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中東戦争の始まりに想う−死者達に寄せて
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投稿者 すみちゃん 日時 2003 年 3 月 17 日 22:06:23:

    中東大戦の始まりに思う−死者達に寄せて

    まだ3週間あまりの短い投稿歴であるが、私はこれまで努めて感情を抑え、理知的に書くように心がけてきた。  公共の場である掲示板で個人的感情を表に出すことはためらわれたからである。  しかし、今日は感傷的に書かせていただくことにした(今後はあまり投稿しないつもりである)。

   (近代の終わりにアゾレス諸島に集う)
    今朝の新聞によると、米国、英国、スペインの首脳がアゾレス諸島に集まり、最終的な対応策を協議するという。
    この記事を目にしたとき、自分が時代の転換点に立っていることを感じた。  まだ気づいている人は少ないが、我々が育ってきたあの世界は終わったのに違いない。
    なぜなら、この場所を選んだことそれ自体が、次の大戦にかける、なみなみならぬ決意を感じさせるからである。
    それは、ある意味で「近代」を終焉させ、「閉じた世界」を開く決意であるに違いない。  あっしらさんが正しかったようだ。 
        
アゾレス諸島。  それはアフリカ大陸の西岸の大西洋上に浮かぶ群島である。  カナリヤ諸島などと共に、欧州から大西洋を渡ってアメリカ大陸に至る航路の起点であった。  

   「近代」の本格的な幕開けを告げたのは、米大陸発見と先住民の略奪、虐殺である。  例えばラス−カサス「インディオスの破壊についての簡潔な報告」(岩波文庫)を正気で読める人間がいるだろうか?  当時の歴史はほとんど闇に葬られている。  

   カルタゴが北米に植民地を持っていたことはあまり知られていない。
   彼らはスペインからアゾレス、カナリヤ諸島に出て、帆船で北米に渡っていたのである。  コロンブスその他大航海時代の英雄達は、多くがスペインのマラーノであり、古代の地理知識を持っていたから、大陸を「再発見」できたらしい。  スペインの大学には当時の欧州最高の古代知識が蓄えられていた。

近代覇権国は、ヴェネツィア−スペイン(ポルトガル)−オランダ−英国−米国と移行した。  その資本蓄積はアメリカ大陸においてこそなされたのである。  近代500年の基礎は、ここアゾレス諸島にあった。
    それから500年。  明らかに近代が世界を一巡したこのときに、最後に残された宿敵イスラム法支配地域への侵攻に当たり、近代の原点に還る。
    明らかな「黙示」ではないだろうか。

    従って、次の戦争は、中東大戦となるのかもしれない。  世界を戦乱の渦に巻き込むのかもしれない。

(戦没した先祖の墓に参る)
    2年前の7月20日、私は父方の祖父とその弟の墓に参っていた。
    祖父の墓の説明を読む。  昭和19年××月ニューギニア島で戦死。  正確な死因は分からない。  戦史を読むと、おそらくは病死か餓死である。
    祖父の弟の墓を読む。  昭和19年○○月ルソン島沖で戦死。  輸送船の撃沈らしい。
曾祖父、曾祖母の死は、昭和20年代前半である。  こどもは二人兄弟であった。  生きる希望を失ったのに違いない。
     死者達は静かだ。
    
    暑い日だった。  田舎の山中だが32℃くらいある。  竹林の中に集落の墓地がある。  墓地は段々畑のようにつらなっていて、山中深くまでえんえんと続いている。  長い歴史を持つ集落のようである。
    墓を清掃する。  たわしでこすり、水をかけ、きれいに磨いていく。  日中だから結構大変な作業で、目眩がしてきた。  少し休んで読経し、酒を振りかけて寺に戻る。  寺の畳みの上で仮眠。  気持ちの良い風が襖の間をわたっていく。  日本家屋で横になったのは久しぶりだ。

    祖父は戦前に上京し、化学系企業で要職にあったそうである。  実は私の履歴もこれに似ている。 不思議を感ずる。

    父は4人兄弟の長男であった。  戦前は上野精養軒でたびたび会食をとっていたそうであり、裕福な家だったようである。
    終戦時、祖母は肺病を病んでいた。  祖父と大叔父とを同時に失い、曾祖父もショックから倒れてしまい、祖母は路頭に迷い、病死してしまった。
    残された4人兄弟は田舎の孤児院に収容された。
    その場所は現在は山中の草原にすぎず、何も残っていない。

    寺の畳の上で考えた。  あの戦争は何だったのか?  
    なぜ他人の土地を奪う必要があったのか。  なぜ戦争を途中で止められなかったのか?  なぜ軍部は統帥権をタテに暴走できたのか?  なぜ人々は戦争に熱狂したのか?  なぜ新聞雑誌は戦争一色だったのか?
    考えてもよく分からない。
    
    「大東亜戦争」後、真の指導者達は責任をとらなかった。
    主たる責任を軍部に押しつけ、後は一億総懺悔の影に隠れて知らん顔だ。
    
    祖父の無念を想う。  ニューギニアの戦地にあって、4人の子供と病弱な妻を東京に残し、死んでいかなければならない。

    更に考えた。  ブッシュ大統領は(おそらく投票詐欺によって)当選した。  近いうちに戦争が始まるだろう。
    今年は小泉首相が国民に歓呼の声で迎えられた。  彼はアメさんべったりだ。  中曽根さんの直弟子だ。  米国の戦争につきあうだろう。

    今、改めて考える。
    日華事変もこうやってなし崩しに始まったのだ。
    覚悟も準備もないままに、きちんとした議論もなく、なし崩し的に戦争を始めてしまったのだ。
    そして、途中で戦争から降りることができず、ハルノートまで至ってしまった。
    
    今、戦死者に寄せて想う。
    おれ達は、また同じようなことを繰り返そうとしているのに違いない。
    すまない。
    

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