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核燃料サイクル開発機構(核燃機構、旧動燃)の高速増殖炉原型炉「もんじゅ」(出力28万キロワット)=福井県敦賀市=を巡り、周辺住民32人が国の原子炉設置許可処分の無効確認を求めた行政訴訟の控訴審判決が27日、名古屋高裁金沢支部であった。川崎和夫裁判長は、国側の主張をほぼ全面的に認めた1審・福井地裁の判決を取り消しし、「炉心崩壊の恐れがある」として設置許可を無効とした。許可にあたり行われた安全審査の内容に重大な違法があったと判断した。もんじゅの安全審査の全面やり直しの必要性も指摘した。住民側の完全勝訴で、高速増殖炉をかなめとする「核燃料サイクル」を中心に位置づけるわが国の原子力政策は、見直しを迫られることになる。全国各地で争われている原発訴訟で、住民側が勝訴したのは初めて。
もんじゅは、95年にナトリウム漏れ火災事故が発生して以降、運転停止中。プルトニウムを増やし、使用済み核燃料から取り出して再び燃料に使う核燃料サイクルの研究開発はストップしている。ナトリウム漏れ対策の強化を中心とする改造工事のための原子炉設置変更が昨年12月、国に許可された。福井県など地元が工事に合意するかどうかの判断が注目されており、今年4月の同県知事選でも大きな争点として浮上する可能性が出てきた。
■文科省「決内容を検討し対応決める」
核燃料サイクル開発機構を所管する文部科学省核燃料サイクル研究開発課は「判決の内容がくわしく分からないので、現段階でのコメントは避けたい。判決内容を検討したうえで、関係各省が協議のうえ、対応を決めることになるだろう」と話した。
■保安院「信じられない」
逆転敗訴の判決に、経済産業省原子力安全・保安院には驚きの声が広がった。訟務室にこもっていた渡辺格・核燃料サイクル規制課長は判決の連絡を聞いて、すぐさま部屋を飛び出し、保安院次長室に駆け込み敗訴の報告をした。保安院内の関係各部からは「え? うそ」との声が漏れた。渡辺課長は「判決を聞いたばかりなので、くわしい分析はこれからだ。信じられない」と話した。
■判決骨子
・ナトリウム漏えい事故などで2次冷却漏えい事故についての本件安全審査には、床ライナーの健全性(腐食の可能性)などに関する安全評価に看過し難い過誤、欠落がある。その結果、すべての冷却能力が失われる可能性がある。
・細管が相次いで破損する高温ラプチャ現象による破損伝播(でんぱ)の可能性は審査されておらず、本件原子炉施設の蒸気発生器では、高温ラプチャ発生の可能性を排除できない。「蒸気発生器伝熱管破損事故」について原子力安全委員会の本件安全審査の調査審議及び判断の過程には、看過しがたい過誤、欠落があった。その結果、出力の異状な上昇と制御不能を招き、炉心崩壊を起こす恐れがある。
・本件安全審査の評価には欠落のあることが認められ、炉心崩壊事故という重大事故の評価に直接かかわるため、看過し難い。
・原子炉容器内の放射性物質が外部環境に放散される具体的な危険性を否定できないことは明らか。
[毎日新聞1月27日] ( 2003-01-27-15:26 )