自爆テロと軍事報復の応酬が続くイスラエル・パレスチナ間の衝突収拾のため中東入りしているパウエル米国務長官は14日、ヨルダン川西岸のパレスチナ自治区ラマラで、アラファト・パレスチナ自治政府議長と会談した。会談後、パイエル長官は「会談は有益で建設的だった」と述べたが、停戦合意に向けた進展の有無など詳細については言及しなかった。
会談は、イスラエル軍の戦車や兵士が取り囲む議長府で3時間に渡って行なわれた。米政府高官によると、国務長官は停戦実現のため、自爆テロを即時停止させるよう議長に求めた。これに対し、議長はイスラエル軍のヨルダン川西岸パレスチナ自治区からの撤退が停戦交渉の前提条件であるというこれまでの立場を重ねて表明。軍の侵攻でパレスチナ人の人権が侵害されている問題を取り上げ、イスラエルを批判したという。
会談後、パウエル長官は「(議長と)どのように前へ進むことができるかについて、さまざまな考えを交換した」と述べた。また「明日(15日)、私のスタッフと議長のスタッフが再協議する」とも述べ、事態収拾に向け継続的に協議する方針を明らかにした。長官は15日午後にシャロン・イスラエル首相、16日に議長とそれぞれ再度会談する可能性もあるという。
パウエル・アラファト会談は当初、13日に予定されていたが、12日の自爆テロ発生で急きょ延期され、議長がテロ非難声明を出したのを受けて14日に開かれた。
一方、イスラエル軍当局は同日、ヨルダン川西岸の侵攻地域の「軍事封鎖地域」指定を一部地域を除いて解除すると発表した。軍が除外したのは(1)パレスチナ側が虐殺があったと主張しているジェニンの難民キャンプ(2)パレスチナ人武装勢力約200人が立てこもっているベツレヘムの聖誕教会(3)アラファト議長が監禁されているラマラの議長府││の3カ所。
指定解除により、これまで地域内へ入ることのできなかった救援団体や報道機関の立ち入りが認められるが、引き続き軍は駐留するという。