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(回答先: 西尾幹二氏と金完燮氏(『親日派のための弁明』の著者)の対談 投稿者 TORA 日時 2003 年 2 月 01 日 20:49:05)
平成15年1月21日
朝鮮半島の38度線上に用意されている北の地対地ミサイル――生物・化学兵器搭載――の破壊力は、瞬間的にきわめて高いらしい。アメリカも韓国も恐れている。手の打ちようがない。アメリカ政府はどうしてよいか分らない。それなのに、北朝鮮を軍事的に丸裸にするような内容の強引な要求を、「不可侵」と「体制保証」の代償として北につきつけて、北を怒らせている。それが今の状況である。
『諸君!』3月号の中西輝政さんと私との対談のゲラ刷りが今朝送られてきた。前半はこのテーマである。中西さんはイラクの後に北朝鮮を片づけるアメリカの実力を信じ切っている。私は日米安保に対するアメリカの秘かな背信の匂いを嗅ぎつけ、いささかの不安を語っている。意見対立のはっきりした対談となっていて、面白い。
一方『Voice』3月号の「アメリカ政府に問い正したき事」のゲラ刷りは明日届けられ、明後日返却となるが、北朝鮮とアメリカ、金正日とブッシュが互いに似ているという観点を特徴の一つとしている。ただし、左翼進歩派がブッシュを罵倒するために言う類似論では決してない。そんな底の浅い立論ではない。私はいわゆるブッシュ・ドクトリンといわれる「アメリカ合衆国の国家安全戦略」National Security Strategy of the United States (September,2002)の理解者であり、支持者である。対イラク戦争の成功に期待している一人でさえある。
住友商事元理事の粕谷哲夫君がコーエン・スピーチをインターネットで見つけたのを私に報告しようと電話をかけてきて、「アメリカは少しひどいね。」と言った。10分ほど話し合った。
池田俊二さんから次のファクスが入った。
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アメリカの對北朝鮮軟化、いよいよ著しくなってきたやうですね。今朝の産經は、コーエン前國防長官が北核武装容認案なるものについて、日本の國防関係議員に打診してゐたことを報じてゐます。ここまで來たかといふ感じです。
昨年『正論』12月号に先生が「アメリカにとっては國家解體を試みたい優先順位は、明かに北朝鮮よりも、イラクの方が高い」「北朝鮮が今のままであるのはアメリカには一番有利かもしれない」とお書きになったのを讀んで虚をつかれた思ひがしましたが、今改めてその慧眼に感じ入ってをります。
これも先生にヘはったことですが、ブッシュの「惡の樞軸」發言に驚き慌てて、日經の元記者を解放した(そしてその延長として、拉致も認めた)とすると、日本としては、アメリカの北を抑へこむ(もしくは、解體する)意思と力が最大のョりですが、その肝腎のアメリカがかくまでやる氣をなくし、それを北に讀まれてゐたのでは、拉致問題の進展なぞ到底望めませんね。萬景峰號の入港とか北への送金とかを差しとめるなど自力でやらうと思へばやれることもあるかもしれませんが、今の爲政者にそれを期待することはできませんし、假にそれをやらうとしても、アメリカと呼吸が合はなければ成果はえられないでせう。
自國民が誘拐されたら相手國に踏み込み叩きのめした上で取り返すー―さういふ當り前のことがやれるだけの實力を養ふことを怠ってきた報いとして、我等アホ―な日本人は諦めるしかないのでせうか。
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池田さんのいつもながらの辛辣で、少し屈折した文章の趣きは面白い。日本に入港する北の船は年間1000艘もあるそうである。入港禁止、すなわち経済封鎖は戦争以上に効果があるので、日本人はみな断固やるべしというが、北が「宣戦布告」とみなすと言っているのは脅しではない。体制に致命傷となるのは、どうやら真実であるらしい。
けれどもこの船でメロンやパパイヤを取り寄せ、空便で伊勢蝦やブルゴーニュワインを運ばせるなど、世界中から最高級の食材を集めているあの男。酒を飲んでも身体をこわさない新薬の人体実験をするために、自分に似た体型の人物を選んでモルモットとしたそうだ。国家予算の三分の一が金父子の長寿研究と贅沢品蒐集と性愛施設に注がれてきた。余りにもバカバカしく、筆にするのもおぞましい。
アメリカはじめ核保有国がそのうえ8個の核爆弾をこの男に与えるほど、21世紀の文明は早くも出口を失っているのだろうか。
(西尾幹二のインターネット日録)
http://nitiroku.hp.infoseek.co.jp/