チュニジアでイヤな「爆破テロ」もが起きたが、NHK衛星1で放送しているヨーロッパのTVニュースは、今週はじめから“反イスラエル”のトーンを一気に落としている。
(米国のABCのほうが今なお“反イスラエル”のトーンが強い)
“密かに”進む「反イスラム」世論形成を強く感じさせられたのは、今日放送された「フランスF2ニュース」である。
● 3月29日からの3週間で303件の反ユダヤ的行為
警察の発表として、3月29日からの3週間で303件の反ユダヤ的行為があったという。大半は落書きで、シナゴーグなどユダヤ人関連の建物に対する放火及び放火未遂が14件、ユダヤ人に対する暴行が16件という。
それらの犯人は、ほとんど見つかっていないともいう。
そのようななかで、あるユダヤ人の話として次のようなインタビュー映像を流した。
「私たちは平和主義者ですから、イスラム教徒の兄弟たちとの間で憎しみ合う雰囲気を大きくするつもりはありません。兄弟なんですから。私たちはみな同じ地球で暮らす兄弟なんです。中東の問題をフランスに持ち込むのは許せません」
※これを素直に聞けば、落書きはともかく、放火や暴行といった様々な反ユダヤ的行為はイスラム教徒の仕業であり、ユダヤ人はそれに対しても寛大であるといった印象を持つ人が多いだろう。
● ある火炎ビン投げつけ犯人はマグレブ出身者
2週間前にユダヤ人の住宅に火炎ビンを投げつけた事件の犯人は、大人と13歳の少年でマグレブ(チュニジア・モロッコ・アルジェリア)出身者だと報じ、彼らはこれまで警察沙汰になったことはなく、犯行のきっかけを探すと、アラビア語とイスラム教の教育を受けていたということだけだという捜査官の話を流した。
※ふむふむ、イスラム教徒は過激派だけではなく、普通に見える人も危険性を秘めているということね。フランス人をはじめとしてこのニュースを見た人が、このように思わないことを願っているが。
“ユダヤ人に負い目がある”ドイツも、9・11空爆テロの計画が練られた国だとされ、今回は自国民が「爆破テロ」(イスラム教徒の犯行という認識が醸成されている)で犠牲になったことから、イスラム教徒に対する危険視や憎悪が広がる恐れがあるだろう。
英国は、9・11空爆テロ直後からブッシュ政権と並んでイスラム過激派攻撃を強めてきた。
悪く言えば、西欧諸国は、パレスチナの危機が深まるなかで、自分たちが1千年にわたって行ってきた「ユダヤ人迫害行為」を、移住してきたイスラム教徒の手に“移管”しようとしているのではないかと思われる。
ちなみに、フランスは、宗教を問題にしない国なので表面化しないが、米国よりもユダヤ人の人口が多いという。