【ワシントン布施広】ベトナム戦争中の72年4月、ニクソン米大統領が北ベトナム(当時)に対する核爆弾の使用を検討、キッシンジャー大統領補佐官がこれに強く反対していたことが、米国立公文書館が2月28日に公開した電話録音テープから明らかになった。
公開されたテープは約500時間に及ぶ。AP通信などによると、72年4月25日の電話で、ニクソン大統領は「核爆弾を使いたい」とキッシンジャー補佐官に提案した。補佐官が「それはやり過ぎでしょう」と言うと、「君は核爆弾は嫌かね? もっと大きく考えて欲しい」と語っている。
また同年5月の会話で、ニクソン大統領はキッシンジャー補佐官に「君は民間人の犠牲を懸念し過ぎる」と述べ、補佐官は「私が民間人の犠牲を恐れるのは、世界中の人々があなたを殺し屋だと言うことを望まないからです」と答えている。
ニクソン政権がベトナム戦争で核爆弾使用を検討したことは既に知られているが、肉声の会話で裏付けられたのは初めて。(毎日新聞)
[3月1日13時2分更新]