現在地 HOME > 掲示板 > 議論・雑談6 > 286.html ★阿修羅♪ --> |
|
(回答先: あっしらさんへ 投稿者 jimmy 日時 2003 年 1 月 09 日 22:15:53)
jimmyさん、お久しぶりです。
副島隆彦氏サイトの「今日のぼやき」(無料版)ではご指定の内容が見あたらなかったので、jimmyさんが要約?していただいた内容をベースに思うところを書きます。
1)副島氏の論考部分
● 北朝鮮を背後から動かしているのは中国か?
9・17の小泉首相訪朝時点から書き込んでいるように、北朝鮮を背後から動かしているのは米国だと考えています。
外資と対米&対日輸出を基礎にした「経済成長第一主義」に走っている中国が、北朝鮮を使って軍事的緊張を増大させるようなことをするとは考えられません。
中国政府は、思想的歴史的経緯そして何より地理的条件から「北朝鮮放置政策」がとれないだけで、本音はあまり北朝鮮にかまいたくないはずです。(北朝鮮地域が“韓国”のように米軍駐留地域になるのは避けたいとは思っているでしょうが...)
そのようなことから、「NSC(エヌ・エス・シー 国家安全保障会議)は、中国の経済成長と軍事的膨張を封じ込める為に、新たに日本と韓国と台湾を使い、東アジアにおいて、戦争はやらないが、一触即発の緊張状態を持続させる新たな冷戦(ザ・コールド・ウォー)構造を構築する事を決定したようだ。」という見方に与することはできません。
まず、この10年を顧みれば、米国が「中国の経済成長」を阻止したいと考えて行動しているとは言えず、逆に、父親ブッシュ大統領が天安門事件から3年後に最恵国待遇を付与したことに象徴されるように、中国を日本に対抗する「世界の工場」として世界経済システムのなかに組み込む政策を採ってきています。
中国の軍事的膨張は、それが、米国の軍力力を凌駕するレベルになったり、米国(国際金融家)の利益を脅かすかたちで行使されることは防止するでしょうが、米国の軍事力強化の大義名分として利用できると考えているはずです。
米欧日の外資導入と米欧日への輸出で経済成長を実現している中国が米欧日に軍事的敵対活動をめざすと考えるのは、それほど現実的なことではありません。
米国が、戦後アジアの“トゲ”である台湾問題と朝鮮半島問題をどのように処理しようと考えているのか明確には見えませんが、中台及び南北が問題解決を図るのなら、それをことさら阻害しないという考えに傾いていると思っています。
(戦後アジアの“トゲ”は、覇権国家米国が世界戦略をスムーズに推し進めるための“分断政策”として植えつけられたと考えています)
台湾問題にしろ、朝鮮半島問題にしろ、米国は、その行方注視し、問題解決後も有利なかたちで関与できるようその過程に関わるはずです。
個人的には、ここ数年で、台湾問題と朝鮮半島問題は解決の方向性が見えると思っています。
そして、前に書いたこともありますが、アジア地域の“軍事的政治的安定”をめざした「米中同盟」も空想ではないと考えています。
日本のように資金を負担してくれるところは別ですが、米国が世界中に軍事力を展開し続けるという状況は、米国経済の動向からそれほど続かないと予測しています。
中国がそう意識するかどうかは別として、米国(国際金融家)の掌の上でアジア地域の政治的盟主としてふるまう可能性が高いと思ってます。
(日本は、東アジア通貨基金構想などで見られるように、そのような地位に就くことをことごとく米国に反対されましたし、日本自身も、そのような地位に就く条件と体制を築いてはきませんでした)
※ 参考資料:朝鮮半島問題に関する米国支配層の考え方
『【朝鮮半島問題に関する米外交問題評議会タスクフォースリポート】「水面下の日朝交渉」が始まる直前にCFRから提起された対北朝鮮政策 【透けて見える日朝交渉の裏側】』( http://www.asyura.com/2002/dispute6/msg/123.html )
● 日本にとってのTMD構想
米国が日本をTMD構想に引きずり込もうとしているのは、資金目当て以外のなにものでもありません。開発と装備にかかる厖大な資金を日本に負担してもらうということです。その名目として、北朝鮮のミサイル問題はうってつけです。
副島氏は米国が日本の核武装を進める(容認する)という見解を示していますが、TMDの資金負担や配備は求めても、米国が日本に攻撃型核武装を容認することはないと考えています。
