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須田慎一郎氏:三井住友銀行「奇策」に意義 大義なき「わかしお銀が存続会社」 [株ZAKZAK]
投稿者 あっしら 日時 2002 年 12 月 26 日 17:11:21:

(回答先: みずほ&三井、国有化へ迷走しつつ接近 貸し剥がし、奇策合併進めても結局は… [株ZAKZAK] 投稿者 あっしら 日時 2002 年 12 月 26 日 17:09:01)


 「行内的にも、侃々諤々(かんかんがくがく)の議論があったことは間違いない。奥正之専務が記者会見の席上いみじくも言ったように、行内的には何もそこまでしなくとも、という意見が大勢を占めていたことも事実。最終的には、西川善文頭取の決断によって両行の合併は決まった−−」

 三井住友銀行経営中枢幹部がこう言ってみせる。


 昨日(12月25日)午後、三井住友フィナンシャルグループ(三井住友FG)は、グループ企業の三井住友銀行と同行の100%子会社であるわかしお銀行を来年3月に合併させると発表した。


 とここまでなら、特段驚くようなニュースではない。しかし注目すべきなのは、以下の部分だ。


 この合併の登記上の存続会社をわかしお銀行とする−−。


 「まさに“奇策中の奇策”と言っていいだろう。つまり、『小が大を飲み込む』という企業合併の典型例だ。そしてこの合併の狙いが、“合併差益”を得ることだけにあることは間違いない。はっきり言って、それ以外に大義名分はないことは明らかだ」(他メガバンク企画担当役員)


 この合併によって、三井住友FGは、約2兆〜2.5兆円帳簿上の利益(合併差益)を捻出させることが可能となる。


 三井住友FGとしては、この合併よって生じる“合併差益”を、三井住友銀行が抱える株式や不動産の含み損の処理に充てるとしている


 「現在、三井住友銀行は約1兆円強にのぼる株式の含み損を抱えているのが実情だ。この“株式含み損”は、昨年度から導入された時価会計制度によって自己資本−−正確には余剰金の減少を招くことになる。この余剰金の減少の結果、場合によっては配当原資の枯渇という事態も招きかねない。すべては株価次第ということになる。株価低迷という状況が続く中、三井住友FGが“配当原資枯渇リスク”にさらされ続けることは間違いない−−」(三井住友銀行幹部)


 そして仮に配当原資枯渇という事態に陥ってしまったならば、優先株という形で公的資金を導入している三井住友銀行は“国有化”もしくは“準国有化”という状況に追い込まれることになる。


 「簿価ベースで4兆6000億円にものぼる株式を保有している三井住友銀行にとってこうした一連の“株価変動リスク”にどう対処するかが、経営上の最重要課題となっていた、と言えるだろう。しかも、配当原資の枯渇−−無配転落となった場合に、竹中平蔵金融担当相率いる金融庁がどのような対応を取ってくるか、全く見通せないというリスクもあった。そうした一連のリスクを一挙に解消するための“秘策”といえるのが、今回決定したわかしお銀行による三井住友銀行の“吸収合併”だったのだ」(三井住友銀行幹部)

 しかしこれは単なる“会計上のマジック”でしかない。


 筆者に言わせれば、経営判断としては“下の下”の策だ。銀行経営の“王道”から大きくはずれていることは間違いない。


 「しかしそうした奇策をとらざるを得なかったのも、それだけ三井住友銀行が追い詰められていたことの証明となる−−」(他のメガバンク役員)


 さて、こうした“奇策”に対してマーケットはどのように判断するのだろうか。まさに要注目だ。

2002/12/26



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