以下は、7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)が示した行動計画の全文。
行動計画(2002年4月20日)
本日、我々G7財務大臣および中央銀行総裁は、新興市場での公的な政策行動に関する予測可能性を高め、その不確実性を減らすための統合された行動計画を採択した。この行動計画は、すべての国の国家債務が、最終的には、投資適格となるような取り組み全体の一部を構成するものであり、この格付けは、結局はすべての国が適切な政策により達成しうるものである。この行動計画は、金融危機の予防や危機が起こった場合のより適切な解決に資するものであり、これにより、新興市場における民間投資が持続的に増加する条件を作り出し、また、新興市場国の人々の生活水準の向上に寄与する。我々は協同してこの行動計画を実行することを誓う。この行動計画は、相互に補完的かつ強化しあう以下の要素から構成されている。
我々は、債務契約に新たな偶発条項を入れることを含む、国家債務再編プロセスについての市場指向的なアプローチを、新興市場国やその債権者とともに実施する。この新たな条項は、国家債務を再編する場合には何が起こるかをできるだけ精緻にしめされなければならない。この条項は、(1)大多数の債権者による意思決定、(2)クーリングオフや支払停止の期間を含む債務再編や債務繰り延べを国家が開始する手続き、(3)債権者がどのように債務者と交渉するかについての説明、が含まれる。このような範疇のなかで、債券の統合の問題、新規の民間融資、および既存の債務の扱い、といった問題を精査しつつ、我々は債務国および債権者とともに、できるだけこれらの条項を効果的にするための作業を行う。また、我々は、IMFプログラムを有する国がこうした条項を採用するようにするためのインセンティブについてIMFとともに作業を行う。
国家債務の再編手続きに関する市場指向型のアプローチを用いつつ、我々は状況が例外を正当化する場合を除き、公的セクターによる貸出を正常なアクセスの水準まで制限する用意がある。公的セクターによる支援が限定されることは明確になってきている。公的セクターによる貸出の制限および民間セクター貸出の増加は我々の行動計画の重要な部分である。
我々は、危機予防の手段として、公的な政策決定の質、透明性、予測可能性の向上を図るためにIMFと協力する。具体的には、(1)市場指向的な信用力測定の主要を用いた国家債務の持続可能性のより前広な分析、(2)IMFのサーベイランスや分析を行う役割と、貸出しの役割との独立の度合いを強めることの検討、また、(3)債務履行遅滞国に対するIMFの貸出政策の明確化、といった措置が含まれる。
我々は、新しい国際条約、国内法制の変更、またはIMF協定の改正を要する可能性のある国家債務再編に関し提案されたアプローチについて、IMFが更に作業することを指示する。これらの変革には時間がかかるからといって、この作業が上述のアプローチの迅速な実施を遅らせるべきではない。実際、この作業は互いに補完的である。
我々は、この行動計画が、政府が予定通り債務全額を償還するインセンティブを増加させるべきことを強調する。適切な金利での市場アクセスを持続する便益を含むこれらのインセンティブは、今後も存続されるべきである。