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不良債権を銀行から買い取り企業を再生させる機関として政府が来春設立する「産業再生機構」(仮称)の運営方針案が22日明らかになった。
リストラなどを通じ3―5年後の黒字達成が可能な企業向け債権だけを買い取り対象とするほか、焦点の買い取り価格は企業の将来性を加味して見積もる米国流の「割引現在価値」(ディスカウント・キャッシュ・フロー=DCF)方式を用い算出、銀行に積極的売却を促すことなどが特徴だ。
産業再生機構は、現在は多額の債務に苦しんでいるが、将来的には経営の立て直しが可能な企業に対する債権(貸付金)を、銀行から買い取る。銀行から不良債権を切り離して金融機能を回復させる一方で、債権を買い取った企業の再生も手がける。
運営方針案では、10項目の基準を明記した。まず、機構は企業に対して3―5か年の経営再建計画の提出を義務付け、再建計画が終了する時点で、経常利益ベースでの黒字達成を求める。
同時に、主要な経営指標の一定水準以上の改善も求める。具体的には〈1〉有形固定資産回転率〈2〉資本金などをどれほど有効に使って利益を生んだかを示す株主資本利益率(ROE)〈3〉人材の余剰度合いを示す従業員1人あたりの付加価値額――などを指標とする。ただ、これら指標には目標数値を設定しておらず、機構が各業界の実情などをふまえ個別企業ごとに判断する。
また、機構は不良債権の買い取り価格について、現行の清算を前提に割り出した債権価値ではなく、DCF方式で算定した価格を用いる。厳格な引き当てをすることで、簿価から引当金を差し引いた「実質簿価」を「適正な時価」とみなし、買い取る価格とする。この価格は、整理回収機構(RCC)の不良債権買い取り価格に比べ数倍の高値となるため、銀行側も売却メリットを得る。
一方、債権買い取り対象となる条件については、「企業が持っている技術やブランド、人材などの事業基盤に収益性と将来性がある」「会社更生法や民事再生法など倒産関連法に基づいた再生を選ぶよりも、多くの債権が回収できる」ことなどの認定が必要とした。政府は、買い取り資金は10兆円程度を用意する方針だ。
機構の運営方針は、今月発足した産業再生・雇用対策戦略本部(本部長・小泉首相)で議論を詰め、年内に正式決定する。政府は年明けの通常国会に産業再生機構設置法案(仮称)を提出。機構は同法に基づいて設定される株式会社(特殊会社)として、当初2年間に集中的に買い取りを進める。設置期間は5年間とする方向だ。
◆有形固定資産回転率◆
企業が経営のために長期間持っている財産のうち、工場の機械や建物、土地などを有形固定資産と呼ぶ。回転率はこれがどのくらい利用されているかを示す数値で、年間売上高を有形固定資産の総額で割って算出する。数値が低いと操業度が低い工場設備や売れない店舗を多く持っていることを意味し、日本企業の多くが低水準に悩んでいる。
(11月23日03:02)