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(回答先: 激増する100円ショップ、生き残るのはどこ?(MSNマネー) 投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2002 年 5 月 08 日 18:48:44)
100円ショップ舞台裏 デフレ時代の寵児
http://www.zakzak.co.jp/tsui-sat/tsuiseki/contents/020330_01.html
−−100円ショップ舞台裏ー−−
デフレ時代の寵児(1)
業界のガリバー「ダイソー」の秘密
「扇風機ないかぁ、アイロンないかぁ言うてくるお客さまもいる」
100円ショップの最大手「大創産業」(東広島市)の矢野博丈社長(58)は、そんな“悩み”を打ち明ける。
3000億円突破目前といわれる100円ショップ市場。その7割を占めるとされる「ダイソー」の品揃えは圧巻だ。
約6万点の商品数は同業他社の3倍。売り場面積6000平方メートルにもなる最大級のショップはもはや「ショップ」というより「デパート」の貫禄さえ漂わせる。
店舗数は全国で2400。さらに1日1店のハイペースで出店し、月700点もの新商品を送り出す。「攻め」としか言いようがない経営なのだが、矢野社長は「仕方ないけぇ」という言葉で表現する。
「どれが売れるかわからんでぇ、たくさん出しとく」。矢継ぎ早の商品開発の原動力にあるのは、「(お客が)慣れる、飽きる(を防ぐ)が商売のすべて」という思いからだ。
ひとつの品を10万、100万、1000万個というケタはずれの個数で現金購入し、管理に手のかからない均一価格で売る。それが100円ショップ“革命”の基本だ。
それゆえ、膨張は大量の在庫をさばくための「宿命」でもある。さらに100円という単調さをカバーし、客をつなぎとめるには品数を増やすしかない…。
だが、この時代、メーカーにとって大量に買ってくれる店ほどありがたい存在はない。広島の本社には、国内だけでなく、世界中から売り込みが引きもきらない。
これを厳しい交渉で品質を向上させ、値を下げさせる。バイヤーが商品を求め、さ迷うことはない。しかも、製品化される月700点は、持ち込みの1割。このいわば究極の「受身」が、「これが100円」の驚きを生んできた。
たとえばサラリーマンが身につけるもの。ダイソーで買えるのは、ベルト、メガネ、靴下、下着、ネクタイ…だ。ワイシャツはどうか。
最近、大手スーパーが「900円シャツ」を売ると発表したが、「(100円に)なりますけどね…」。そう言い淀んで、矢野社長は続ける。
「問題は内容のあるシャツが出せるか。ボロいシャツを出すと、やられるんです」
そして、「我慢せず買えるという弱さ。ジュースより安いという弱さ。100円は弱い、悲しい。100円は悲しい、弱い。慣れる、飽きられるのが早い商売」という。
そんな矢野社長の口癖は「会社がつぶれる」。
「あと数年しかブームはもたない。どれだけ新商品を出せるかで何年もつか決まる」
確かに、「お客さんが喜んでくれれば生き残れる」だろう。だが、その危機感と包容力が消費者のわがままをさらに加速させる。100円ショップの商品開発は、人間の底無しの欲求との終わりなき戦いにも見える。
「消費者恐るべし」。矢野社長の言葉は偽らざる実感だ。
× × ×
「デフレ時代の寵児」100円ショップの今を追った。
(内藤敦子)
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−−100円ショップ舞台裏ー−−
デフレ時代の寵児(2)
何でも100円の仕掛け
100円ショップ・ダイソーの「ザ・BOOK」で、「夏の終わりの三重殺」というミステリーが目に留まった。作者は「玉川散歩」。
人を食ったような名前につられ、買ってみた。登場人物の新聞記者名が「金田一」と少々やりすぎの感はあるが、ストーリーはそれなりに読ませる。それもそのはず、5年前、中堅出版社から700円余りで出版された作品なのだから。
