(回答先: 米のイスラエル支持に石油戦略発動も…アラブ連盟〔読売新聞〕 投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2002 年 4 月 28 日 11:53:21)
原油価格の上昇で痛手を負っていた世界の石油市場が先週、さらなる一撃を見舞われた。4月8日、イラクのフセイン大統領がイスラエルによるパレスチナへの攻撃に抗議して、原油の輸出を30日間停止すると発表したのだ。
2月半ば以降、25%上昇していた原油価格はさらに5%上昇。世界経済は景気後退期に逆戻りするかにみえた。
だが結局、フセインのもくろみは失敗に終わったようだ。サウジアラビアなどOPEC(石油輸出国機構)加盟国はイラクの措置に追随しないと表明、原油価格は安定した。
それでも、懸念が消えたわけではない。モルガン・スタンレーは、原油価格が1ドル上がるごとにアジア経済のGDP(国内総生産)成長率は0.1%低下すると予測。エーブラハム米エネルギー長官も、ガソリン価格の上昇は米経済の回復の足かせになると述べた。
こうした懸念の一部は誇張されているかもしれない。まず、石油への依存度は昔より低下している。アメリカのGDPに占めるエネルギー支出の割合は、80年の約14%に比べて今ではわずか7%だ。
FRB(米連邦準備理事会)のグリーンスパン議長は米経済の成長に自信をもっているし、消費も盛り返している。景気回復の足取りは鈍っても、影響はわずかというのがもっぱらの見方だ。
OPEC加盟国は、イラクがさらに強硬な措置を取ってもそれを補えるだけの石油供給量をそなえている。先週のクーデター騒動で産出量が減少したベネズエラも、経済を石油輸出に依存している以上、誰が政権を握ろうと産出量を維持せざるをえないだろう。
もっとも、中東情勢の展開次第では、サウジがいくつかの周辺国とともに禁輸措置を取る可能性もなくはない。そうなれば、石油相場は一時的に高騰するおそれもある。
世界経済はどん底には向かっていないが、前途に雲一つないというわけでもない、というのが妥当な見方だろう。