新しい産業が行ったが、日本やドイツなどは新しい産業への労働者の移動が上手くいっていないようだ。
しかし新しい産業とは何なのか、アメリカを見てもその実態がはっきりわからない。「IT革命」のように新しい産業のように見えて、幻想に終わる可能性がある。日本でも竹中大臣がIT産業で500万人の雇用創出と言っていたが幻に終わった。
アメリカも利下げと減税で自動車や住宅の購入が盛んだが、連邦政府がこのような景気対策を打っても、地方政府の税収の落ち込みが不動産への増税につながり、その結果不動産バブルも弾けてアメリカの銀行も不良債権の増大に苦しむだろう。アメリカも日本病とは無縁と言うわけにはいかない。
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu42.htm