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アルカイダ再結集の不気味〜残党がパキスタンに集まり、カシミール紛争に乗じて新たなテロを計画?(ニューズウィーク日本版2002年6月12日号) 投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2002 年 6 月 13 日 12:43:24:

(回答先: 印パの核抑止力はいつか破綻する(ニューズウィーク日本版2002年6月12日号) 投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2002 年 6 月 13 日 12:39:26)

Al Qaeda's New Threat
アルカイダ再結集の不気味

残党がパキスタンに集まり、カシミール紛争に乗じて新たなテロを計画?

マイケル・ハーシュ(ワシントン)
ロッド・ノードランド(ロンドン)

世界最強の軍隊が血眼になって捜している人物が大勢顔をそろえたにしては、人目をはばかるような雰囲気はほとんどなかった。
先日、パキスタン北部の都市ペシャワル近郊のアフガニスタン人難民キャンプに、崩壊したアフガニスタン・タリバン政権の元高官たちが集まっていた。にこやかに談笑する輪の中には、タリバン政権のアブドゥル・ラフマン・ザイド外務次官やジャリル・ユサフザイ国防省高官の姿もあった。
かつてアフガニスタンに侵攻したソ連軍と戦った「聖戦士」の一人が結核のため、この難民キャンプで死亡した。タリバンの幹部たちは、その葬儀に集まったのだ。パキスタン情報当局は彼らを退去させたが、身柄の拘束などは行わなかった。
タリバン政権の元高官ムアルビ・アガ・ジャンは、ウサマ・ビンラディンの居所について、こう言い放った。「ウサマは本物の愛国者だ。どんなに必死に捜しても、アメリカが彼を捕らえることはできないだろう」

南アジア悪夢のシナリオ

ショッキングなのは、ジョージ・W・ブッシュ米大統領がテロとの戦いの最も頼もしい同盟国と呼んだパキスタンで、こうした会話が公然となされていることだ。
ここにきて急速に、アルカイダとタリバンの工作員がパキスタン国内に入りはじめている。アフガニスタンとの国境に近いペシャワルやクエッタでは、タリバンの残党がのうのうと生き延びているし、パキスタンの主要な都市にはことごとくアルカイダの工作員が潜入している。
こうした動きが示唆しているのは、テロとの戦いが新たな段階に入ったということだ。
アルカイダの残党は、昨年の同時多発テロのようにアメリカやその関連施設に大がかりな攻撃を仕掛ける戦術を捨てて、これまでとは違った標的に狙いを定めはじめている。核兵器をもつパキスタンは、真っ先にそのターゲットになりかねない。
米政府が神経をとがらせているのは、アルカイダの工作員とパキスタン人の同調者が、インドとパキスタンの対立に火をつける可能性だ。この二つの核保有国は、カシミール地方の領有権をめぐって長年対立してきた。
「戦争を引き起こすことができれば、連中の思うつぼだ」と、パキスタン軍の退役中将タラト・マスードは言う。「そうなれば、南アジアで最悪のイスラム過激運動が解き放たれることになるだろう」
米政府はインドとパキスタンの仲介をするために、ドナルド・ラムズフェルド国防長官とリチャード・アーミテージ国務副長官を派遣することを決めた。
その一方で、ブッシュは先週、「(テロリストが)インドとパキスタンの対立により、なんらかの利益を得ようと考えるのはまちがいだ」とクギを刺した。「われわれはテロリストの捕獲作戦をやめるつもりはない」
とはいうものの、パキスタンのパルベズ・ムシャラフ大統領は、多くのイスラム過激派を国内に野放しにしている。
アルカイダの影響を受けたパキスタン人のカシミールゲリラがインドに対して再び大々的な攻撃を仕掛けるような事態になれば、ラムズフェルドの仲介努力が水の泡になりかねないと、米政府は恐れている。
そこでブッシュは先週、盟友ムシャラフに、珍しく厳しい注文をつけた。パキスタン国内のテログループを取り締まるという約束を果たすよう迫ったのだ。「(カシミール地方への)越境をやめさせるべきだ」と、ブッシュは言った。「そう約束したのだから」

追いつめられたテロ組織

とはいえ、米当局によればこれまでのところ、カシミール紛争にアルカイダが直接関与していることを示す証拠はほとんどない。
しかし、アルカイダとカシミール地方のイスラム過激派組織の間には太いパイプがある。かつてアフガニスタン国内の少なくとも五つの訓練キャンプで、カシミールゲリラの訓練が行われていた。そのうちの1カ所ははっきりと、自爆テロリストの養成を目的に掲げていた。
それでも、テロとの戦いはそれなりに成果を上げているようにみえる。テロ専門家のローハン・グナラトナによれば、アルカイダの最高幹部25人のうち16人はすでに死亡、もしくは身柄を拘束されており、タリバンの最高幹部27人のうちいまだに逃走中なのは、6人にすぎない。
それに米政府筋によれば、ムシャラフは筋金入りのテロリストの捕獲は継続しているという。先日も北部の町ファイサラバードで、アルカイダのナンバー3とされる男が逮捕された。
「パキスタン国内で活動しているCIA(米中央情報局)やFBI(米連邦捜査局)、アメリカ特殊部隊の要員の数を知れば、目を丸くするだろう」と、パキスタン外務省幹部は本誌に語った。

