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【ベルリン6日=宮明敬】シュレーダー首相率いるドイツ社会民主党(SPD)は5日、米国が対イラク攻撃を決定しても、派兵も資金援助もしない、との姿勢を鮮明にした。連立与党である緑の党のフィッシャー外相も「武力で(イラクの)政権交代を図るのは誤り」と語っており、昨年9月の米同時テロ以来、米国との「限りない連帯」(シュレーダー首相)を表明してきたドイツは、米国の対イラク戦略と明確に一線を画すことになった。シュレーダー政権の米国からの離反は、イラク攻撃に反対するドイツ国民が多いことを考慮した選挙戦術とも見られているが、もともとイラク攻撃に懐疑的な欧州諸国を刺激し、大西洋間の亀裂を深める恐れがある。
シュレーダー首相は5日、ハノーバーで開始した総選挙最終キャンペーンで演説、ますます現実味を帯びる米軍のイラク攻撃について、「サダム・フセインに査察を受け入れるよう圧力をかけるのは賛成だが、私が首相である限り、軍事的冒険には加わらない」と語った。首相はまた、「(湾岸戦争時に派兵せず、代わりに180億マルクの資金を供出した)コール前政権のような小切手外交はもはや過去のもの」とも述べ、米国が現状のままでイラク攻撃に踏み切れば、派兵も資金協力も拒否する姿勢を示した。
ドイツ政府はこれまで、ドイツ軍派兵の必要条件として、国連安保理決議とドイツ連邦議会の承認を挙げてきたが、ミュンテフェリングSPD幹事長は5日、さらに進んで、「国連決議があれば派兵するというわけではない」と語り、安保理が承認し、他の欧州諸国が米国に追随しても、イラク攻撃には参加しない、との見通しを示した。
シュレーダー首相は昨年9月の米同時テロ後、米国との「限りない連帯」を表明、与党内和平派の反対を押し切って、特殊部隊を含む3900人の兵をアフガニスタンに派遣した。しかし、国民の間では、これ以上の戦線拡大に反対する声が強く、帰国した特殊部隊員からも「我々は、対テロ共同戦線の政治的象徴として使われたに過ぎない」との不満が出ていた。
欧州では、対イラク経済制裁の緩和を主張してきたフランスが攻撃にも懐疑的なほか、英サンデー・テレグラフ紙などによれば、ブレア英首相が米国に「イラク攻撃決定前に中東紛争収拾努力を倍加すべきだ」と要請したのに対して米国が拒否するなど、緊密な米英の同盟関係にもきしみが生まれているとの観測もある。
ただ、今回のシュレーダー政権の方針転換は、9月22日の総選挙に向けた大衆迎合的な集票戦術との指摘もある。SPDは支持率で保守系野党のキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)にリードされ続けているからだ。シュトイバー・バイエルン州首相を連邦首相候補に据え、「米国とのより強い連帯」を唱えるCDU・CSU陣営は、「選挙のために外交を乱用している」とシュレーダー首相を非難した。
(8月6日21:48)
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ドイツの外交が本物か選挙のための偽物かはともかく、実施すれば、米国がイラクを攻撃した場合、日本など同盟国の目指すお手本の外交になりそうです。