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わずか半年で5兆円減のみずほ、2兆円減の三井住友…メガバンクの中小企業に対する冷酷な貸し剥がしの実態が明るみに出た。業務改善命令も視野に入り、中小向け融資拡大を迫られる一方で、不良債権処理加速の重荷も背負うメガバンクは、まるで錬金術のような奇策を次々と打ち出すが、「国有化」危機は依然、予断を許さない。
金融庁の発表によると、公的資金注入を受けた大手7銀行・グループの9月末の中小企業向け融資残高は、3月末時点から9兆円も減少した。
圧倒的なのは5兆円減となったみずほ銀行とみずほコーポレート銀行の2行だが、三井住友銀行の減少額も1兆9408億円。みずほと三井住友で全体の8割を占めている。
平成10年、11年に国民の血税である公的資金注入の際に中小向け融資の増額が義務付けられており、金融庁は“事情聴取”したうえで、年度内にも業務改善命令を発動する可能性が高まっている。
銀行側は融資残高減の理由を「中小企業の資金需要が低調なため」と主張する。優良な大手企業系列の中小企業が融資の返済を進める一方、16年度での不良債権問題終結という大きな課題があり、融資を欲しがる企業には危なくて貸せないという事情もあるようだ。
金融当局の矛盾した政策が銀行を苦しめているのも事実だが、不良債権処理の加速を掲げるハードランディング論者の竹中平蔵金融・経済財政担当相が就任する前の9月末時点でこの数字だけに、言い訳は許されない。
公的資金注入を受けている大手行従業員の平均給与の月額についての資料では、三井住友銀行は当初計画が50万2000円だったのが、実績で50万円と微減したものの、最も高い水準。みずほにいたっては、当初計画の48万円から、実績が49万1000円と、唯一、増加しているのだ。
みずほについては、希望退職者に、なんと給与の40カ月分が割増分として、通常の退職金に上乗せされる。他行も同様の制度のようだ。公的資金を受け、中小企業から貸し剥がししておきながら、銀行自身の大甘なリストラぶりは際立っている。
貸し渋りや貸し剥がしの実態を公表して揺さぶりをかける竹中・金融庁に対し、三井住友銀行で、100%子会社の第2地銀に「吸収合併」されるという奇策で対抗する。
約2兆円の合併差益が生まれるという会計数字のマジックで、保有株の含み損を一掃するのが狙いだが、当の三井住友フィナンシャルグループでも「そこまでしなくてもと思っていた」(奥正之専務)との声が出るほど。
まるで錬金術のような手法だが、「右から左に移しただけで実態は何も変わらない。さらなる株安が進めば含み損もまた増える」(金融担当アナリスト)。自己資本比率向上を狙ったあおぞら銀行買収など、プライドをかなぐり捨てた策は、むしろ危機感の強さが浮き彫りになるだけだ。
みずほもグループ再々編、UFJグループもメリルリンチやトヨタ自動車からの資金導入を進めるが、いずれも苦し紛れとの印象が否めない。国有化をめぐる竹中氏とメガバンクのバトルは、泥沼化してきた。