テロの「局地化」が進行

しかし、パキスタンでのアメリカの活動には依然として制約がある。しかもパキスタン政府は、テロリスト捕獲のために投入されていた兵員約8000人を、緊張の高まっているインドとの国境地帯へ移動させようとしている。
そうなると問題は、多くのテロリストが野放しのままパキスタン国内に残される可能性があることだ(かつてのアフガニスタンでのように自由に動き回ることはできないだろうが)。
「心配なのは、アルカイダがパキスタンを新しい拠点にしてしまうことだ」と、米政府高官は言う。
差しあたっての不安材料は、ムシャラフ暗殺計画が実行されてパキスタンの政情が不安定化することだが、それ以上に危険なのはパキスタンの核兵器がテロリストの手に渡るケースだ。
もっともパキスタン政府筋によれば、この国が保有する20〜50発の核弾頭はまだ組み立てられておらず、安全だという。「わが国では、核の密売や紛失事件は1件も起きていない」と、パキスタンのある外交官は言う。
しかし、テログループがその姿を変えつつあるのは、パキスタンだけではない。
世界各地のテログループは、ビンラディンという指導者の指揮命令を受けて動く「テロ株式会社」ではなく、もっと緩やかな形で連携するネットワークに変容しはじめている。アルカイダの残党やそれに共感する勢力は各地で小規模なグループとして再集結し、独自に行動しはじめているようだ。
テロの標的も局地的なものに変わっていくだろう。パキスタン、アメリカが後押しするアフガニスタンの暫定政権、世界各地の米軍基地、アメリカ関連施設……。つけ入るすきさえあれば、あらゆるものが標的になる可能性がある。
4月にチュニジアのリゾート地でシナゴーグ(ユダヤ教会堂)が爆破されて、ドイツ人観光客14人を含む19人が死亡した事件は、新しいテロの典型といえるかもしれない。
ドイツ政府でテロ対策を担当するハンス・ベートは、そこにアルカイダの「戦術の変更」を見たという。アルカイダは「これまでよりも単純な攻撃」に転換しはじめていると、ベートは言う。
確かに、その兆候はある。3月にはパキスタンのイスラマバードの教会に手榴弾が投げ込まれ、アメリカ人2人を含む5人が死亡する事件が起きた。5月には、同じくパキスタンのカラチで、自爆テロによって14人が死亡している。2月には、ローマの米大使館を標的としたテロが企てられていたとも言われている。

ウサマの精神は消えず

ビンラディンがテロリストに指示を与えたり、資金援助を行うことはもうないかもしれない。イスラム過激派のテログループが昨年の同時多発テロのような大がかりな攻撃を仕掛けたり、大量破壊兵器を使ったテロを行う可能性も減ったかもしれない。
しかし、ビンラディンの精神はまだ生きている。それに、テロ・ネットワークが小規模・分散化することにより、テロリストの捕捉がこれまで以上にむずかしくなったことは否めない。
「(テログループは)自在に姿を変える」と、元CIA工作員のロバート・ベアーは言う。「(これを捕らえるのは)水銀の玉に針を刺すのと同じくらいむずかしい」
次のテロ攻撃は、アルカイダとほとんど無関係の組織によって行われる可能性もある。「ビンラディン後」の時代には、気づかないところでテログループが増殖しているかもしれないのだ。
しかし、世界各地のテロ集団をまとめる中央組織が存在しなかった「ビンラディン前」の時代に完全に戻ることはありえない。
ビンラディンとアルカイダは、爆弾製造や情報収集、生物・化学兵器の使用方法などの知識を世界各地のテログループに授けた。
今やアメリカの要人警備の手法も、テロリストに筒抜けだ。本誌の入手した情報によれば、押収されたアルカイダの警備マニュアルは、米政府の要人警備体制と驚くほどよく似ていたという。今回のラムズフェルドやアーミテージの外遊にも、不安がついて回る。
「組織としてのアルカイダは確かに弱体化したが、独自に(アメリカに)報復しようとする狂気のテロリストがまだ大量に野放しになっている」と、あるアラブの情報機関幹部は言う。「いつ、どこが狙われるのかは、まったくわからない」
それは、アルカイダの幹部にもわからないのかもしれない。

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