(回答先: 公的年金資金によるPKO 投稿者 どうもと 日時 2002 年 4 月 08 日 18:50:02)
公的「年金資金運用基金」は、昨年8ヶ月間で9,253億円も損失を出していながら(実際に売って損失が確定したわけではなく計算上の話だが)、今年度は株式投資をさらに1.7兆円増やすそうだ。
株式投資に振り向けられる公的年金資金があるということは、公的年金資金にはまだ余裕があるという証でもある。
年金制度は賦課方式なので、余裕がない状態で運営されているのなら、徴収した年金保険料をそのまま年金受給者への支払いに振り向けるか、償還時期を睨みながら余剰資金を国債に変えるか、いつ換金しても損が出ないかたちで余剰資金を保有していなければならないはずだからである。
しかし、このまま高齢化がさらに進んでいけば、支払い年金額が徴収保険料額を上回り、その差を埋めるために保有株式を売却しなければならなくなる。
高齢化問題だけではなく、失業率(者)の増大による徴収保険料の減少や基金運用で生じる損失も、そのような事態を早める要因である。
(それを防ぐためには、“年金制度の危機”をことさら強調し(デッチ上げ)、保険料率を引き上げるか、年金水準を下げるしかない。平気でPKO政策を行っている政府は、このような暴挙を行う可能性が高い。これは、「デフレ不況」をさらに深化させるものである)
株式を売却すれば、これまで計算上でしかなかった損失が現実のものになる。これは、帳簿上でもわかっていることなので、仕方がないことだとしよう。
しかし、それまで、株価買い支えの目的で投入されてきた公的年金資金が、“買い手”にならないだけではなく、逆の“売り手”になってしまえば、株価の大幅な下落を引き起こす可能性が高い。
これは、年金資金に、計算上の損失にとどまらないより大きな損失が実際の“売り”取引で発生することでもある。
いったん保有株式を売らなければならない事態になれば、高齢化の流れと損失の拡大のために、さらに売りを拡大しなければならなくなるから、さらに株価を押し下げるという悪循環に陥る。
(郵便貯金で買った株式であれば、新しい貯金が流入し続ける限り、売り時まで株式を保有し続けることもできるが...)
政治家や官僚は、そんなに不況は続かず株価や地価もいつかは上がるだろうと勝手に思い込んでいるようだが、それがいつになるかや、どの水準以上まで上がるかはまったくわからないのである。
(年金基金は、94年頃から盛んに株式の買い支えをしてきた(ある時期は日経平均2万円を目標)し、“売り”を控えてきたはずだから、高値で買った厖大な株式を保有しているはずだ)
明確な見通しもないまま、無名称の大勢から徴収したお金だからと、「刹那的な株価維持目的」や「捕らぬ狸の皮算用」で株式投資を続けていけば、年金基金に厖大な損失をもたらすだけではなく、株式市場を価格下落基調に陥れる事態さえもたらすことになるのだ。
好意的に言えば、戦後の日本の投資家や政治家・官僚は、1955年から1990年という長期の株価上昇過程を生き抜いてきたせいで、株式市場は、“打ち出の小槌”であり、株で損をする人はよほどのドジだと思っているのだろう。
そして、そういう時代は終わったにも関わらず、従来の考え方を捨て去ることができないまま株式市場を眺めているのだろう。
(同じことは地価にも言えるが)
空売りをすれば株式投資で利益を上げられる局面もあるだろうが、運用規制やPKOという役割からいって、そのようなことはできないだろう(笑)