(回答先: みずほ、赤字1兆円に拡大〜弱り目に祟り目、口座振替未処理は約40万件に〔株ZAKZAK〕 投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2002 年 4 月 12 日 17:06:51)
12日公表の金融庁の特別検査で、大手銀行の不良債権処理額は8兆円近くに増えたが、ゼネコン、流通、不動産、ノンバンクの「不況4業種」の再生への道は険しい。金融システム不安の再燃も懸念されるなか、24兆円以上とされるドロ沼状態の不良債権残高を抱え、疲弊した銀行への公的資金再注入→国有化が必要との声も根強い。そこで、にわかにクローズアップされているのが、「あの銀行のあの問題だ」というのだ。
「あまりに中途半端。いったい何のためにやったのか−」(準大手証券のエコノミスト)
昨年11月から続けた特別検査。対象企業149社のうち、98社が不況4業種。そのうちの47社の債務者区分が、危険水域ともいうべき「要管理先」や「破綻(はたん)懸念先」に引き下げられた。
大手12行の不良債権処理総額は、昨年9月中間期に想定した6兆4000億円から大幅に増え、今年3月期で7兆8000億円となり、追加損失は1.9兆円に達した。
柳沢伯夫・金融担当相は「前倒し処理が進んだ」として、14年の新年度以降は下降線をたどると自信を見せる。1日からのペイオフ解禁の際も、金融機関の「安全宣言」まで出してみせた。
カラ自信の裏に、大手行と金融当局の“共犯関係”を批判する声も根強い。国内シンクタンクの研究員は指摘する。
「大手行の要注意先債権は40兆円以上あるのに、検査対象分は12兆9000億円と少なすぎる。全部調べると、債務者区分が破綻懸念先などに引き下げとなるケースが相当あるはず。公的資金再注入を何としても避けたい銀行と、監督責任を問われたくない金融庁が落とし所を先に決めて逆算したに過ぎない」
1月以降、特別検査を先取りして、不況4業種に対する数千億円規模の金融支援が相次ぎ、救済企業の「11社リスト」まで出回っていた。
この「現状維持政策」も産業再生につながるなら結構だが、結局は過剰債務企業の延命という問題の先送りで、火種はくすぶったままだ。
流通業界を見ると、5200億円の金融支援を受けるダイエーの今後が焦点となる。
破綻したマイカルと寿屋を支援するイオンと、イトーヨーカ堂、世界最強のウォルマート・西友連合の新3強が、地域スーパーや商社を巻き込んだ合従連衡を進める。
「皮肉にも帝国主義的戦略の先駆者だったダイエーが取り残されつつある」(流通アナリスト)との見方も出ている。
ゼネコン業界は、青木建設と佐藤工業、日産建設が破綻した一方、三井建設、フジタ、長谷工コーポレーション、飛島建設が救済された。
小泉内閣の支持率急落を背景に、金融当局が倒産ラッシュと失業者増大の事態を当面回避するため、銀行にゼネコン救済を迫った結果である。
工事受注高の前年割れが続くなか、過当競争の現状に変わりはない。
ノンバンクでは、オリエント・コーポレーションが、みずほコーポレート銀行から2000億円の金融支援を受け、有利子負債削減や投資不動産の含み損処理を進めるが、経営環境は依然厳しい。
「実は銀行の系列ノンバンクに、膨大な隠れ不良債権が残っている」(金融ジャーナリスト)との指摘もある。
不動産業界も「郊外の地価の下落傾向が止まらない。マンション建設も頭打ち。都心のオフィスビルも、過剰供給になる『2003年問題』が深刻だ」(不動産担当アナリスト)と、先行きに明るさはうかがえない。
検査結果の公表で「外国人機関投資家に、構造改革の遅れととられる」(UBSウォーバーグ証券チーフエコノミストの白川浩道氏)ため、株価が持続的に上昇する可能性は低いという。
景気も低迷を続け、地価の下落も続く。中小企業向けの融資も含め、不良債権はさらに増大する恐れがある。銀行は法定準備金を取り崩してまで不良債権処理を進めてきたが、積極的に追加していく余力は小さい。
そんななか、日銀の速水優総裁は「不良債権処理を進めれば、資本不足に陥るため、公的資金を再注入する必要がある」との見解を示した。
「竹中さん(=経済財政担当)がテレビのコメンテーターの立場なら、間違いなく公的資金を注入すべしと言うはずですよ」(前出のエコノミスト)と皮肉も出る。
公的資金の注入が難しくなるなか、注目されるのは、「図体(ずうたい)ばかりでかくて、中身は空っぽ」と塩川正十郎財務相が批判した、みずほグループのシステム障害だ。
事務的ミスやシステム障害で決済が困難になる「オペレーショナル・リスク」が深刻化すると、同業者などからの資金の調達が難しくなる。
これが公になると、利用者の大規模預金流出に至る事態も考えられる。それを機に、政府が金融システム安定を理由にした資本注入を複数の銀行に行い、実質国有化するというシナリオだ。
国会で「トラブルの実害はない」とのたまったみずほホールディングスの前田晃伸社長だが、本当の実害はこれから発生する恐れもあるのだ。