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(回答先: あっしらさんの「個人住宅の買い換えで“損失”は発生するか」 投稿者 岩住達郎 日時 2002 年 11 月 18 日 02:17:16)
岩住さん、レスありがとうございます。
日本政府やメディアの盲目的米国崇拝には強い危惧を抱いています。
アメリカ企業の内実は見えにくいとしても、連邦政府が2兆ドルを超える対外債務を抱えながら、財政赤字状況に逆戻りし、経常収支の赤字が4千億ドルにも達しているという現実は容易にわかります。
連邦政府は、対外債務の利払いだけで年間4千億ドルもあるのですから、経常収支の赤字を埋めてくれる資本流入がなければ、利払いさえできなくなります。
デフォルトはともかく、これまでと同等もしくはそれ以上の資本流入がなければ、米国経済は縮小せざるを得ないことを意味します。
このような米国が戦争を拡大しようとしている現実、そして、そのような米国経済をあてにした輸出で経済回復を願っているという現実を冷静に考える必要があると考えています。
岩住さんが指摘されている米国の“日本蚕食”目的には強く同意します。
本論の「住宅買い換え問題」に移ります。
>あっしらさんの計算では住宅を売る時点でローンが完済されていると仮定されていま
>すが、その様な事態はむしろ希でしょう。特に日本の様に超長期のローンが多い国で
>は一代でローン完済は難しい筈です。
ローンの残債を考慮すれば、資産価格の値下がりで、資産を売却して新たな資産を購入する取引では負担が“軽減”することになります。
逆に値上がり状況であれば、負担が増加します。
《購入時の条件》
住宅購入価格:1億円
頭金:3千万円
住宅ローン:7千万円
上位住宅価格:1億4千万円
《住宅値下がり率30%のケース》
住宅評価額:7千万円
ローン残債:4500万円
上位住宅価格:9800万円
上位住宅買い換えに必要な新規ローンは、4500万円+2800万円=7300万円です。
《住宅値上がり率30%のケース》
住宅評価額:1億3千万円
ローン残債:4500万円
上位住宅価格:1億8千万円
上位住宅買い換えに必要な新規ローンは、4500万円+5千万円=9500万円です。
《住宅価格変動無しのケース》
住宅評価額:1億万円
ローン残債:4500万円
上位住宅価格:1億4千万円
上位住宅買い換えに必要な新規ローンは、4500万円+4000万円=8500万円です。
>こういう視点で日本人の住宅ローンを見れば、読売新聞にありましたように平均27
>00万円の買い換え損失が出る事態を理解でき、どうして市民が家の買い換えを出来
>るだけ避けて不便や無駄をしのんで現状維持に走るかが良く解ります。最も働き盛り
>で消費志向の高い所帯がこういった心理状態にあるのでは国の経済に非常に悪い影響
>を与えると私は思うのです。私の予想では、この含み損免除の発表があれば、いまま
>で家を買い替える気の無かった人達も一斉に応募する事は間違いないと思います。
>試算では私は200万所帯が応募すると仮定しましたが、恐らくもっと沢山の応募が
>あるでしょう。
上位住宅買い換えに必要な新規ローンは7300万円ですから、値下がり分補償金額3000万円を差し引くと4300万円になります。
これは、買い換え対象の物件9800万円を3000万円値引きしてもらうことと同じで、上位の住宅になった上にローン残債も減ることにもなるので、応募が殺到すると予測できます。
しかし、このような“優遇策”が政治的に認められるとは思えません。
住宅を保有していない人や家族構成から見て劣悪な住環境にある人に対する優遇策のほうが認められる可能性はあると考えます。
問題は、不動産価格の下落ではなく、長期安定的な所得の確証や老後の確証が得られていないことです。
>前に私のこの提案に対し、銀行の一番おいしい貸出業務である住宅ローンを縮小させ
>るのはいかがなものか、という意見がありましたが、今はそんな事を言っている事態
>では無いでしょう。
銀行の利ざやはメインのテーマではありません。
不良債権処理にはならないという趣旨のついでに説明した内容です。
岩住さん:「9月27日の読売新聞に依れば個人住宅の買い換えに平均2700万円の損を出しているそうです。全国で200万所帯が応募するとして54兆円必要になります。これを日銀が円を新たに印刷し、ローンを出した銀行に払い、銀行はこのお金を使って不良債権を償却する、と言うわけです。」
あっしら:「上述の意味で、54兆円は、国家から特定国民への貢ぎ物すなわち特定国民への国民全体からの貢ぎ物になります。不動産価格が上昇しても買い換えコストはそれほど変わらないのに、下落したときには“補償金”が出て、上昇したときは得したのだから放置というのもおかしな話になります。そして何より重要なのは、54兆円を銀行に渡しても、それで不良債権が処理できるわけではないということです。
54兆円にはそれなりの利息分も含まれているでしょうから、その分が不良債権処理の原資になるだけです。元本部分は、貸し出し債権が現金になっただけですから、不良債権処理に使えるわけではありません。さらに言えば、貸し出し債権が順調に債務履行されるものであれば、その利払いに相当する新たな運用先を見つけない限り、銀行は将来得られる利息(利益)を失うことになります。」