【エルサレム1日=当間敏雄】
イスラエルのシャロン首相は31日夜(日本時間1日未明)、国民向けにテレビ演説し、「テロとの妥協はありえない。テロ組織を末端から根こそぎにし、壊滅する。容赦なく戦う」と強調、パレスチナ自治区に対する大規模な軍事作戦をさらに拡大する方針を表明した。
また、イスラエル軍は同日深夜、ヨルダン川西岸自治区カルキリヤに戦車など100両で侵攻、制圧した。29日の作戦開始以来、制圧はラマッラに次いで2都市目となった。
首相は「イスラエルはテロとの戦争のさなかにある。これは強いられた戦争で我々が選択したものではない」と強調するとともに、「ジニ米特使への協力やパレスチナ都市からの撤退など、すべての停戦努力はテロの返礼を受けた」と怒りをあらわにした。
また、アラファト自治政府議長を「イスラエルと自由世界の敵」「中東和平の障害」「中東全域の安定への脅威」と決めつけた。
一方、イスラエル軍は暗闇の中、カルキリヤの中心部へ4方向から侵攻、ほぼ全域を制圧した。自治区からの情報では、戦車の砲撃音や機銃、自動小銃の発射音が聞こえるといい、一部で激しい戦闘となっている模様だ。ラマッラでは31日夜、イスラエル軍がパレスチナ過激派の潜んでいると見なしたビルを急襲して銃撃し、パレスチナ人少なくとも5人を射殺した。ラマッラでのアラファト議長監禁は1日で4日目に入るが、軍は外国人記者のラマッラ退去を命じるなど「隔離」をさらに強化、緊迫した情勢が続いている。
(4月1日12:38)