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http://www.asyura.com/2002/war18/msg/479.html
米国が日本に日朝交渉を強いる意図
投稿者 あっしら 日時 2002 年 11 月 15 日 16:43:39:

(回答先: 米国が小泉首相を使って訪朝を演出した意図は何か→あっしらさんへ 投稿者 jimmy 日時 2002 年 11 月 15 日 09:43:03)


jimmyさん、こんにちわ。


日本は米国の世界戦略に従うことで戦後の繁栄を達成しそれを良しとしてきた国家ですから、重要な外交は米国の意向を無視して行うことはできず、米国が強く望む外交であればそれを否定できない立場です。
(田中首相の政治的抹殺と日中国交回復やインドネシア原油確保が無関係ではないという見方をしています)

これは、日本政府が、自主的判断で、「悪の枢軸国」の一つとして名指しされ、核兵器を含む先制攻撃の対象国としてリストアップされた北朝鮮に対して国交正常化交渉を始めることはないことを意味します。
(クリントン政権時代に国交正常化交渉を始めたのであれば、自主性を肯定することもできます)

米国がどういう意図を持って小泉政権に日朝国交正常化交渉を指示したかという本当のところはインサイダーではないのでわかりませんが、次のように推察しています。


● 米国は主義主張ではなく経済権益が第一義

米国が共産主義的金正日独裁体制を延命させるような日朝交渉をなぜ強いるのかを考える前提として、米国は、主義や政治体制を直接的には“敵”にしていないという視点が重要だと考えています。

まず、軍需産業が厖大な公共事業になっている米国では、“敵”は不可欠の存在です。
戦後、その主要な役割はソ連が担い続け、ソ連崩壊後は中国(北朝鮮)が引き継いでいます。

次に、その国家との政治経済関係の維持が経済的利益につながるかどうかです。
ソ連崩壊後に経済的混乱に陥ったロシアに対して、日本のお金を中心に経済支援しました。核兵器の拡散など軍事的な側面が強調されましたが、最大の狙いは、支援を梃子にロシアの豊富な地下資源権益を確保することです。

中国に対しても、「天安門事件」から3年も経たないうちにブッシュ政権が最恵国待遇を認める動きに出ました。中国の輸入拡大や中国進出企業の便宜を意図したものです。

米国は、対象国家がどういう主義を掲げどういう政治体制を敷いているかは本質的にはどうでもいいことで、対象国家が自国経済支配層にとって利益になる関係を維持するかどうかを問題にしています。

中南米・東南アジア・アフリカの軍事独裁国家や韓国の軍事独裁国家を支援してきたことを顧みれば、主義主張や政治体制にこだわりがないことがわかります。

米国がソ連や中国を敵視することで、日本やドイツなどは、それらとの経済関係の強化が得になると考えていても、それを実行に移すことはできません。
戦後米国は厖大な金融資産と産業力を誇っていましたが、日本や西欧を復興させて経済権益を得ることが精一杯で、ソ連圏や中国まで手を出す余裕もなければ、それらが経済発展することで生じる世界経済の過剰供給問題も考えたと思っています。
ソ連圏や中国圏は、いわゆる自由主義圏が成熟するまで“とっておく”という対象になったわけです。ソ連崩壊は、“おあずけ”にしていた共産圏の経済権益を手に入れる幕開けです。そして、できるだけ多く米国企業が権益を手に入れられるよう、日本などには、染みついている“ロシア脅威論”を利用して近づかないようにしてきたわけです。

北朝鮮は2000万人から2500万人という市場規模ですが、日本・米国・欧州が揃って経済的に行き詰まっている状況ですから、教育レベルもそこそこで統制がとれた北朝鮮を無視するのはもったいないと言えます。
日本にインフレ整備のお金を出させながら、金融を中心に北朝鮮に進出するつもりなんでしょう。(韓国の主要銀行は米国資本になっていますから、スムーズに北朝鮮に進出できる態勢になっています)

「嘗てのソ連同様、北朝鮮を自己崩壊の淵まで追いこむ事に見事に成功しました」と書かれていますが、ソ連崩壊後のロシアは、旧共産党高級幹部が支配する国家です。分離独立したCIS諸国もほとんど同じです。政治体制は変わっても、支配者は変わっていないのです。

金体制が実施した7月の「経済改革」は、米国の意向と今後の推移を見通した上で行ったものだと推測しています。


● 北朝鮮は米国を恐怖させる軍事力を保持

米国が、敵視する北朝鮮にKEDOという枠組みをつくって軽水炉や原油供給を行うようになった動機は何でしょう。
それは、米国が北朝鮮の軍事力をそれなりに恐れているということです。
北朝鮮が本格的に核開発を進めることをやめさせたいと考えたのは、核兵器そのものに恐怖したからではないはずです。
北朝鮮と米国の地理的関係から、核兵器を保有しているだけでは脅威になりませんが、北朝鮮は高度なミサイル技術を持っていますから、それと核兵器が結びつけば、米国本土が北朝鮮からの核攻撃の標的になります。

