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(回答先: IAEA総会始まる、イラクに査察受諾要求へ〜北朝鮮にも早急な査察受け入れを促す〔日本経済新聞〕 投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2002 年 9 月 16 日 19:27:50)
転載。
日朝首脳会談では、核・ミサイル問題等も論議の対象になることが予想されますが、
この点に関しては、小泉は米国の“番頭”よろしく、米朝交渉再開問題の露払いの役
割を担うことになるでしょう。
7日にソウルでおこなわれた「日米韓三国調整グループ会合」には、今回の小泉訪朝
をお膳立てした立役者・田中外務省アジア大洋州局長、米国の米朝交渉担当者・ケ
リー国務次官補らも出席し、「日米韓はミサイルや大量破壊兵器を含む北朝鮮との長
年の懸案について、対話を通じて対処すること再確認」「北朝鮮にIAEAとの完全
な協力を開始するするため、早急に行動するよう要請した」――等の共同発表文が出
されています。
実は、来年2003年は、米朝関係の一つの大きなターニングポイントになる年で
す。それは、米朝ジュネーブ包括合意で確認されている、「2003年までに」とい
う北朝鮮への軽水炉提供期限を迎える年であり、もう一つは、北朝鮮側が宣言した交
渉中のミサイル発射実験凍結の期限も来年2003年だからです。
軽水炉の問題では、2003年提供どころか大幅に遅れ、つい先日起工式がおこなわ
れたばかりで完工予定は2008年とされ、5年も遅延することになります。
ブッシュは、北朝鮮に直ちに査察をおこなうよう要求していますが、何の根拠もあり
ません。
ジュネーブ合意では、「軽水炉対象の相当な部分が実現された後、そして主要核関連
部品などが納入される前」に、北朝鮮はIAEAとの保障措置協定を完全に履行する
と明記されています。このペースでいくと主要関連部品等が納入されるのは2005
年
頃と見られており、査察はこの段階(前記納入の前)でなされることになります。そ
して北朝鮮側は、ジュネーブ合意を誠実に履行することを繰り返し表明しています。
むしろ、ジュネーブ合意の約束の期限を守らず、アレコレと難癖をつけているのが
ブッシュであることは明らかです。
問われているのは、日本のマスコミが流しているような、「北朝鮮が査察を受け入れ
るかどうか」ではなく、まさにその反対に、ブッシュがジュネーブ合意を遵守するの
かどうかです。
むしろ、これもジュネーブ合意の確認で、軽水炉へ転換する間の代替として米国が重
油を提供しているわけですが、ブッシュにはこの遅延期間も引き続き円滑に重油を提
供する義務があるのです。
もう一つ、ミサイル問題でも、クリントン政権末期には「妥結寸前だった」との当時
の米国側の担当者やオルブライト前国務長官の証言もあります。だからこそ、200
0年秋には趙明禄、オルブライトのワシントン、ピョンヤン相互訪問もおこなわれ、
「米国大統領の訪朝」まで明記した共同声明が出されたことは、記憶に新しいことで
す。
こう見てくると、ブッシュが「大量破壊兵器開発疑惑」を口実として、北朝鮮を「悪
の枢軸」などというのは、何の根拠もないばかりか、約束の期限を前にして、約束を
果たせない者がいわば“逆ギレ”しているのに等しく、一片の道理もありません。
実は、米国の側も、このことがわかっているから、駐韓米軍はそのままに北朝鮮の通
常戦力の削減要求などといった、新たな難題を持ち出し、交渉を暗礁に乗り上げさせ
てきたのです。
国際的な約束事を守らないブッシュこそ、「ならず者」というべきでしょう。
ジュネーブ合意はまた、軽水炉転換問題とともに、経済制裁の緩和、米国が核兵器を
使用せず核威嚇もしないことを保障、相互の連絡事務所の設置、そして相互の関心事
の解決に伴い大使級の関係樹立までが確認されているのです。
米朝交渉が再開されれば、北朝鮮側は自らのジュネーブ合意の履行意志を再確認する
でしょうし、少なくとも交渉中のミサイル実験凍結の継続を確認するのではないかと
思われますが、ここで問われるのは、ブッシュこそがジュネーブ合意と2000年米
朝共同声明を遵守するのか否かです。もし、これを拒否するなら北朝鮮側も、これら
の履行義務は無くなるということになります。
クリントン時代、いわゆる「核危機」のとき、米国は戦争発動寸前まで行きました
が、カーター訪朝により一転してジュネーブ合意に至りました。後に打ち出されたペ
リー報告は、簡単に言えば“朝鮮半島で戦争を発動すれば、南北の軍人・民間人、そ
して米兵にも多大な犠牲が出る。(期待していた)北朝鮮の崩壊も近い将来あり得な
い。(イヤでも)北朝鮮の現政権と交渉するしかない”という評価を下し、対朝鮮戦
略の転換を図りました。ペリーが指摘したこの状況は、基本的に今も変わっていない
と思います。
(ただし、日本の有事法制成立など「戦争国家」の完成が危険要素として加わりつつ
あり、これはまさに私たちの責任として問われています)
そして、いまでもイラク攻撃について国際的な反対世論が高まっていますが、朝鮮半
島での戦争発動となれば、周辺諸大国を含め、恐らくその比ではないでしょう。
南北サッカー大会が開かれましたが、サッカーW杯の時の「テ〜ハミングッ」に代わ
り、「トンイルチョグッ(統一祖国)」のコールと統一旗がはためきました。アジア
競技大会の南北採火式もおこなわれましたが、南北交流の場としてもっと大規模なも
のとなるでしょう。
6・15南北首脳会談−南北共同宣言で和解と平和・統一を確認した朝鮮半島の南北
は、その前途に曲折はあってももはや後戻りすることはないでしょう。
昨秋、東京の報復戦争反対行動にゲスト参加した韓国の在野運動のリーダーは、「か
つては反米無風地帯だった韓国は、今や反米熱風地帯に変わった」と力強く述べまし
たが、ブッシュが朝鮮半島で戦争を引き起こそうとすれば、何よりも全朝鮮民族を敵
に回すことになるでしょう。
問われているのは、ブッシュやこれに追随する小泉の側であり、こうした米朝交渉の
経過を無視し、無批判に報じているマスコミの報道姿勢です。