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返答が遅れてボードが更新されてしまいました。内容が戦争を離れてきつつあるので、議論のボードへ新規に投稿します。
参照スレッド
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政策目標の具体的設定という観点からは、空洞に近いお立場では?
http://asyura.com/2002/war18/msg/508.html
あと10年で石油値段2倍から3倍へ上昇。約20年後には石油時代の終焉をみることになる。
http://asyura.com/2002/war18/msg/450.html
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>このようなデータは100%政治的であるという決めつけたお立場ゆえ(業界的ある意は政治的陰謀であるとのニュアンスも含め)、仮にあくまで「政策目標の具体的設定という観点」からは、実質的には特段何もする必要ない、とくに判断をされていない、失礼ですが事実上なにもおっしゃっていない空洞のように聞こえるのですが。
>つまりこの手の報告が100件積まれても、愛煙家さんはこれらを100%政治的だと判断され,昨日までと同じ方針(エネルギーの効率化)を明日もあさってもつづければいい、つまり政策目標に特段の変更なし、ということにならざるをえないようですが。
このレポートの趣旨を、予想されるイラク攻撃をきっかけとした価格の高騰を予告するものとして理解しています。かつての石油ショックの時は一気に高値をつけ、その後、徐々に市場価格へと下落していきました。そのような状況に対して、日本は効果的な介入手段を持っていませんし、介入すべきだとも思いません。真の富は他者の懐にあるのではなく、自らの価値を高めることにあるということを認識すべきです。前回の石油ショックの時もエネルギー利用の効率化によって危機を乗り越え、その後の成功の礎としました。長期的な問題解決策の提案との誤解をさせてしまったかもしれませんが、あくまで、そのような短期的(2〜3年)に状況下において、たとえ売り手が誰になっても売り物となる石油があるならば、もっともエネルギー利用効率の高い日本は高値をつけて買うことができるはずだと述べたかったのです。
Re: 石油を通じた支配を正統化するものです
http://asyura.com/2002/war18/msg/499.html
ちなみにデータそのものは政治的なものではなく経営的なものだと思っています。いくつかの事実と仮定に基づくもので、企業の収益予想のようなものです。もし投資家ならばそれがどの程度の蓋然性をもつのか自己責任において吟味するのは当然で、人によって異なることもあります。超青空さんがレポートのデータの蓋然性をどう評価されているのか、ご教授いただければ幸いです。
日本のエネルギー政策については、わずかではありますが、以下のような意見をもっています。
長期的なエネルギー政策の最終目標は、化石燃料の有限性、エネルギー容量、環境への負荷の観点から、核融合の実現です。かなり前から日米欧は合同(ITER)でトカマク型の研究開発を行っています。現在は実証炉の段階で、商業炉の実現は50年後ぐらいが目標ですが、実際には目処もたっていないようです。国情から日本が最も積極的で、トカマク型の他に、連続運転可能なヘリカルコイル型の開発にもチャレンジしています。近年、アメリカはITERの予算を削減する一方、レーザー核融合や常温核融合の研究に力を入れているように見えます。常温核融合は現象そのものが未確認で開発以前の段階ですが、化学エネルギーにおける燃料電池のように、触媒を介した反応過程の存在というのはありえないことではないと思います。ぜひ日本もチャレンジすべきです。
実現時期が確定できない核融合までのつなぎとして原子力発電が位置付けられています。ウラン資源自体は世界全体でも豊富とは言えず、長期にわたる需要を満たすにはその副産物であるプルトニウムを利用せざるを得ないというのが、高速増殖炉やプルサーマルの趣旨です。放射性廃棄物の最終処分など危険が山済みでエネルギー問題の最終的解決策とは言えませんが、他に手段がなくなった場合の必要悪として上手に管理してゆくより仕方ありません。その観点から政府と国民の相互不信は百害あって一利なし、高速増殖炉の計画が頓挫したのは残念です。
自然エネルギーの利用とエネルギー効率の改善は原子力発電の利用を最低限に抑え、かつ、直近の課題である京都議定書を遵守するという観点から極めて重要です。現状、一次エネルギーに占める自然エネルギーの割合は数%程度ですが、なんとか、その2〜3倍くらいに増やして欲しいものです。その大部分を占める水力発電は、採算の合う地形のほとんどが利用され尽くしていると言われていますが、原発と同じ耐用年数を設備の減価償却に採用しながら、それよりもはるかに長期にわたって稼動できるなど、発電会社の採算見積もりが利用実体からかけ離れており、本当はもっと増やせるものと考えています。風力発電も同様な仕掛けになっていると推測しています。公共事業として水力・風力発電所の建設を進めれば、エネルギー政策に適うのはもちろん、地方の経済も潤うし、高速道路建設と違って採算も期待できます。
以下は化石燃料についての言及ですから、長期的には重要ではないかもしれません。
近年、日本近海にメタンハイドレートや天然ガスがかなりあることがわかってきました。まだ、調査や研究の段階のようですが、単にプロジェクト予算を付けるだけでなく、現在欠如している資源開発パワーを育てるためのシナリオを立てて実現していくことが必要です。日本では地学というと地震研究ばかりが目立っていますが、資源開発がそれ以上の研究分野になるべく、早急に活躍の場となる事業を立ち上げるべきです。
また、CO2排出量および採掘可能な埋蔵量の点から石油に替わって天然ガスの輸入にシフトする動きがありますが、備蓄性について再考、対策を求めたいと思います。
石油入手先の多様化についてはロシアからの輸入を実現すべきと考えています。鈴木宗男氏のロシアへの接近は石油獲得が目的であったと言われています。詳しいことはよくわかりませんが、北方領土の日本への本質的帰属さえ確認できれば、実際の返還はロシア側に任せてしまっていいと思います。ただし、その問題で国内のコンセンサスが得られない状況での実施は避けるべきです。
最近議論されている電力事業の自由化については、慎重に対応すべきだと思っています。競争による効率化もわかりますが、短期的な利益にフォーカスしてしまう結果、長期的なエネルギー政策を担うためのコストを吸収する余地が極小化してしまうでしょう。
いずれにしろエネルギー問題は昨日今日始まったことではなく、その基本的要件は急激に変化するものではありません。その意味で、エネルギーに関する政策や市場の動向についても、その見通しを反映したものになっていると考えています。もちろん、それらに過不足がないかチェックすることは必要です。上記で列挙した私の意見もそのひとつです。
エネルギー政策の実現には長い時間とコストがかかるものです。前々から準備を整えておくと同時に、目前の危機をよく見極めて重大な過ちを避けなければなりません。例えば、最近の東電の修理問題で多くの原発を止めてしまいましたが、この時期としては過剰反応だったといわざるを得ません。同様に、今度の石油ショックで全面的に天然ガスや原発への依存を進めてしまうとしたら、それも行き過ぎとなるでしょう。何よりも現状では、中東の石油がもっとも安価なエネルギーであることを忘れることはできません。今後更新される採掘可能な埋蔵量の値を定期的にチェックしつつ、適宜、代替エネルギー政策の進捗を図るというのが現実的なのではないでしょうか。
今後20年で予想される価格の上昇も経済には大きな影響を与えますが、飢えや寒さで日本の人々が死んでいくようなことはないでしょう。人死にが発生するとしたら、それは石油輸入の大部分が突然ストップするような安全保障問題であって、完全に防止する国力が日本には無いという現実を受け入れざるをえません。それはもうひとつの議論です。