在韓米軍は通常兵器でも攻撃にさらされますが、在韓米軍は、危なくなればいつでも引き揚げることができます。

北朝鮮が米国本土を攻撃できる能力を持っていれば“逃げ場”はありません。
核弾頭はなくとも、通常弾頭でも甚大な被害が生じます。

米国は、勝手気ままに軍事力を行使していますが、自国が攻撃される事態を恐れている“びびりっ子”です。
(冷戦時代は、ソ連のほうがもっと“びびりっ子”だったので、強気の交渉が通用しましたが、北朝鮮にそれは通用しないでしょう)

98年のテポドン発射は長距離弾道ミサイルということになっていますが、米国も暗黙裏に認めているように、あれは人工衛星の発射です。
人工衛星の打ち上げができるということは、ICBM(大陸間弾道ミサイル)が保有されているということになります。
日本のメディアや政府は、なぜか、あれは長距離ミサイルであって人工衛星ではないという主張していますが、人工衛星を打ち上げたほうが軍事的には脅威なのです。
(日本は自国も人工衛星を打ち上げているので、それでは非難しにくいと考えたのでしょう)

米国が北朝鮮を国際舞台に引き戻そうと考えた最大の契機は、98年の人工衛星打ち上げだと考えています。


● 北朝鮮のミサイル輸出を阻止

日朝国交正常化のもう一つの大きな目的は、北朝鮮のミサイル輸出を中止させることです。
米国は、「対イスラム戦争」にのめり込んでいます。
北朝鮮のミサイル輸出対象国は、イラクやイランなど中東がメインです。

米国は、スムーズに「対イスラム戦争」を遂行するために、できるだけ損害を被る条件を減らしたいと考えています。

米国も、北朝鮮の経済苦境はわかっていますから、“見返り”なしでミサイル輸出をやめろとは言えません。(米国に脅威を与えられる軍事力を持っていなければできる可能性もあります)

米国は、日本の経済援助をミサイル輸出の“見返り”として活用することになります。
対北朝鮮経済援助は、過去の清算的部分+ミサイル輸出阻止分+プラスアルファになるはずです。


● 北朝鮮に軍事的解決手法は採れない

米国が本土を攻撃されるのを恐れていることは度外視しても、北朝鮮問題を軍事的に解決するのは困難です。

北朝鮮の自己崩壊は、それで引き起こる大量の難民流出を考えれば、韓国・中国にとってとてつもない経済負担を強いられる脅威です。
日本も、百万人単位で北朝鮮難民を受け入れざるを得ない状況になるでしょう。

そうであるならば、北朝鮮に崩壊されるより、ぎりぎり体制が維持できるだけの経済支援をしたほうが得だと判断するのが合理的な国家です。

米国による北朝鮮問題の軍事的解決は、自己崩壊と同じもしくはそれ以上の難民流出を招くことになります。

イラク問題では米英の国連決議案に反対する常任理事国はありませんでしたが、北朝鮮問題になれば、中国とロシアは拒否権を行使すると予測します。


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※ 日朝交渉関連参照書き込み

『あまりにも“雑”であまりにも“政治的”合意』
http://www.asyura.com/2002/war16/msg/204.html

『素朴な推測です』
http://www.asyura.com/2002/war16/msg/273.html

『いくつかの質問への回答』
http://www.asyura.com/2002/war16/msg/323.html

『「田中外相“解任”」→「八尾恵さん“拉致告白”」→「9・4“不審船騒動”」→「9・17日朝合意」』
http://www.asyura.com/2002/bd20/msg/245.html

『早見さん、小泉首相は米国政権の指示で訪朝したのですよ』
http://www.asyura.com/2002/bd20/msg/199.html

『「日朝国交正常化交渉」の今後を占う − 既合意内容がリプレイされる“茶番劇” −』
http://www.asyura.com/2002/bd20/msg/597.html

『「北朝鮮の核開発継続発言」の流布は米国政権のシナリオ通り!! − 日朝国交正常化交渉は加速化する −』
http://www.asyura.com/2002/war17/msg/397.html

『日本に負担を押し付ける“食い逃げ”ブッシュ政権 − 重油とKEDO分担金を支払うべし −』
http://www.asyura.com/2002/war17/msg/514.html

『北朝鮮が「核査察」を拒否していたら小泉首相のピョンヤン宣言署名はなかった』
http://www.asyura.com/2002/bd20/msg/612.html

『“無能”政府と“思考停止”メディアが織りなす「日朝交渉」 − この国が崩壊していくのも不思議ではない −』
http://www.asyura.com/2002/dispute3/msg/1205.html

『西尾氏は「朝日新聞」ではなく「小泉政権」非難し拉致家族には犠牲を訴えるべき』
http://www.asyura.com/2002/nihon2/msg/480.html

『朝鮮半島を見捨てた日本は偉そうなことを言えない』
http://www.asyura.com/2002/bd20/msg/179.html

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