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(回答先: 危険! テレビが幼児をダメにする!! 投稿者 てんさい(い) 日時 2002 年 9 月 08 日 14:57:16)
テレビから子どもを守ろう 上
http://www.aptf.gr.jp/education/0204/tv0204.html
認識が甘い日本の家庭
米国では暴力シーンの悪影響が認定されているが、日本では研究が始まったばかり。テレビ番組の低俗化が進む中、テレビの悪影響から子どもを守るのは家庭の責任だ。
ジャーナリスト 森田清策
物心つく前から
わが国でテレビ放送が始まったのは一九五三年だから、来年ちょうど五十年を迎える。当時のテレビ受信機は三千五百台程度。それが今では、一家に一台どころか、一部屋に一台と言っていいほど、テレビは一般家庭に普及した。
高価なテレビを購入する余裕のなかった庶民が街頭テレビに群がってプロレス中継を見ていた光景を知る世代は年々少なくなっている。半世紀前、テレビのある家を探すのは困難だったが、今ではテレビのない家を探すほうがもっと難しい。そんな家の世帯主はよほどのポリシーの持ち主と断言していいだろう。
テレビやビデオの視聴時間
米国では様々な団体がテレビの有害性を警告している
それほどまでに生活に欠かせない存在となったテレビだが、その影響力については、わが国でこれほど研究されてこなかったメディアもない。一九六二年、テレビの普及率は約八割に達している。つまり、今年四十歳以下の人の大半は、生まれた時からテレビを見て育ったことになる。大ざっぱに考えて、テレビ放送から五十年で、物心つく前からテレビを見て育った人間が人口の半分を占めたことになる。
コンピューターが普及した今でこそ、「バーチャル世代」という言葉が使われるが、その原型はテレビ世代である。人の成長で最も重要な幼児期に、テレビを見て育った世代と、そうでない世代では何が違うのだろうか。「うちの子はテレビばかりに夢中になって困る」という保護者の不満をよく耳にするが、そうした子どもたちの精神にテレビはどのような影響を与えているのだろうか。そのような疑問を感じている人は少なくないはずだ。
影響大きい暴力シーン
日本の子どもよりも、テレビを見る時間が少ないとの調査が出ている米国の子どもでさえも、高校を卒業するまでに、テレビの前で費やす時間を合計すると、三年以上になるという。これほどテレビと子どもの関わりが深いのであれば、子どもに与えるテレビの影響は小さいはずがない、と考えるのが普通である。凶悪な青少年犯罪の背景に、テレビやコンピューターゲームの影響も指摘される。
そうした一般庶民の不安を察したのか、NHK放送文化研究所は今年四月から、子どもの成長と映像メディアの影響の解明に取り組む。二〇〇二年度に生まれる子ども百人を十年以上追跡調査するという。また、NHKと日本民間放送連盟が設置した「放送と青少年に関する委員会」は昨年、子どもの成長とテレビの影響について把握するため、小学校五年生が中学二年生になるまでの四年間を追跡する調査をスタートさせている。
昨年七月、その第一次基礎調査の結果が発表された。テレビの影響力を示唆するものとして、注目に値するので紹介する。テレビの暴力や殺人シーンを見たとき、「いやな気分になる」と答えた子どもが四九%に上ったのに対し、「夢中になる」が二二%もいた。また、「暴力シーンの真似をしてみた」は男子六%、女子三%だった(複数回答)。
子ども部屋にテレビがある家庭は三五%、一日に五時間以上もテレビを見る子どもは一三%にも及んでいる。この結果を見ただけで、子どもへのテレビの影響力はかなり大きいことが分かるが、その一方で、子どもがテレビを自由に見ることを許している家庭が想像以上に多いことにも驚かされる。
この調査結果を報告した同委員会委員の無藤隆・お茶の水女子大教授は「ほとんどの子どもはテレビをうまく使っているが、一、二割は夜遅くまで起きているなど、生活上の乱れがある。それが成長とともに、大きな問題に膨れていくかもしれない」と分析した。いま、青少年犯罪が社会問題となっているが、ほとんどは犯罪とは無縁の子どもたちであり、一部が問題なのである。
日本ではこれまでテレビの影響力についてあまり調査が行われてこなかったと指摘したが、日本より十五年も前にテレビの定時放送が始まった米国ではすでに、テレビの影響力について、官民合わせて千を超える研究が発表されている。
そこで常識となっていることは、テレビとくに暴力シーンに幼い時からさらされている子どもは、そうでない子どもよりも、のちの人生で暴力的あるいは攻撃的な行動をとる傾向が強いということだ。その研究結果を踏まえて、米国小児科学会は子どもにテレビを見せる時の注意項目として、@親が必ず一緒に見るA見る番組を一緒に選ぶB一日の見る時間を決める、などを挙げている。
無神経な日本の親
もう一つ、面白い調査結果を紹介しよう。二〇〇〇年二月に、文部科学省が発表した「子どもの体験活動等に関する国際比較調査」だ。それによると、子どものテレビの見すぎを注意しない父親は、米国では三三%だが、日本は六三%と圧倒的に多い。
また、母親は米国三二%に対して、日本は四五%と、こちらも日本のほうが多い。そして、テレビやビデオを一日「三時間以上」見る子どもは日本の場合四七%で、アメリカ、韓国、イギリス、ドイツの調査参加国の中で、最も多かった。
国際的にみても、日本の保護者は子どものテレビ視聴について、無神経でしつけをしていないことが分かる。子ども部屋にテレビを置いて、見る時間も番組の種類も自由にさせている日本の家庭は、米国小児科学会の注意と逆のことを行っていることになるし、子どもの健全な成長を願っていないのではないか、と疑われても弁解できないことを知っておくべきだろう。
テレビ放送が始まって半世紀にして、その影響力についてやっと研究が始まった日本。テレビとのつき合い方は、その結果が出てからでいいなどとのんきに構えている場合ではない。四月からは、これまで隔週だった学校五日制が毎週に拡大され、子どもたちが家庭にいる時間が増える。それにともない、子どもがテレビにかじりつく時間も長くなるだろう。
その一方で、多チャンネル化にともなう視聴率競争が激化し、番組の低俗化が進む。今ほど、テレビの悪影響から子どもを守るのは家庭の責任であることを自覚すべき時はない。