(回答先: 米マサチューセッツ工科大学が「ナノテク戦闘服」開発へ 投稿者 小耳 日時 2002 年 3 月 16 日 11:54:37)
英国の航空エンジニアチームは動物学者たちと協力し、昆虫が飛ぶなぞを解明することで小さな無人航空機「MAV(マイクロ・エア・ビーグル)」の開発を目指している。MAVは地震の被害を受けた場所、戦闘地域、下水パイプの中など近づきにくいところにも行くことができる。MAVは昆虫が羽をバタバタさせながら飛ぶのを模倣して、垂直離陸やホバリングなど複雑な曲芸飛行もできる。
翼スパンは最大約15センチメートルで、偵察用には時速数キロメートルという低速のためのフライトエンベロープを必要とし、詳しい観察のためにホバリングをしたり、機敏に障害物を避けたりする性能も必要。こうしたエンベロープは固定翼/前進推力航空機や回転翼航空機のデザインを縮小しただけではつくれず、羽をはばたかせる飛び方が求められる。
クランフィールド大では、ズビコウスキー博士を中心にケンブリッジ大学の動物学者たちとチームを組み、昆虫の飛び方の特徴を採り入れようとしている。「昆虫は羽を上下にバタバタさせない。羽は8の字を描きながら動いており、上昇時に翼全体を裏返して動かし、最大限の揚力をつくりだす」と、ク大のフレンド教授は述べている。
ク大ではズビコウスキー博士が(1)スマートな翼をつくる(2)そうした翼の空気力学のガイドラインを開発する―というプロジェクトを進めている。小さなデザインを基にしたMAVプラットフォームの作成を急ぐよりも、当面は確かなサブシステムを開発することに重点が置かれている。
工学物理科学研究会議からの支援を受けて翼の研究を進めているク大学のチームは、一つの中枢モーターを使って動かせる翼をつくるため、空中に停止できるアブのシンプルなデザインをまねたいと考えている。「飛ぶ昆虫は進化しており、自然がすでに多大な最適化を図っている。我々が飛ぶ昆虫に注目している理由だ」とフレンド教授は語っている。
補助翼などの追加機能を備えている航空機とは異なり、昆虫の羽は体の筋肉や飛行中の空気の動きに反応して自由に曲る。MAVが成功するには、融通性にすぐれた基本的な動きをマスターし、昆虫と同じような動きが必要で、その研究を進めている。
さらに、ヘリコプター回転翼のデザインに用いるような空気力学に関する情報を得るためにこれらの研究を応用する。
[日刊工業新聞2/5]