株価が急落し危機が叫ばれると景気対策を急ぐが、株価が戻り危機を脱出すると、手を抜いてしまう。この10年間、政府自民党は、これを何回繰り返したことか。
3月危機に脅かされた小泉政権は、デフレ対策第1弾を打ち出したが、株価が戻ると第2弾は先送りされている。頭脳明晰(めいせき)だが、何かの資質に欠ける人たちが、経済政策を動かしているのかな。
9月の米同時多発テロ直後の大方の予想を裏切って、米国の景気は予想よりはるかに早く、かつ強く戻った。そのお陰でアジア諸国も成長軌道に乗りつつある。
しかし日本だけは別かもしれない。小泉政権がもし今国会中にデフレ対策の第2弾を打たないと、今年の実質成長率は、IMF(国際通貨基金)の見通しどおり、マイナス1・0%前後になるだろう。その深刻さを理解しないで、小泉政権は例によって決意の表明か大綱の決定だけで、今国会を終えてしまうだろう。
その結果は、想像するだに恐ろしい。最悪の場合、日本経済の落日は決定的となり、日本衰亡史が始まる。子孫にあわせる顔がない。
繰り返し言う。金融政策は、もう利かない。在来型公共事業の大盤振る舞いで乗り切れる情勢にもない。切り札は税制の活用しかない。しかし大規模な減税先行は、足腰の立たない財政が許さない。
活路は減税財源が不要な贈与税の非課税限度引き上げだ(消費増に結びつかない相続税減税は後回しだ)。それとストック不況対策として、土地関連税の軽減だ。その減税財源はたばこ税の大増税で賄うこと(景気への悪影響なし)。今国会中に関連法案を通して実行に移さないと間に合いませんぞ。小泉さん、よーく聞けよ。(大三)