同社の「ミステリーシリーズ」は今、30巻。「ダイソー」を展開する大創産業のマネジャー、冨樫誠氏は「有名作家が名を伏せて書かれている例もある」と胸を張る。
一方、この中堅出版社は「ウチでは絶版になっている。著者が思い入れがあって持ち込んだのでは」と当惑気味だ。
大量調達が100円ショップ革命の基本。だが、出版不況である。有名作家の作品でさえ万単位に乗れないこともある時代、ミステリーなどは「数千のオーダーから刷ることも多い」(中堅出版社)。それでも、「100円」である限り、「大量」という基本は外していない。
大創産業の矢野博丈社長(58)は、「10万部」とこともなげに言う。
「1店舗で1日5個売れるものなら、2000店で1万個。年間365万個売れる。単位は大した問題ではない。問題は売れるか売れないか」
絶版本がベストセラーになる。それが100円ショップの魔力だ。
同じコーナーには、人気商品でもある旅行ガイドが並ぶ。手のひらサイズで65ページほどだが、写真がふんだんに使われ、情報量もなかなか。
矢野社長によると、「(編集は)大手中の大手、一番の大手」の出版社という。
在庫は「自称300億円」。単純に30億個の商品があることになる。
「これも100円。これも…」。本社の至る所並ぶ商品のひとつひとつを手にとり、矢野社長は愛おしそうな表情さえ浮かべて説明する。
だが、中には、「誰が買うのか」と思わせる品もある。例えば、格言を書いた場末のみやげ物店にあるような壁掛け…。「トイレに…」と説明を続ける矢野社長に、疑問をぶつけてみる。すると先の「1店舗で…」の論理が再び返ってきた。
「非効率より消費者が買うか買わないか。大切な崇高な理論があるわけですよ」
その理論は確かに、生きている。例えば都心で目立つのは、そんな土産物を買い占める外国人旅行客の姿。何かを買う「ついで」に、変わった物に手を出す客もいる。
これはそのまま、100円ショップのもうひとつの基本だろう。利益率の高いものと低いものを混在させ、粗利益を確保する。確かに商品は、「100円」とくくるには乱暴なほど多種多様。原価100円を超えるものもあるのではないか。誰もが思う疑問だろう。
「100円にしてしもうたですよ」
そんな矢野社長の強い言葉に、強い「思い」を感ぜずにはいられなかった。
(内藤敦子)
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−−100円ショップ舞台裏ー−−
デフレ時代の寵児(3)
ガリバーに挑む各社
「大創産業との比較なら、どのような質問もお答えできません」
ある100円ショップ大手の取材依頼に対するこうした頑なな返答は、業界勢力図を如実に表しているといえる。
3000億円といわれる市場の7割を占めるガリバー『大創産業』の店舗数は2400。2位で「生活良品館」「ワン・オー・オー」を展開する『山洋エージェンシー』(岐阜県大垣市)でさえ600、3位の『キャンドゥ』(東京都板橋区)は400。ひとつの商品を万単位で売りさばいて「なんぼ」の業界で、その差は致命的かもしれない。
それでも、急拡大する市場のスキを狙い、熾烈な勢力争いが繰り広げられる。例えば陳列。安売りのネクタイといえば、袋入りで無造作に吊るされているのが定番。
だが、ネクタイを主力商品のひとつとして位置付けるキャンドゥは、これをデパートさながらに棚にひとつづつディスプレーしている。
「安い=輸入モノ」の図式を覆し、品質向上を狙い、国産品を増やすのは山洋エージェンシーだ。プラスチック製品など国産品は半数近く。
「(プラスチックの)色の出具合などが全然違う。私どものコンセプトは『良品』ですから」と、同社商品企画部。
「メーカーさんにお願いし、商品を提案してつくってもらったり、金型を中国で起こしたり工夫をしている」。自動車部品の下請け工場など受注減に悩む企業を狙う。
一方、「雑貨、100円」の垣根を越え、「99円」で生鮮食品を扱うのは「99プラス」(東京都小平市)。「冷凍エビのパック599円」など「均一」の枠さえない。管理の困難な生鮮食品で、同業者のみならずスーパーを向こうに回しての戦いだが、売上高の伸び率は前年比6割を超える。
