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(回答先: 週刊朝日おわび 地村夫妻取材で [朝日新聞] 投稿者 あっしら 日時 2003 年 1 月 14 日 23:20:13)
「よくもまああんな嘘が平気でつけるもんや。週刊朝日に抗議文を送った日に、保志らに会ったU記者と鈴木健編集長から電話があって、二人は『申し訳ありません』と非を認めてわしに謝罪した。その後に、なんで嘘のコメントを出すんや。嘘をつき通すんなら、地村家は朝日新聞社の取材は今後いっさい受けない。今回は徹底的に抗議する。裁判になっても仕方がないと思うてます」
地村保志さんの父、保さんがそう怒りを露にした。
発端は、14日に発売された週刊朝日。「本誌独占」「地村保志・富貴恵夫妻 誰にも言えなかった真実」と題した記事には、五ページにわたって記者と夫妻との一問一答が掲載されている。
ところが、この“スクープ記事”は地村夫妻に掲載の了解を得ていなかったばかりか、記者が夫妻を騙し討ちにした「雑談」だったのだ。
保さんが経緯を説明する。
「年末の12月29日、面識のあった週刊朝日のU記者から電話があって、いまこっちに来ているのでまた話を聞きたいと言うてきた。わしが『今日は他のマスコミの取材が入っとるから無理や』と答えたら『わかりました』と言うた。ところが、わしが取材を受けている留守中に記者が自宅に来たんや。いまから思えば確信犯やったんやろう。
保志は『週刊朝日の人が父ちゃんを訪ねてきて、待たしてくれと言われたんで、家にあげた。父ちゃんの客やから断れんかった。別に取材じゃないと言われたんで、お茶を出して雑談しただけや』と言っている」
保さんは夫妻の生活の場でもある自宅での取材は受けておらず、近所の喫茶店やホテルで取材を受けるようにしている。要するに、U記者は保さんの不在を知って自宅を訪れたのである。
保さんが続ける。
「保志らもU記者に『これは取材じゃないですよね』と何度も確認したと言っている。U記者はメモも取ってなかったし、録音機も出してなかった。保志は『自分が承諾したと思われたら、ほかの被害者や家族会、救う会の皆さんにも申し訳が立たん』と言って怒っている」
騒動を聞いた蓮池薫さんは保志さんに電話してこう言ったという。
「週刊朝日から一億円とってやれ」
冗談めかした言い方だが、薫さんも週刊朝日の卑劣なやり口に怒っているのだ。
保志さん本人から事情を聞いた薫さんの兄、蓮池透さんもこう言う。
「雑談だと思っていたら北朝鮮での生活のことなどいろいろ聞いてくるので、保志さんは途中から警戒してはぐらかして答えていたと言っていました。ところが、記事にはやりとりが一言一句掲載されており、記事を見て初めてこっそり録音されていたに違いないと思ったそうです」
一連の経緯だけを見ても、週刊朝日の行為には弁解の余地はないが、この記事には別の問題もある。救う会の西岡力副会長が嘆息する。
「彼らは犯罪の被害者であり、24年ぶりに日本に帰ってきたばかりでマスコミの事情にも疎い。しかも、子供を北朝鮮に残していて自由に話せない。その特殊な状況を慮(おもんばか)って、家族がマスコミ各社に本人たちへの個別取材をしないように要請してきた。『週刊朝日』が加盟している雑誌協会や地元の記者クラブも合意している。報道の自由はわかりますが、合意を破ってまで『雑談』を報じる理由がどこにあるのでしょうか」
12日に関係者から記事の掲載を知らされた地村夫妻と保さんは記事を読んで驚愕し、翌日に三人の連名で週刊朝日の鈴木健編集長に抗議文を送った。
<地村・浜本家と小浜記者クラブは、保志・富貴恵は北朝鮮に子供が残っている微妙な立場だから個別取材には一切応じないが、その代わり節目で代表取材に応じ家族が定例に会見を開くなどという合意を結んでいます。この合意には週刊朝日の発行所である朝日新聞社も参加しています。この記事は明らかに合意を破るものであります。私たちとしては今後も記者クラブとの合意を尊重していきたく願っており、そのためには合意を破った朝日新聞社に対して保の記者会見への出席をやめていただくことなどを検討しています>
そして、「記事にしない」はずの「雑談」を掲載した理由と記者クラブとの合意を破った理由を糾している。
U記者と鈴木編集長はその日のうちに相次いで保さんに電話を入れて謝罪し、「明日謝りに行きます」と釈明した。夜になって、朝日新聞社広報部が小誌を含めたマスコミ各社からの取材に回答したが、冒頭に記したように、その回答が保さんの怒りをさらに増してしまったのだ。
小誌への回答はこうだ。
「『週刊朝日』編集部としては地村保さん、保志さん・富貴恵さんご夫妻から取材の承諾を得たものだと理解して記事にしました。地村さんご夫妻に対して『取材ではない』と話したことはありません。また、取材当初は保さんと約束をしておりました。ただ、結果として地村家から抗議を受けるようになってしまったことについては、取材先との意思の疎通が充分でなかったものと反省せざるをえないと考えております」
