【エルサレム井上卓弥】
ヨルダン川西岸パレスチナ自治区ベツレヘムの聖誕教会でパレスチナ武装集団が3週間にわたってろう城を続けている問題で、パレスチナ側と教会を包囲するイスラエル軍の初の直接交渉が23日、教会に面するメンジャー広場近くで行われた。焦点の武装集団の扱いをめぐってはパレスチナ側が「自治区ガザへの移送」を提案した模様で、同日夜にも再交渉が行われる。
パレスチナ側のナセル・ベツレヘム市長は交渉後、「建設的な内容だった」と交渉の行方に楽観的な姿勢を強調。イスラエル軍報道官は「結果について評価するのは時期尚早」と慎重に対応する一方で、交渉が同日夜にも再開されるとの見通しを示した。
パレスチナ側は交渉で、武装集団のガザ移送を提案したが、イスラエル側は投降を前提に(1)イスラエルでの裁判(2)外国への亡命ーーを選択肢としており、合意に至るまでなお曲折が予想される。
聖誕教会はイエス・キリストの生誕地とされ、キリスト教最大の聖地の一つ。イスラエル軍の過激派掃討作戦に応戦し、武装集団を含むパレスチナ住民約200人が2日、教会内に逃げ込み、破壊を防ぐため、自らの意思で中に残った司祭や修道女ら教会関係者約30人を事実上の人質にして立てこもった。
両者の交渉は当初、先週中にも行われる見込みだったが、仲介者をめぐる条件が折り合わず、いったん中止された。イスラエル・メディアによると、パレスチナ側は23日の交渉に駐イスラエル・スイス大使など第三者を参加させようとしたが、イスラエル側に拒否されたという。