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東京新聞の論評=『北』での家族インタビューは罪か
投稿者 疋田 日時 2002 年 11 月 21 日 17:01:08:

(回答先: 日本ジャーナリスト会議:政府と一体になったマスコミの「大合唱」 投稿者 大政翼賛会 日時 2002 年 11 月 19 日 12:59:31)

東京新聞11月16日付
『北』での家族インタビューは罪か

 報道の基本は当事者への直接取材である。だが、キム・ヘギョンさん会見に続き、曽我ひとみさん家族インタビューにも非難が集中している。言論統制された北朝鮮での取材は確かにプロパガンダとして利用される恐れはある。曽我さん本人への配慮も必要だ。しかし、独裁国家に残された家族だからこそ、声を聞きたい。どうすべきなのか−。

■鳴りやまぬ電話 「購読の中止も」

 「編集部の電話は鳴りっぱなしで、仕事になりません。数は少ないが、購読中止をした人も出てきた」

曽我さんの夫ジェンキンス氏と娘のインタビューを掲載した「週刊金曜日」の黒川宣之編集主幹は、読者の反応をこう説明する。

 十四日までは雑誌発売前に先行した各社の報道を見て、メールなどで反応があった八割が『けしからん』という意見だった。十五日になり記事を読んだ読者の否定的な反応は六割に減ったものの、大半は同誌の記事に批判的なようだ。

 同誌記者の北朝鮮取材はそもそも、拉致問題とは別の企画で進められていた。ブッシュ米大統領に「悪の枢軸」と名指しされたイラク、イラン、北朝鮮の実態をルポするシリーズの一環として準備された。

 黒川氏の説明では、今年八月に北朝鮮側に取材申請した。十月にその許可がでて、同三十一日から今月十二日まで平壌を訪問した。その間に拉致問題など情勢が変わったことから、取材記者が平壌入りした直後に「死亡と伝えられている家族も含め、できる限り詳しく取材したい」と申し入れたという。特定の家族を名指ししたわけではなく、横田めぐみさんの娘キム・ヘギョンさんインタビューに批判があったことを考慮し「成人で本人の了解を得られた人」と注文をつけた。これに対し今月九日になり曽我さんの家族から了解が得られたと連絡があり、翌十日の取材が実現した。

■「論調チェック メディア選別」

 当初企画の「悪の枢軸」シリーズは米国に批判的な企画で、北朝鮮としては受け入れるメリットはある。「曽我さん家族取材とは別に、予定通りこの企画用の取材も行った」と黒川氏は説明する。結果として、同誌の記事は、拉致被害者家族の分断を図りたいといわれる北朝鮮の宣伝に乗せられたのではないか。

 これについて、黒川氏は「曽我ひとみさんに直接取材できないので、本人がほんとうのところどう考えているのか分からない。そもそも情報が少ないので入手した情報は報道すべきだ。あとは読者の判断に任せる。曽我さんにとってマイナスかプラスかも曽我さんが判断すべきもの」と話す。

 きっかけが対米批判色の強い企画だったとはいえ、なぜ同誌に取材が許されたのか。「週刊金曜日」は一九九三年創刊で、どの勢力からも独立したメディアを目指し、広告も入れない編集方針を売りに定期購読主体で発行されている。発行部数は公称四万部だ。

 重村智計・拓殖大学教授はキム・ヘギョンさんインタビューで批判が高まった影響から「大手メディアはもう相手にしてくれない。だから相手にしてくれるメディアを選んだ」と指摘する。李英和・関西大学助教授も「批判的でない記事を書いてくれるメディアを選んだ。だから同誌の編集方針も調べているだろう」。

■「何取材するか  軸足が見えぬ」

 ジャーナリストの二木啓孝氏は直接取材の是非より取材能力を疑問視する。

 「ジェンキンスさんに取材するのがけしからんという話でないと思うが、記者に予備知識がなさすぎる。(米脱走兵としての)恩赦一つとっても勉強していない。何を取材したいのか、記者の軸足が見えない。それに曽我ひとみさんにも取材して、同じスペースで載せるべきだった。そうしなければ、今回のジェンキンスさん取材の位置づけが分からなくなる」

 さらに二木氏は、この時期に「週刊金曜日」に記事が掲載されることについての、北朝鮮の意図を指摘する。「週刊金曜日は先週号では、金正日総書記はわびて譲歩しているのだから、日朝交渉はそっと見守れという論調の記事を載せている。こういう記事を載せる媒体を選ぶだろうなとは思う。北朝鮮は『拉致被害者を帰さない限り日朝安保協議は無期延期』と言ってきているが、週刊金曜日の発売に合わせてやっているのは明白だ」

 こうした批判に対し、メディア批評誌「創」の篠田博之編集長は「金曜日」バッシングとは距離を置く。
 「一方的な北朝鮮非難への反発、批判が、今回の週刊金曜日の取材の一つの動機になっていると思う。拉致被害者の感情が(ニュースの)判断基準のようになっている現状の中で、被害者を傷つけたみたいになっちゃってるんで、苦しい立場に立たされている。今の国家主義的な傾向を批判しようとしたら、被害者家族と対立する形となってしまい、金曜日側には誤算だっただろう」

■「橋渡し」できぬ政府

 篠田氏は「金曜日」の記事は、二つの点で「一石を投じた」と見ている。

 「9・11米中枢同時テロ事件以降、世論が国益にシフトしている。そういう状況の中、ジャーナリズムと国家との距離が取れておらず、危険と思う。ジャーナリズムが(国家と)どういうスタンスを取るべきか議論しないといけない」

 「さらに今回は、メディアスクラム対策として拉致被害者や家族への取材の自粛、自主規制がある。正しい報道のあり方としてむやみに協定してもいいのか。金曜日の記事は、そういう意味でも問題提起していると思う」

 立教大学の服部孝章教授(メディア法)は「海を隔てて一カ月も音信不通の状態に置かれれば、家族が『会いたい』と言うのは自然な感情だ。北朝鮮を利するという話ではない」としたうえで、政府の対応に疑問を投げかける。

 「本来は、そのような状態になる前に、内閣の対策室が、手紙を託すなり、メッセンジャーを送るなりして、北朝鮮にいる家族と拉致被害者が連絡を取れる形にすべきだった。そういう代替手段を考えるべきだったのに何もせず、報道について『極めて不愉快』とどうして言えるのか」

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