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【イスラマバード春日孝之】
インドとパキスタンの軍事的緊張が一層高まっている。双方の指導者は22日、「戦争」という言葉を使い対決姿勢を鮮明にした。今回は印パに加え、仲介役の米国も「印パ緊張」を自国の国益にかなうと判断しているとの見方もあり、すんなり緊張緩和に向かう状況にはなさそうだ。いずれの国も偶発核戦争を招きかねない印パ戦争を望んではいないが、それぞれの思惑を秘め、危険な「戦争ゲーム」を繰り広げているのが実情だ。
インドのバジパイ首相は22日、訪問先のカシミールで最前線兵士を前に「決戦の時が来た。この戦争に勝利する」と、戦意を鼓舞した。ロイター通信によると、東部艦隊の駆逐艦など5隻をアラビア海に派遣するなど臨戦態勢に入っている。
パキスタンのムシャラフ大統領は同日、改めてインドに対話を呼びかける一方、「インドとの戦争がより近づいてきた。最後の血の一滴まで戦う」と反発した。
今回の対立は、イスラム武装勢力とみられるグループが14日にインド支配地域カシミールのインド軍施設を襲撃したのが発端。22日にはカシミール人の穏健派指導者が暗殺され、軍事的緊張がさらに高まった。
パキスタン軍情報機関(ISI)筋は23日、毎日新聞に「いずれの事件もISIが関与した」と明言。カシミール問題の解決に向け国際社会にアピールする好機と判断したからだという。
インドにとっては「売られたケンカ」だ。しかし最近の地方選挙は敗北続きで、今年2月以来の宗教暴動による混乱もあり、パキスタンへの強硬姿勢は求心力を高めるにはうってつけの状況だ。
一方、米国は印パの緊張緩和に向け仲介を表明したが、ISI筋によると、米国は「印パの緊張」は南西アジアでの「対テロ戦争」を遂行する上でプラスと判断しているという。
米軍はアルカイダ掃討作戦のため、パキスタンに駐留。イスラム過激派撲滅も目指しパキスタンのアフガニスタン国境地帯で掃討作戦を継続している。しかし、パキスタンは米軍の単独作戦を認めず、実際はパキスタン軍が米軍を監視している。米国は「印パ緊張」により、パキスタンの兵力をカシミールの実効支配線や国境地帯に移動させ、この地域の作戦でフリーハンドを得たいところだ。
今後、米国がインドに対し、カシミールのパキスタン支配地域にあるイスラム武装勢力の拠点攻撃を容認する可能性を指摘する声もあり、事態は予断を許さない。