(副島氏の考えに立つならば、中国が核武装した時点で日本の核武装を進めたはずです。衛星打ち上げ能力を持つ日本が核武装するということは、米国本土も射程範囲になるということです。歴史がどう動くかは不確かなのに、米国が、そのような危険な選択をするはずがありません)
個人的には核武装派ですが、日本政治の現状を考えると、「私は、だから簡単にアメリカの手にのってはならない、と思う。日本は現状維持(平和憲法維持、という政府・官僚の答弁)の振りをして、アメリカの手には乗らないほうがいい。TMDに載せられる形での核武装と憲法改正を、アメリカから上手におしつけられるのは、御免である。ここは微妙な駆け引きとなるが、ズルズルと日本政府はやり続けるだろう。アメリカの手に乗って、勇ましいことを言う者が一番のアホである。」という副島氏の考えに近いものを持っています。
● 日米関係と日中関係
>なお、経済面では、中国を封じ込めるために日本を少しだけ大事にするという事で、
>1990年代を通じて行使され、見事なまでの成果をみせた日本経済の弱体化を推進する
>という戦略を変更し、日本の経済復興をこれからは後押しするという方向に転換を図
>りつつある。
このような見方はできないと思っています。
4000億ドルの経常収支と6兆ドル超の政府債務そして今後毎年2000億ドルの財政赤字が予測される米国経済を考えたとき、米国民の物質的欲求実現を維持するためには、“安く輸入できる財”が必要です。
ドル安円高になる可能性を考慮すれば、対米ドルレートが固定されている中国からの輸入が救いとなります。
日本は、金融資産を中心とした収奪の対象と見られていると考えています。
副島氏も、「ただし、それをニューヨークの金融財界とその先兵であるハゲタカ・ファンドが了解して、この後の日本企業と金融機関の乗っ取りを諦めるか、といえばそれはまだ分からない。みすみす旧来の10分の1のバッタ値段の超安価で買えるものを見逃すだろうか。今は、全国各地に放置されているバブル時代に大型プロジェクトとして建設されたホテルやゴルフ場をリップルウッド・ホールディングズらが買いあさって再建して儲けようとしている」と留保していますが...。
>これ以上日本の経済をいじめて弱体化させると、本当に日本の国力が衰えて、中国に
>対する対抗力にならなくなり、リージョナル・パワー・バランス(地域勢力均衡)が
>崩れるからアメリカの世界管理にとって有害だと判断したようだ。
米国自身が対抗力であり、日本を中国の対抗力として位置づけていたわけではないので、このような見方をとりません。
(日本は、それほど危なくない武器のお得意先として位置づけられてきただけです)
2)jimmyさんの論考部分
金融破綻からデフレ・スパイラルに突っ込んでいった日本経済は、jimmyさんがご指摘のように重態です。
>もし副島氏の情報が正しいとすれば、米国は自国の国益のため、日本の国家破産を阻
>止する対日経済政策を実行する事になりますが、具体的にはどのような政策を米がと
>れば、日本は再生するのでしょうか?
持論は、下の方のスレッドで書いていますので省略します。
ケインズ主義も市場原理主義(マネタリズム)という主流経済理論は、現状の日本経済を再生させるものではありません。
ケインズ主義からさらに突き進んで、政府紙幣や日銀の国債引き受けまでいって、インフレ目標政策を採れば、デフレ・スパイラルを解消することができます。
市場原理主義(=構造改革)は、日本経済をさらに苦境に追い込むだけで、再生に寄与することはありません。
米国が日本経済の再生を願っているのなら、政府紙幣や日銀の国債引き受けを処方箋として提示するはずです。
そのような処方箋を提示しないなら、願ってはいないということになります。
(冗談ですが、私の持論を日本政府に押しつけることでもいいですけど...)
>また、米国は現在、イラクとの戦争を控えており、また自国経済も下手をしたら、デ
>フレに陥るかもしれない状況にあり、とても日本の経済復興の後押しをするような余
>裕はないように思うのですが。
米国は、日本経済の復興を後押しできる余裕がないどころか、経常収支の赤字と財政赤字のファイナンスをこれまで以上の水準で日本に頼る立場になります。
そのためにも、日本の金融資産を国際金融家(米国)が“管理”する状況をつくりたいと考えているはずです。
(米国債の対外債務をデフォルトしないのであれば、けっこう重要な政策です)