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(回答先: ジェンキンス氏と会った中山参与へのインタビューより(週刊ポスト11/29) 投稿者 YM 日時 2002 年 11 月 20 日 07:41:24)
週刊ポスト2002/11/22
米国人兵士を拉致せよ!機密文書入手
曽我ひとみさん夫の母が激白「息子は金正日に拉致された」
米国取材/大野和基
北朝鮮による拉致事件は日米韓3国を貫く安全保障、人質問題に発展している。
日本人拉致被害者の一人、曽我ひとみさんの夫、元米軍兵士ジェンキンス氏は拉
致されたのか、それとも脱走兵なのか。米ノースカロライナには、日本の拉致被
害者の家族同様、ジェンキンス氏の潔白と帰国をひたすら訴え続ける82歳の老
母がいる。彼女は本誌の取材に自らの言葉で「私の手で息子を取り戻す」と語っ
た──。
夫を「逮捕」させないために
日本に戻った5人の拉致被害者は日一日と自由への開放と親・兄弟・親族たちの
ぬくもりを実感しているが、であればこそ、北朝鮮に残してきた家族の厳しい境
遇が胸を圧しているだろう。
なかでも新潟真野町(佐渡島)の曽我ひとみさん(43)は、平壌に暮らす2人
の娘もさることながら、元米軍兵士チャールズ・ロバート・ジェンキンス氏
(62)のこれからがいちだんと気がかりなのではないか。同氏はいまもなお《拉致
被害者》なのか《脱走兵》なのか、グレーゾーンの中にいる。
(中略)
蓮池薫さん、祐木子さん夫妻や地村保志さん、富貴恵さん夫妻ら他の被害者が、
その方法や順序の問題こそあれ〃まっすぐに〃子供たちの帰国を望んでいるのに
対し、曽我さんが慎重な姿勢を崩せないのは、夫・ジェンキンス氏が北朝鮮に出
国した場合、米国から逮捕、訴追される可能性があるからだ。在韓米軍の一員と
して38度線付近の国境地帯に駐留していたジェンキンス氏が非武装地帯を越えて
北朝鮮に入ったのは1965年1月。米政府はこれまで同氏の出国を〃亡命〃と
見なし、脱走兵と位置づけている。米軍法では脱走兵に対し厳しい処置を科して
おり、軍法会議にかけられた後、5年以内の禁固刑を科せられる場合がある。
現在、日米間ではジェンキンス氏が出国した際の処理について話し合いが行われ
ている。米国防総省スポークスマンのジェフ・デービス氏がこう語った。
「日本側との調整は続けているが、結論はまだ出ていない。いずれにしても処分
の決定には本人の事情聴取が必要になるだろう」
外務省も「検討中」とのみ解答した。
日本側は恩赦も含めて検討するように要請しているが、米側には反対論も根強
い。曽我さんにとっては苦悩の日々が続いているのである。
ジェンキンス氏は平壌外国語大学の英語教師として暮らしている。一般市民の数
倍の賃金、豪華なマンションが与えられ、曽我さんとの間に19歳と17歳にな
る娘をもうけた。
80年代に北朝鮮が朝鮮戦争に関する映画を作成した際には、米諜報機関の幹部
役として出演した。同氏に対する米側の強行姿勢がなかなか消えない背景には、
こうした北のプロパガンダの一端を担ってきたことへの反発がある。
だが、金正日総書記は日本人拉致を認め謝罪し、曽我さんらが帰国した事で、米
ノースカロライナ州に住むジェンキンスさんの家族から一斉に声が上がり始め
た。
「決して亡命ではない。ロバートは北に拉致された」──。
機密文書「米兵を連行せよ」
ジェンキンス氏の母、パティ・キャスパーさん(82)は、ノースカロライナ州北
部の人口1万6千人の小さな町、ロアノーク・ラピッズの養護施設で情勢を見
守っている。
日本のメディアとしては初めて本誌の取材に応じた。
「私は、北朝鮮が息子の存在を認める96年11月まで、息子は死んだものとば
かり思っていました。65年に姿を消した後、政府からは亡命したと知らされ
た。けれど、あれほどアメリカを愛していた息子が、突如亡命するなんてどうし
ても考えられなかった。だから死んでしまったと思い続けていたんです」
──最後に会ったのは?
