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破たんしたゴルフ場を買収して、再生させるビジネスが活発化してきた。外資による買収が中心だったが、国内企業もファンドを作り、参入を急いでいる。ただ、会員権の販売で集めた預託金が、再建に向けて、大幅にカットされ、会員との間にトラブルが起きている例もある。景気低迷が続く中で、経営環境も依然、厳しく、再生には課題も多い。(金田 浩幸)
◆短期売却は否定◆
ミサワリゾートは11月、UFJ銀行、野村証券系の投資会社と共同で、経営難の国内ゴルフ場を買収する50億円のファンド設立を決めた。3年以内に5―7社を買収する。「短期的に売却して利益を上げるのではなく、コスト削減などを通じ長期的な目標で事業を立て直したい」(ミサワリゾートの星野幸男運営事業部長)と説明する。
国内勢では、ゴルフ場経営大手の太平洋クラブも4月までに破たんした3コースを買収した。リゾートホテル運営会社のリゾートトラストも「ホテルと相乗効果が見込めれば、手を広げたい」と意欲的だ。
◆倒産が急増◆
民間信用調査機関・帝国データバンクによると、今年のゴルフ場経営会社の倒産件数は11月末で97件で、過去最高だった昨年1年間(53件)の約2倍に達した。バブル期に計画されたゴルフ場が、会員から預かった預託金の償還期を迎え、返還できない例が相次いでいるからだ。こうした事情があるため、破たんしたゴルフ場が債務をカットした後で、買収に乗り出せば、十分に利益は期待できる。
買収に先鞭(せんべん)をつけたのは外資系ファンドだった。米ゴールドマン・サックス(GS)グループは、97年に和議の申請をした日東興業グループ(本社・東京)を昨年末、買収した。GSは今年2月に会社更生法の適用を申請したスポーツ振興(本社・大阪)の支援にも名乗りを上げており、ここも傘下に収めれば、国内では西武グループ(44コース)を抜いて、最大のゴルフ場経営会社となる。
GSは「一括運営すれば、スケールメリットも大きい。来年には100コースに増やし、将来は株式上場したい」(買収担当者)と事業拡大を図る構えだ。
ローン・スターグループやリップルウッドなどの投資ファンドも積極的な買収を進めており、関係者によると、過去5年で破たんした約260コース中、約3分の1が、すでに外資系傘下に入ったという。
◆環境厳しく◆
ただ、再建に向けての課題も多い。預託金を巡っては、いったんは和議が認可された日東興業が今年7月、再び民事再生法を申請、その際に「預託金を97・5%カットする」などの再生計画案を作成した。しかし、傘下の一部ゴルフ場では会員が反発しているのが現状で、再生計画に影響を与える恐れもある。こうした問題について、実情に詳しい服部弘志弁護士は「再生には、経営に関する情報開示を進め、会員と会社がより緊密な関係を築くことが重要だ」と指摘する。
一方、ゴルフ場の経営環境も厳しく、日本ゴルフ場事業協会によると、昨年度の利用者数は約9000万人と、ピークの92年度に比べ、約10%減った。消費低迷と企業の接待ゴルフの減少で、各ゴルフ場は値引き合戦を繰り広げている。そこで、再生を進めるためには「どこまで運営コストを削減できるかもカギになる」(国内ゴルフ場会社)といった指摘が多い。
◆預託金 ゴルフ場を開発する際、経営会社が建設資金に充てるため、会員権の販売で集めた資金。おおむね10年間の据え置き期間後、購入者が退会する時に払い戻される契約が結ばれている。国内のゴルフ場が集めた預託金は総額10兆円にのぼるといわれる。
(12月15日23:19)