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日本のメディアによる拉致報道が、狂信的な様相を帯びてきている。ここにきて、こうした北朝鮮バッシングに血眼になる日本のマスコミに警鐘を鳴らす2冊の本が相次いで出版された。
1冊目は昨年暮れに東京都内で開かれたシンポ「どうなる日朝国交交渉」をまとめた本。「マスコミ報道と世論」と題して講演した東亜日報の金忠植東京支社長や山室英男元NHK解説委員長の話などこのシンポの出席者たちの話が網羅されている。
「韓国人は拉致事件を朝鮮半島と日本列島の1世紀、または半世紀の歴史線上で考えている。日本帝国主義による王妃暗殺や韓国併合、強制徴用、強制労役のようなことを思い出しながら拉致報道を考える」「日朝平壌宣言は、日本の国益と未来のために適うものである。拉致問題を歴史的、巨視的な視点でとらえ、日朝正常化を進めることが東アジアの平和に貢献するだろう」。(金忠植氏)「この狂乱の本質は、朝鮮民族蔑視、人種差別という極めて卑劣な思想を基礎にしている」(山室氏)。
もう一冊は、「北朝鮮本をどう読むか」。この本は90年代以降、刊行された500を超える北朝鮮関連書籍を分析したもの。その大半は、朝鮮への悪罵雑言を満載したものばかり。とても「批判」というレベルのものではなく、北への誹謗中傷、悪口のオンパレードなのである。
こうした日本のメディアによる「北朝鮮叩き」の本質を編者の和田春樹、高崎宗司の両氏を中心に、丁寧に解きほぐしていく。
まず、和田春樹氏は「北朝鮮ネガティヴ・キャンぺーンを読み解く」と題する序章の中で次のように指摘している。「このような報道は、日朝国交樹立の早期実現のために双方が努力するとした日朝平壌宣言を一顧だにせず、このような国家との国交樹立に反対するという気分をかき立て、拉致事件の解決のためには金正日体制の崩壊が必要であるとして、強硬な交渉姿勢を貫けとする特定の人びとの主張に同調するものとみえる」。そして、こうした報道が、隣国の人びとが、たとえ政治体制はどうであれ、民族的なプライドをもっていることの認識を持たず、その人びとを「徹底的に辱めるトーンの報道をくりかえすということは、公共放送として許されない」と厳しく批判する。
また、高崎氏は拉致事件洪水報道や北叩き本を次から次へと仕掛ける佐藤勝巳や現代コリアの正体について冷徹に批判している。
「佐藤や西岡が伝える情報には、多くの場合、出所、出典が記されておらず、不確かな推測が多い」「彼らの北朝鮮論には、日本の植民地支配に対する認識が決定的に欠けている」と喝破する。かつて、朝鮮を植民地にし、その民族的自主性を徹底的に蹂躙し、朝鮮やアジアで血なまぐさい蛮行を繰り広げた日本。その反省も謝罪もせず、またも、朝鮮への蔑視と侵略思想を浸透させようとする日本の企図を厳しく看破した内容である。(粉)
[朝鮮新報 2003.3.5]