【エルサレム13日=当間敏雄】
パレスチナ自治政府のアラファト議長は13日午後、「イスラエルとパレスチナの市民に対するすべての攻撃(テロ)を強く非難する」との声明を発表した。声明はアラビア語で「特に昨日エルサレムで起きた攻撃(自爆テロ)を非難する」と強調した。
議長によるテロ非難はパレスチナ危機打開のため現地入りしているパウエル米国務長官が12日の自爆テロ発生後、13日に予定されていた議長との会談を延期して求めていた。声明の発表により、長官と議長との会談が14日にも行われる見通しとなった。自治政府のエレカト地方行政相も、会談は同日に行われる予定だと語った。
イスラエルは、アラファト議長の「テロ非難声明」に対する公式反応を出していないが、12日の自爆テロがアラファト議長派系の武装組織「アルアクサ殉教者旅団」の犯行だったことを重大視しており、テロ重要容疑者の引き渡しやテロ組織解体、テロ放棄を確約しない限り声明は意味がないとの立場で、黙殺する可能性が高い。
これより先、イスラエル軍は13日早朝、新たにヨルダン川西岸北部ジェニン近郊のアラベ町など自治区3町村に侵攻した。パウエル長官とシャロン首相の会談直後に自爆テロが発生したことを受け、同国は「テロ掃討」完遂の必要性があらためて証明されたとして作戦を強化、継続する姿勢を鮮明にしたものとみられる。
自治区からの情報などによると、イスラエル軍部隊が新たに侵攻したのはアラベ、ハシュミヤの両町とビルキン村の3か所。いずれも軍と武装勢力の激戦が11日まで続いていたジェニン周辺の村落部で、軍は侵攻後、外出禁止令を発令、過激派摘発を進めている。軍は13日、11日に侵攻した西岸南部ダハリヤ町から撤退した。
イスラエル軍は、西岸のラマッラ、ナブルス、ジェニン、ベツレヘムの主要4都市を制圧したまま周辺村落部に作戦を拡大、「テロ基盤破壊」を加速させる方針と見られる。
(4月13日23:29)