「64年のクリスマスです。韓国から一時帰国していたんです。確かに韓国での
生活は大変なようでしたが、戻ってきてからの息子は本当に幸せそうでした。見
知らぬ国に亡命するそぶりなんてこれっぽっちも見せなかった」
──亡命とされた理由は
「失踪後まもなくペンタゴン(国防総省)から私宛の手紙を見せられました。息
子の直筆との事で、『迷惑かけて申し訳ないが、北朝鮮に行く事にしました。家
族のみんなに愛していると伝えてください』と書かれてあった。でもこれは明ら
かに北のでっち上げなんです」
──なぜですか
「明らかに筆跡が違いました。しかも息子は赴任先から手紙をくれるときにはい
つもミドルネームの〃ロバート〃とサインしたのに、このときは〃チャールズ〃
とあって。手紙は息子が書いたものじゃないんです。政府には何度も説明したの
ですが、取り合ってもらえなかった」
──亡命ではない
「そうです。私たち家族はみんな日本人と同様、拉致されたんだと思っていま
す。キム・ジョンイルは大嘘つきです。日本人の拉致を認めたのならアメリカ人
の方も認めてほしい。そして一刻も早く、私が生きているうちに帰国させてほし
い」
ジェンキンス氏の姉、フェイ・ハイマンさん(66)によれば、ジェンキンス氏が
13歳のときに製氷会社を経営していた父が死去。15歳で州の軍に入隊した同
氏は、母親や2人の姉の生計を支えた。従軍したのは18歳の時だった。
フェイさんが振り返る。
「ロバートは軍から表彰された事もあるし、軍人である事を誇りに思っていた。
幼い頃から愛国心に強かった。大切にしていた家族にさえなんの連絡もなく突然
亡命なんて考えられない」
さらにフェイさんらが北による「拉致」を主張する証拠となっている文書がある。
米国で行方不明兵の支援活動を行っている『全米家族連合』の情報公開請求
によって97年8月に明らかになった国防総省の機密文書である。
http://www.nationalalliance.org/bits/naf2002/020927.htm
http://www.nationalalliance.org/bits/naf2002/021019.htm
「1962年8月17日付けのこの文書には、『潜入ルートを探索せよ。アメリカ人兵
士を拉致して北朝鮮に連行せよ』とする政策を北朝鮮が持っていたことがリポー
トされています。弟はこの政策のもとで拉致されたのではないか」
フェイさんはそういって唇を噛んだ。
「ひとみさんと話がしたい」
(中略)
現在北朝鮮にいる4人の元米軍兵士は、全員が英会話教師をしていると伝えられ
ている。ジェンキンス氏以外は北朝鮮女性と結婚しているとの情報もあるが、米
国防総省は、4人とも《脱走兵》と見なしている。
前出、米国防総省デービス氏が一歩踏み込んだ言い方をした。
「北朝鮮が米兵の存在を認めた97年以来、アメリカ政府は何度の面会を求めて
交渉を進めてきたが、北朝鮮は『本人たちが会いたくないと言っている』と拒ん
できた。だから4人に対する認識は変りようがない。亡命か、拉致か、という問
題についても、本人への事情聴取ができていない以上、現段階ではこれまでのよ
うに亡命であるとしか答えようがない」
ジェンキンス氏の甥、ジェームズ・ハイマン氏(42)は当局の対応に不満を隠さ
ない。
「政府は本人の話すら聞けていないだけでなく、なんの証拠も無いままに《脱走
兵》と決めつけている。アメリカでは有罪と証明されるまでは無罪のはずなの
に。犯罪者のごとく扱われているのは納得できない。彼が自由の身になれば、必
ず拉致された事を告白するに違いないと信じている」
亡命か拉致か
(中略)
前出のジェンキンスさんの母、パティさんは、真相解明のためにも曽我さんと話
をする事を望んでいる。
「私たちが日米両政府にお願いしたいのは、息子が耐えた38年間の監獄生活を一
刻も早く終わらせる事です。そして1965年1月夜にいったい何が起こったのか、
真実を知りたい。私たちはそれを知る決意と覚悟を持っています。ひとみさんは
子供とロバートに優しいよく気がつく妻であると信じています。北朝鮮に残して
きた夫と子供のことを考えると夜も眠れないことでしょう。もし、事情が許し、
彼女と話ができるならいろんなことを聞いてみたいと思っています」──。
北朝鮮の国家犯罪である拉致事件は、日本と韓国だけでなく、否応なくアメリカ
をも当事者としつつある。