19日の東京株式市場では、同日付けの大手新聞各社がソフトバンクが同社が保有するあおぞら銀行(旧日本債券信用銀行)株の大部分を売却することを検討していると報じた流れを受けて、日債銀の買収の根拠ともなったベンチャー企業への投資事業を中核とした同社のビジネスモデルに対する不信感が強まった結果、同社の株価は前日比50円(2.02%)安の終値2,430円で3日続落となった。
あおぞら銀行はソフトバンクが中心となって同社と東京海上火災保険 <8751> 、オリックス <8591> による3社連合で2000年8月に買収したもの。ソフトバンクが資本の48.88%を所有してあおぞら銀行の筆頭株主となっている。
当初ソフトバンクは、同社の事業の中核となっているベンチャー投資事業を補完するため、ベンチャー企業向けの融資事業などに利用する目的で買収を積極的に進めた。しかし、2001年以降、急速に悪化してきたインターネット企業を中心としたIPO市場の悪化などを受けてインターネット産業を中心としたベンチャー投資事業が事実上破綻。2001年9月期末の時点で4900億円にのぼる有利子負債の圧縮が緊急課題となっていた。
今回、報じられたあおぞら銀行株の売却報道は4900億円にのぼる有利子負債の圧縮を優先された同社の新戦略に応じたものと見られている。しかし、その一方で一時期流行語にもなった投資先企業の公開などをテコにした「時価総額最大化」戦略の破綻を意味するものといった見方も強く、有利子負債の圧縮を進めることは結果的に縮小均衡につながるといったネガティブな見方が市場で優勢となったことが今日の同社の株価の下落につながったものと見られている。