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『【国際情勢を見る手掛かり】 {(近代産業主義 Vs. 近代金融主義) Vs. (イスラム近代派 Vs. イスラム利権派)}という対立図式 − 日本が立っている歴史的岐路 −』( http://www.asyura.com/2003/dispute8/msg/632.html )に続くものです。
先にそちらをお読みください。
独立したレスをいただきたいので、別スレッドにしました。
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イラク攻撃問題から生じている国際対立は、今後どのような対立構図に移行していくかを考えてみたい。
現状の対立構図は、(近代産業主義+イスラム近代派) Vs. (近代金融主義+イスラム利権派)というものである。
{(近代産業主義 Vs. 近代金融主義) Vs. (イスラム近代派 Vs. イスラム利権派)}
という従来的対立構図との大きな違いは、近代主義とイスラムという価値観的区分を超えた“連合”がテーマ限定かつ政治的連携がないまま生まれていることである。
(共通利益に立っているという自覚もないのだから、政治的協議を持つという志向もない)
「対イスラム戦争」のグランド・デザインを書いた人たちがお利口であれば、(近代産業主義+イスラム近代派) Vs. (近代金融主義+イスラム利権派)という対立構造が長期化することを避け、本来の {(近代産業主義 Vs. 近代金融主義) Vs. (イスラム近代派 Vs. イスラム利権派)}に戻そうとするはずだ。
戻すための方策は、イラク占領支配を安定的なものとし、フランス・ドイツ・ロシアなどにもイラクの権益(原油や輸出市場)を開放することである。
「戦争は悲惨だったが終わったことであり、民主化したイラクのためにみんなで協力しようじゃないか」という状況である。
もちろん、どこの国にも不満分子はいるのだから、ごく限られた「テロ」は例外的出来事として受け止められる。
現在イラク攻撃に反対している近代国家も、“国益”に基づいて反対しているのだから、新生イラクと経済取引ができる条件が生まれれば喜んで参入することになる。
この期間を長期のものにすれば、イラク占領政策はフセイン政権の価値観的遺産のおかげでうまくしのげるだろう。
しかし、米英(国際金融家)は、そのような状況を続けてチャンスが熟すのを待つという我慢はないと推察する。(世界経済の動向からそのような余裕を持つことができない)
たぶん、とりあえずイラク占領支配が確立したら、中東全域の「近代化」に向けて、地域の混乱を引き起こすことになるだろう。
サウジアラビアなどイスラム利権派の支配者には、「近代化」を受け入れるのか、それとも、打倒される道を選ぶのかと迫るはずだ。
イランに対しては、シーア派勢力とクルド人勢力を巧妙に利用して混乱を飛び火させる謀略を展開し、「テロ」対策を名目とした軍事介入の機を窺うはずである。
(近代産業主義+イスラム近代派) Vs. (近代金融主義+イスラム利権派)の対立構図が政治的連合になったり、(近代産業主義+イスラム近代派+イスラム利権派) Vs. 近代金融主義という究極的対立構造になるかは、イスラム利権派支配者の動向にかかっている。
サウジアラビアなどの利権派支配層が「近代化」を受け入れれば、その国が内戦状態に陥る可能性が高い。
それなりの還元はしているから、経済利権を貪るだけであればまだ許容できても、イスラムを裏切る挙に出れば統治の正当を認められなくなる。
利権派支配者は統治の正当性をイスラムの擁護者であることに求めてきた。それが、失われる事態は、力と力の争いになることを意味する。
利権派支配者たちがどういう選択をするのか予測するのは難しいが、サウジアラビアはイスラム復古派にシフトするのではないかと思っている。
サウジアラビアがそのような決断を示せば、(近代産業主義+イスラム近代派+イスラム復古派) Vs. (近代金融主義+イスラム利権派)の対立構図になる。
この対立構図になれば、ありとあらゆる価値観論議が世界を覆うことになると予測している。ロシアや東欧スラブ地域では、ロシア正教的価値観が強く出てくるだろう。
「近代」が何なのかを、様々な価値観が問うことになる。
ここに至って今回の戦争が「宗教戦争」であったことが広く自覚されるようになり、「近代」の先にある世界に向けた精神的理論的模索が行われるようになるはずだ。
日本が極めて政治的でかつ理念的な論議に加わることはできるかは予測不能である。