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12日にバリ島で起きた爆弾テロ事件で、国家情報調整庁(BIN)は先週末までに実行グループを特定し、行方を追っていることを明らかにした。実行犯は7人で、うちマレーシアとイエメン国籍の外国人が3人含まれているもよう。一方、国連は25日、バリ島テロ事件への関与も疑われる東南アジアのイスラム過激派組織ジュマア・イスラミア(JI)について、資金凍結などの措置を適用する制裁対象リストへの追加を決議した。
BIN関係者が地元紙コラン・テンポなどに明らかにしたところによると、各地の目撃証言などから身元を特定したバリ島テロの実行犯はインドネシア人4人、マレーシア人2人、イエメン人1人の計7人。このほか外国人を含む2人にも協力した疑いが持たれている。
7人は今月10日、別の外国人1人が運転する車でジャカルタから西ジャワ州プルワカルタに向けて出発。プルワカルタでさらに別の支援者1人と合流した後、外国人運転手を除く8人で中部ジャワ州スマランに向かった。11日に支援者がスマランで爆弾のチェックを終えた後、7人でバリ島入りしたという。
7人の中には◇爆弾の専門知識を持ち、2000年8月のフィリピン大使公邸爆破事件(ジャカルタ)に関与した疑いも持たれるヌサトゥンガラ地域出身のインドネシア人◇アフガニスタンで実践経験を持ち、事件直前に現場のディスコ「サリクラブ」で目撃されたマレーシア人◇アフガンで軍事訓練を受けた東ジャワ州出身のインドネシア人◇サウジアラビアのダーランで96年に起きた米軍基地爆破テロに関与し、米国の偽造パスポートでシンガポールから入国したイエメン人――などが含まれている。
国家警察のエドワード副報道官は27日、すでに諜報機関と協力して実行犯らの行方を追っていると説明。また現在、バリ島各地でもホテルや民家、乗り物、店舗、展示場などのチェックを行っていると述べた。
一方、西ヌサトゥンガラ州警察のイマム署長によると、国家警察は実行犯らの有力な潜伏場所の1つとして、バリ島に隣接する同州を重視。特にスンバワ島の西部からロンボク島にかけての地域を重点的に捜査しているという。
なおエドワード副報道官によると、このほかバリに長期滞在していたパキスタン人10人も27日時点で証人として取り調べているが、事件との関連を示す証拠は今のところ出ていないという。
■爆発は遠隔操作か
一方、豪州連邦警察のグラハム捜査チーム代表は先週末、今回の爆弾テロが携帯電話を用いた遠隔操作によって行われた可能性が高いことを明らかにした。
今回の爆弾テロでは3個の爆弾が使用され、1度目はクタ地区のディスコ「パディズ」、2度目は向かいの「サリクラブ」前に停まっていた車の中、3度目は約7キロメートル離れたデンパサールの米名誉領事館近くで爆発。3回の爆発はわずか55秒間のうちに起きており、遠隔操作による同時爆発の可能性が高いという。
使用された爆薬については、1度目と3度目がTNT500グラム〜1キログラム、2度目が硝酸アンモニウム50〜100キログラムおよびガソリンなどの発火剤と説明している。
一方、国家警察捜査チームのパスティカ監察総監は2度目の爆発について、硝酸アンモニウムのほか、国内で使用されたことのない高性能爆薬「RDX」と「HMX」が使用された可能性もあるとしている。
今回のテロ事件では27日までに死亡者185人のうち86人の身元を確認。身元が特定された死亡者の国籍は豪州36人、インドネシア・英国各12人、スウェーデン5人、米国4人、ドイツ3人、日本・スイス・デンマーク・フランス各2人、韓国・ニュージーランド・シンガポール・台湾・オランダ・エクアドル各1人となった。
■50カ国が制裁支持
国連は25日(現地時間)、バリ島テロ事件への関与が指摘されるジュマア・イスラミア(JI)を、アフガニスタンの旧タリバン政権および国際テロ組織アルカイダに関係する組織に対して適用される制裁対象リストに加えた。
23日にJIを外国テロ組織に指定した米国の提案に基づくもので、東南アジア諸国連合(ASEAN)の加盟10カ国と欧州諸国、日本、豪州など50カ国が支持を表明。ただしイスラム会議機構(OKI)に加盟する54カ国(パレスチナ解放機構除く)のうち支持したのはインドネシア、マレーシア、ブルネイの3カ国のみだった。
今回のリスト追加により、国連全加盟国はJIに対し資産凍結、入国禁止、武器取引の禁止措置を取ることが義務付けられた。
なおシンガポールとマレーシアはJIの指導者とみられるアブバカール・バアシル容疑者(64)の名前もリストに加えるよう提案したが、インドネシアが難色を示し、最終的に提案取り下げに同意している。
19日に逮捕されたアブバカール容疑者は27日時点でも中部ジャワ州ソロの病院に入院中。ただし同容疑者は退院後に取り調べに応じる姿勢を見せており、弁護団は29日にもダイ国家警察長官と会い取り調べの場所を調整するほか、収監命令の取り消しも要請する予定。
ソロではイスラム寄宿学校の指導者であるアブバカール容疑者の収監に伴う騒乱などの発生も懸念されており、27日には国内最大のイスラム組織ナフダトゥール・ウラマ(NU)が市民約3,000人を集め、同容疑者の逮捕・収監に伴う一切の暴力行為に反対する平和集会を開催している。
■APEC、テロ非難声明採択
メキシコ・ロスカボスで26日(現地時間)に始まったアジア太平洋経済協力会議(APEC)非公式首脳会合は同日、バリ島テロ事件などを非難する共同特別声明を採択した。
同声明はバリ島事件のほかフィリピンで起きた爆弾テロ事件、ロシアの劇場占拠事件などを強く非難するもので、正式な内容は最終日の27日(インドネシア西部時間28日午前)に発表される予定。このほか26日には貿易と資金、通信の各分野のテロ対策を定めた声明も採択された。
メガワティ大統領は26日、APECで行った演説で「インドネシアはバリ島事件の最大の被害者である」と述べ、各国に対し渡航延期勧告の廃止を要請。テロ撲滅に向けて今後も努力を続けていく方針も強調した。
大統領はまた今回の会合で、小泉純一郎首相をはじめ米国のブッシュ大統領、豪州のハワード首相、韓国の金大中大統領、中国の江沢民主席らと個別に会談。
このうち小泉首相との会談で、大統領はテロ対策での日本の支援を要請し、小泉首相は2,000万米ドルの無償資金援助を含めた総額2,600万米ドル(約32億円)の経済援助を約束した。
またブッシュ大統領との会談では、遅れている武器輸出の早期解禁を要請。これに対しブッシュ大統領は、米議会が難色を示している点を遅延の理由として挙げ、インドネシアがテロ対策に前向きな姿勢をみせれば議会も解禁に同意するとの見方を示した。
また同席したハッサン外相によると、ブッシュ大統領は先に発令されたテロ撲滅のための緊急政令を「バリ島事件犯人の早期逮捕につながる」と評価。一方で、JIをめぐるインドネシア国内の情勢にも理解を示し、圧力を加えるような姿勢は見せなかったという。
当初28日に帰国する予定だったメガワティ大統領は日程を繰り上げ、APEC終了直後の27日夜にインドネシアに向けて出発する。ジャカルタ到着は29日朝になる見通し。