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News ID : NAA2620 12/26 11:52
東南アジア景気、政府見通し二極化内需で明暗、治安懸念も
【NQNシンガポール=伊藤和之】イラクをはじめ国際情勢の緊迫化などで世界的に先行き不透明感が一段と強まる中、強気だった東南アジア各国政府の景気見通しが二極化してきた。個人消費など内需が堅調なマレーシアとタイが2002年の実質国内総生産(GDP)見通しを上方修正する一方、シンガポールとインドネシアは従来見通しを引き下げ、2003年についても慎重な見方を示した。
シンガポールは不動産市況の悪化が続き、消費低迷で物価も下落傾向にあるなど内需が低迷、外需の落ち込みを補えずにいる。インドネシアは10月12日にバリ島で発生した爆弾テロの影響が響く。
「算出ミスではないか」――。10月10日のシンガポール株式市場は、通産省が発表した7―9月期の実質GDP暫定値を受けて動揺した。前年同月比3.7%増と2四半期連続のプラス成長を達成したものの、市場の事前予想の同6%台半ばを大幅に下回ったからだ。前期比年率換算は10.3%減と、4―6月期の13.2%増からマイナスに転じた。暫定値は7、8月のデータに基づく推計値で、鉱工業生産などの経済指標では景気減速の兆候が乏しかった。11月18日発表の速報値も大きな修正はなく、政府は2002年通年見通しを引き下げた。2003年の政府見通しはレンジが広く取られ、政府高官は景気の下振れ懸念にも言及した。
バリ島テロ事件は東南アジア諸国にイスラム過激派が存在するリスクを改めて意識させた。フィリピン・ミンダナオ島でも爆弾テロが発生するなど爆弾騒ぎが相次ぎ、治安に対する不安が広がった。テロ直後にバリ島のホテル稼働率が14―15%まで低下するなど観光事業が被った打撃は大きく、海外からの資金流入を阻害する要因になるとの警戒感も高まった。実際にインドネシア政府は2002年見通しの下方修正を迫られた。一方、タイは仏教徒が国民の9割強を占めるとあって悪影響は少なく、政府が景気の先行きに強気な姿勢を維持する一因にもなっている。
市場では政府の強気見通しが崩れた国の政策対応に注目が集まっている。2003年は、シンガポールの中央銀行である金融通貨庁(MAS)が1月2日に発表する通貨政策が最初の焦点になりそうだ。
東南アジア景気、政府見通し二極化 各国の予想(表)
東南アジアの実質国内総生産(GDP)の実績と政府見通し
実 績 値 政府見通し
2000年 2001年 2002年
1-3月4-6月7-9月 2002年 2003年
シンガポール 10.3 ▲2.0 ▲1.5 3.8 3.9 2.0-2.5 2.0-5.0
↓2002年見通しを3.0-4.0%から下方修正(11月19日)
マレーシア 8.3 0.4 1.1 3.9 5.6 4.0-5.0 6.0-6.5
↑2002年見通しを3.5%から上方修正(9月23日)
タイ 4.6 1.8 3.9 5.1 5.8 4.9 3.5-4.5
↑2002年見通しを4.0-4.5%から上方修正(12月17日)
インドネシア 4.9 3.3 2.4 3.8 3.9 4.0未満 4.0
↓2002年見通しの達成困難と予想(11月15日)
フィリピン 4.4 3.2 3.7 4.8 3.8 4.0 4.2-5.2
→2002年見通しの達成に自信(11月28日)
(注)単位%、▲はマイナス。通年は前年比、四半期は前年同期比。実績は速報値を含む。マレーシアの見通しは中央銀行。タイの2003年見通しは12月16日時点。矢印は従来見通しに対する直近の判断の方向を示す。
クイックより