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ワシントン12月19日(ブルームバーグ):グリーンスパン米連邦準備制度理事会(FRB)議長は19日、ニューヨークのエコノミッククラブで講演、「企業信用の拡大は設備投資の動意の兆候かもしれない」と指摘、個人消費とともに米経済の2本柱になる企業の設備投資が動き出す可能性があるとの期待を表明した。しかし、同議長は一方で、企業の価格決定力は引き続き抑制されていると語り、設備投資の源泉となる企業収益改善に対し不透明感があり、「企業設備投資が動き出したと言うのは早すぎる」ことを認めた。
グリーンスパン議長は「11月以来の限られた兆候は、同月の利下げにより米国経済が軟弱局面を切り抜けつつあるというわれわれの見解を支持している」と慎重ながらも、自信を示した。ただ、同議長は一方で、「企業は雇用拡大に消極的で、製造業はとりわけ沈滞している」とも語った。
こうした経済の弱さの半面で、「低金利と生産性の向上により経済活動が顕著に支えられている」と指摘。特に「新築住宅販売には金利低下の効果が強く表れ、また、自動車販売も融資金利の引き下げと販売促進策によって支えられてきた」と述べ、米景気が低金利を背景とする個人消費にもっぱら頼っていることを認めた形だ。
技術革新がデフレ要因にも
グリーンスパン議長は8月末の講演で、2000年春にかけての株式バブルの予測は「中央銀行にとっては不可能だった」と釈明していたが、この日の講演では、バブル破裂からデフレに至る可能性について詳述。「バブル破裂を確認した2001年1月から開始した大幅利下げの最終効果を判定するのはまだ時期尚早」と述べ、11月13日の議会証言で言明した「0.50%の利下げは保険」という自信は後退し、より慎重な姿勢に転じた。
グリーンスパン議長はさらに、「通貨と価格の関係を複雑化する要因が増えている」と指摘。その要因として、1)グローバル化に伴う供給力の国際市場への拡散、2)急速な技術革新に伴う潜在的な生産力の増強――を挙げた。「こうした供給力のシフトが通貨と価格の関係に影響を与えている」と述べた。
同議長は、生産性の向上がニューエコノミーをもたらしたと真っ先に主張して、90年代後半の大幅な景気拡大の象徴的存在になったが、この日は、「われわれの効率性を高めた技術革新そのものが、新たなチャレンジを突きつけている」と説明。生産性の向上が、デフレ要因に発展する危険性を認識していることを明らかにした。
ワシントン 山広恒夫 Tsuneo Yamahiro