★阿修羅♪ 現在地 HOME > 掲示板
 ★阿修羅♪
次へ 前へ
印パの核抑止力はいつか破綻する(ニューズウィーク日本版2002年6月12日号) 投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2002 年 6 月 13 日 12:39:26:

オピニオン

In Praise of Nukes (Gulp)

印パの核抑止力はいつか破綻する

ファリード・ザカリア(本誌国際版編集長)

あわてなくてもいい。インドとパキスタンが核戦争を起こすことはないだろう――少なくとも今月中は。
インドには、パキスタンへの攻撃を控えざるをえない理由が二つある。核兵器と米軍の存在だ。新聞や雑誌には「核戦争の危機」といった見出しが躍っているが、核兵器の存在は印パ両国にとって「頭を冷やす」効果を生んでいる。
両国は、独立後の約30年間(核のない時代)で戦争を3回した。だが、次の30年間(核保有時代)では大規模な戦争は起きなかった。
双方が核兵器をもっていなければ、すでに戦争が勃発していた可能性もある。核抑止力は完璧とはいえないが、効果は期待できる。
加えてインドは、いま戦争を始めるのは得策でないということを承知している。空軍基地などパキスタンにある主要な攻撃目標には、米軍が駐留しているからだ。
しかも米政府は、なんとしても印パの衝突を食い止めたい立場にある。戦争となれば、アフガニスタン国境のパキスタン軍はインド国境に移動するだろう。そうなると、アメリカのアルカイダ掃討作戦は大きな打撃を受ける。
インドには、戦争を避けるべき理由が、もう一つある。今までの戦略が成功していることだ。

考え抜かれたインドの策

インドは過去3週間、いつ攻撃を始めてもおかしくないような態度を示してきた。だがこれは、カシミールで活動するテロ組織への支援をパキスタンにやめさせるための、考え抜かれた作戦だ。
「他国を信じさせるためには、われわれ自身が戦争を望んでいると思い込むくらい(戦略は)リアルでなければならない」と、インド人コラムニストのシェカル・グプタも書いている。
実際、米政府は即座に対策を講じた。パキスタンのパルベズ・ムシャラフ大統領に、テロリストのカシミールへの移動を禁じるよう圧力をかけた。
だが、今回の戦争の危機が当面回避できたとしても、その後はどうなるのか。カシミールの領有権問題をめぐって、印パはすでに後に引けないところまできている。
最も可能性の高いシナリオは、パキスタンがテロリストの「国境」越えを数カ月間だけ禁止し、その後でまた許可するというものだ。
その結果、カシミールで大規模なテロが起きれば、インドにとっては信用問題にかかわる事態だ。昨年12月に国会議事堂襲撃事件が起きて以来、威嚇を繰り返してきたため、そろそろ本気だということを示さざるをえなくなる。

米国の経済支援が必要

脅しでは、ムシャラフも負けてはいない。カシミールのパキスタン支配地域などをインドに攻撃された場合、応戦だけでなく、インド支配地域を攻撃することもありうると語った。言葉の応酬は、すでに核戦争レベルだ。
とはいえ、双方とも戦争は望んでいない。脅しは抑止が目的だ。だが、軍縮問題の専門家トマス・シェリングによると、国際関係では代償が高くつくケースが二つあるという。約束が守られたときと、脅しが失敗したときだ。
脅しの応酬を繰り返しているうちに、脅しが効かなくなったら、双方ともなんらかの行動に出ざるをえなくなる。核抑止は、どんなときにも機能すると言いきれるだろうか。キューバ危機が3カ月ごとに起きていたら、いつかは核のボタンが押されていたかもしれない。
少なくとも現時点で、カシミール問題の根本的な解決策はない。だが、現在の危機は回避できる。
パキスタンは、インドに対するテロ行為への支援をやめるべきだ。両国の軍事的緊張を緩和するのに、この方針転換以上に効果のある方策はない。
ムシャラフは、この方針転換によって新たなリスクをかかえ込むことになる。タリバンへの支援をやめ、イスラム過激派を敵に回しても、彼を支持する国民は大勢いた。だがカシミール問題で譲歩すれば、国民は猛反発するはずだ。ムシャラフは国民に「見返り」を用意する必要があるだろう。
そこでアメリカの出番となる。米政府はムシャラフに圧力をかけ続ける一方で、パキスタンがテロ組織への支援を永久にストップすれば、それなりの恩恵を与えると約束するべきだろう。
具体的には、アメリカはカシミール問題に関する印パの協議再開を支援すべきだ。パキスタンが穏健イスラム国家として発展できるよう、経済的にバックアップすることも重要だろう。
南アジアにとって最も望ましいのは、パキスタンに対するインドの威嚇作戦が成功し、アメリカの約束が功を奏することだ。
近いうちに核戦争が起きるおそれはないが、いま緊張緩和策を講じなければ手遅れになる。

 次へ  前へ



フォローアップ:



 

 

 

 

  拍手はせず、拍手一覧を見る


★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
投稿コメント全ログ  コメント即時配信  スレ建て依頼  削除コメント確認方法
★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/  since 1995
 題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
掲示板,MLを含むこのサイトすべての
一切の引用、転載、リンクを許可いたします。確認メールは不要です。
引用元リンクを表示してください。