だが、100円ショップの“真髄”は手がかからないことなのは言うまでもない。均一価格だから、値札もいらず会計も簡単。在庫管理も省力化できる。セールもなければチラシも不要…。
大創産業の矢野博丈社長は度々、「仕方なく(100円ショップを)やっている」と表現する。そもそも起業のきっかけが、子育てで忙しい若い頃、商品に値段をつける時間さえ惜しかったことだ。過度に手をかければその原点が消える。
100円ショップで目を引くのは、客に対する店員の少なさだろう。店員は皆、忙しく立ち働き、時には店内を走ってさえいる。100円の世界だけに、わずかなコストの差も見逃せない。
だが、各社の急成長を背景に、至近距離で何店かがしのぎを削るエリアも増えている。目新しさで売ってきた“主婦のレジャーランド”ともいえる100円ショップは「生活必需品を買う店」に変貌しつつある。
「今後はリピートを取るのが課題。確かに国産ではコストは高くつくが、安く仕入れても売れなければ意味がない。仕方がない部分もある」(山洋エージェンシー)
もはや戦いは、佳境にさしかかっているかに見える。
(内藤敦子)
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−−100円ショップ舞台裏ー−−
デフレ時代の寵児(4)
巨大な“自転車”操業続ける
「ウチの近くの店では、売り場が一度大きくなったと思ったら、また小さくなって店の奥に押しやられ目立たなくなった」。都内に住む30代の主婦は、こう苦笑する。
大手スーパー「ダイエー」が一昨年から導入した88円均一売り場「暮らしの88」。全国300店のうち250店で展開。雑貨、食品など商品1300点は「一括生産を行う、シーズンを避ける、遊休ラインを利用する、宣伝費などコストをカットするなどした」(ダイエー広報部)と、均一価格ショップ業界で最も安い88円を実現した。
同じ商品が他の売り場では、それ以上の価格で売られる“店内二重価格”もある大胆な試み。
だが、売り上げは、年間150億円程度と、ダイエー全体から見れば微々たるもの。
同部は「集客ということもあるが、お客さまに喜んでいただく売り場、商品提供としてやっている」と説明する。
徹底した省力化による100円ショップの手法は、従来のスーパーとは相いれない。ある面で、その困難を示すのは確かだろう。
業界最大手の「ダイソー」を展開する矢野博丈・大創産業社長は「いずれは死ぬですよ。だって飽きるでしょう。矢は尽きる」と、自らの会社の先行きをあっさりと断言する。
安く売るために膨張を続け、消費者をつなぎとめるため、新商品を次々に生み出す。漕がねば倒れる100円ショップは、巨大な車輪の「自転車」に似ている。
その自転車はデフレの風に乗り、自動車をも脅かすスピードを出した。だが、海外にも出店する破竹の勢いの一方で、逆風も吹き始めている。
昨年末、北海道の100円ショップ最大手「マツヒロ」が倒産。競争激化で、採算が悪化した結果だった。
業界で唯一、株式公開しているキャンドゥは1月末ごろから株価が下落し、最安値を更新している。昨年6月の公開時、初値が262万円と150万円の公募価格(額面5万円)を大きく上回ってのスタート以来、順調に値を上げてきたが、年末からの急速な円安で海外からの製品調達コストが上昇するとの観測が強まったためだ。
99円、88円と均一価格そのものも下がっているが、均一である限り品揃えには限界がある。膨張を続けるなら、いずれ「均一」の壁を越えるかどうかが課題となる。
生鮮食品のSHOP99はすでに、「299円」などの商品がある。ダイソーでも間もなく開始予定の写真現像サービスの価格を、1本500円に設定する予定という。
それでも、矢野社長は「業態を変えられるほど能力はない」とも話す。
「盛者必衰。100円ショップは、あと数年しかもたない。泣き叫んで死ぬんです。どういう死にざまになるか怖さのため、(私は)『質素にせなあかんぞ』と言っている」
「死」を少しでも伸ばすため、“自転車”はさらに走り続ける。
(内藤敦子)=この項おわり
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