地村家の言い分とはまったく食い違う。
そもそも個別取材は受けないと決めている地村夫妻が週刊朝日だけに承諾を与えるはずがないし、保さんもU記者と約束などしていない。
●矛盾だらけの朝日の弁明
朝日新聞社が事実経過の詳細を述べずに「意思の疎通」の問題にすり替えようとしているのは明らかだ。
実はこの日、朝日新聞社内では鈴木編集長への詳細な聞き取りが行われていた。そこで鈴木編集長はこんな説明をしていた。
「地村夫妻への取材は保さんが二回セッティングしてくれた。一回は保さんが同席したが、今回の記事は同席していない方のもの。夫妻から『これは記事になるのですか』と聞かれたときも『いずれ記事になる』と答えている。何月何日号に掲載するという説明まではしていなかったが、あくまでも取材を前提に申し入れたものだ」
保さんと夫妻が喫茶店にいた際に、U記者がアポなしで現れて保さんに取材をしたことはあるが、夫妻は取材には応じていない。しかも、この説明は明らかに論理矛盾を起こしている。
朝日新聞関係者が言う。
「取材を前提として会っているならば、なぜ夫妻が『これは記事になるのですか』と記者に聞いているのか。それに、取材なのに現場でメモを取っていないのはおかしい。記事を読めば、録音していたのは間違いないだろう。隠し録りをしていたとすれば、取材を前提に話を聞いたという説明にも矛盾をきたす」
14日朝、小誌が再度取材を申し入れると、広報部はこう言って回答を留保した。
「『週刊朝日』編集長が地村保さんにお会いし、今回の取材経緯について詳しくお聞きしているところです」
その日の昼過ぎ、鈴木編集長は山口一臣副編集長とともに保さんに会ったが、それは「取材経緯を聞く」というものではまったくなかった。
保さんが言う。
「朝日が用意したホテルの部屋に入るなり、二人は『申し訳ありませんでした』と平謝りや。二人とも土下座しよった。副編集長は涙も流して謝っとった。U記者はいまだにわしに了解を得ていたと言うとるそうや。わしは『そらおかしいで』と言うたが、向こうは謝るばかり。それ以上やっても水掛け論になるから、文書できちんとこちらの質問に答えてほしいと言いました」
事実経過をウヤムヤにしたまま、泣き落としで和解を迫ろうとしたのだ。広報部に謝罪した理由を問うと、「取材・記事化について認識の違いがあったことがわかった」とまたもや強弁するばかりで経緯についてはあくまでも答えようとしない。朝日新聞は、地村家に詫びるだけでなく、読者に対しても事実関係を明らかにする必要がある。
●朝日が訴えたかった「真実」
さらにこの「独占雑談」には大きな問題がある。記事を読むと、朝日側の巧妙な意図が透けて見えてくるのだ。
救う会の佐藤勝巳会長が呆れて言う。
「一読して言いようのない違和感を感じました。記者は北朝鮮での生活や他の拉致被害者のことについて根掘り葉掘り聞いているんですが、われわれもいまの段階では五人にそうした質問はしないように気をつかっている状態なんです。例えば、北朝鮮での監視員について、富貴恵さんにそれは『監視員じゃなくて、指導員』であり、『私らを世話する意味』でついてくるだけだと言わせているが、これでは北朝鮮はそんなにひどい国ではないと読者をミスリードしてしまう。この記事に『真実』なんてありません。むしろ12月に五人で行った新潟での記者会見のほうがよっぽど『真実』を語っている」
例えば自身が拉致されたことについて、保志さんはこう答えている。
<あそこ(拉致された小浜公園)に僕らが行ったから、僕らが連れていかれたんであって、ほかの人が行っていたら、その人が連れていかれたんでしょ。そういうこと思うと、僕らでよかったなと。僕らは苦労したけども、それはまあそれでよかったんじゃないかなと思っている>
保志さんが拉致されたことを「よかった」と語ったことが「誰にも言えなかった真実」と言いたいのだろうか。
また、消息不明の拉致被害者について知っているかと何度も尋ね、夫妻に「知らない」と言わせてもいる。記者の質問をはぐらかすような夫妻の受け答えを勝手に「真実」としているので、記事の内容は歪みに歪んでしまう。
救う会の荒木和博前事務局長が言う。
「こんな記事が出れば、彼らはますます真実を喋れなくなってしまう。彼らの北朝鮮での四半世紀に及ぶ生活には、いまだ口にできない壮絶な苦しみがある。なのに、北での生活について自由に喋れないという大前提に、週刊朝日はまったく触れていない。こんな騙し討ちのような形で行った雑談を『真実』として流布させるのは、北朝鮮のプロパガンダに与した『週刊金曜日』の曽我ひとみさんの家族へのインタビュー記事と同様の悪質さを感じます」
記事の最後は保志さんのこんな言葉で締めくくられている。
<(北朝鮮は)行って生活してみると、みんなが思っているほどは怖くないですよ>
これが朝日新聞社が訴えたい「真実」なのだろう。
※ U記者=上田耕司記者