(回答先: 死者は約540人に インド暴動、緊張続く 投稿者 倉田佳典 日時 2002 年 3 月 04 日 20:12:43)
03/05 16:01 宗教利用の与党に批判も インド西部の暴動惨事で 外信67
共同
死者五百四十人以上の惨事となったインド西部グジャラート州の
宗教暴動は五日までにようやく沈静化した。ヒンズー教徒とイスラ
ム教徒の抗争はなぜ起き、拡大したのか。陰謀説や州政府の対応の
まずさの指摘に加え、バジパイ首相の与党、インド人民党(BJP
)の、ヒンズー教を利用した政治手法そのものを問題視する声も出
始めた。
暴動の発端は二月二十七日朝、同州ゴドラで起きた列車放火事件
。インド北部アヨドヤにヒンズー教寺院建設を求める活動家らが乗
った列車がゴドラ駅に入った際、イスラム教徒側と争いになり、イ
スラム教徒が車両に放火、ヒンズー教徒五十八人が死亡した。
ヒンズー教徒側は中心都市アーメダバードなどで次々にイスラム
教徒へ報復、家屋への放火で幼い子供ら多数が犠牲になった。「隣
人同士が殺し合ったのではなく、殺りくは州外から来た過激派が中
心だった」(インド人ジャーナリスト)との指摘は多い。
陰謀説は、列車襲撃にあらかじめ火炎瓶を用意したとされる点や
、暴動の広がりの早さなどを重視。現場を視察したフェルナンデス
国防相は「十分に準備された犯行」と指摘し「外部勢力の影」を示
唆した。パキスタン情報機関が早くもやり玉に挙がっているが明確
な証拠はない。
インド人民党に属するモディ同州首相は、列車放火後の暴動につ
いて「ヒンズー側の怒りは当然」との趣旨の発言をし、イスラム教
徒側が反発。軍投入の遅れなどの対応のまずさが批判されている。
外部勢力はともかく、アヨドヤ問題をめぐり、ヒンズー、イスラ
ム双方がいらだちを強めていたことが暴動の背景にあったことは間
違いない。
アヨドヤはヒンズー教のラーマ神生誕地とされるが、ムガール帝
国のバーブル初代皇帝が神殿を壊してモスク(イスラム教寺院)を
建設。ヒンズー過激派が一九九二年にモスクを破壊し、約二千人が
死亡する宗教抗争に発展した。
ヒンズー過激派らは今年三月十五日からモスク跡地に神殿建設を
開始すると公言、イスラム教徒側は警戒を強めていた。
インド人民党はヒンズー至上主義を掲げ神殿建設を積極的に支持
してきたが、バジパイ首相は最近、宗教抗争再燃を警戒し建設反対
を表明。今回の暴動は、二月の州選挙で敗北した同党の新たな痛手
となった。
暴動で野党、国民会議派が中心となり州首相への辞任圧力を強化
。有力紙「ヒンドスタン・タイムズ」はコラムで「宗教をもてあそ
ぶインド人民党の手法が今日の混乱を招いた」と指摘し「モスクを
壊し神殿を建てるような政治の当然の帰結」と断じた。(ニューデ
リー共同=古池一正)
(了) 020305 1601
[2002-03-05-16:01]