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06/20 15:00 依然大きい民族格差　成功には中国語必須 　外信417
共同
　中国新疆ウイグル自治区の中心都市ウルムチで、市政府は外国人
記者団に、ウイグル民族と漢民族の代表的な私営企業家二人の取材
をセットした。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　「共産党や政府の支持がなければ決して成功できなかった」　　
　ウイグル民族で、自治区内に三十八軒の食品チェーンストアを展
開する「アルマン」のラディル社長は、腰を低くし、しきりに市職
員らを気遣いながら中国政府を称賛した。少数民族の企業に対して
は、法人所得税が当初の八年間免除されるなど優遇政策がある。　
　年間売り上げ三千万元（約四億五千万円）で、社員は八割が少数
民族。だが棚に並んだ商品や店の古めかしいデザインは計画経済時
代をほうふつさせ、洗練されているとは言い難い。　　　　　　　
　一方、漢民族経営の「美克国際家具」は対照的だ。近代的な工場
の生産ラインに輸出向けのモダンな高級家具が整然と並ぶ。　　　
　年間売り上げ八千万ドル（約百億円）。馮東明社長は企業家とし
ての過剰なほどの自信に満ちあふれ、少数民族企業への優遇政策を
どう思うか尋ねると「そんな政策は知りません」と素っ気ない。社
員にウイグル民族はいないという。　　　　　　　　　　　　　　
　市政府は、対外宣伝のため最も優良な企業を選んだはずだが、二
社の差はそのまま同自治区の両民族間の格差を象徴していた。　　
　中国政府が同自治区で約６０％の人口を占める少数民族の自治を
認め、優遇措置などで少数民族政策に努力しているのは確かだ。　
　だが自治区や地方の州、区のトップである共産党委員会書記のポ
ストは漢民族が押さえ、にらみを利かしている。ビジネス界も同様
。少数民族は漢民族文化を受け入れない限り、発展が望めないのも
現実だ。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　地方政府の幹部になるにも、ビジネスで成功するためにも中国語
は必須。少数民族事情に詳しい専門家は「自治区内には少数民族向
けの学校があるが、卒業しても就職先は少なく、漢民族の学校へ通
わせる家庭が増えている」と話す。　　　　　　　　　　　　　　
　また一九四九年の建国時に７％しかいなかった漢民族は、その後
の政策などによる大量移住で４０％まで増加。都市部に限れば漢民
族であふれ、少数民族は意外なほど少ない。　　　　　　　　　　
　シルクロードのオアシス都市として栄えた自治区中央部のコルラ
。郊外に多数の古代遺跡が残るが、ビルが並ぶ市内の景観は中国の
ほかの内陸都市と大差ない。近代化の代償として少数民族文化は急
速に周辺へ追いやられつつある。（ウルムチ共同＝塩沢英一）　　
（了）　　０２０６２０　１５００　　　　　　　　　　　　　　
[2002-06-20-15:00]

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