(回答先: 「マネーアングル」池のクジラにならず-財務省、金利抑制に新たな試み(東京 3月18日ブルームバーグ) 投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2002 年 3 月 18 日 15:45:26)
この記事にある財務省官僚の国債に関するデリバティブ取引については、『Re: 【財務省の本性】短期国債に1.31%もの金利を負担しようとする財務省官僚の“怪奇”』( http://www.asyura.com/2002/hasan8/msg/256.html ) を参照して欲しい。
>財務省が検討している具体的なスワップのスキームは、長期金利に予想以上の上昇圧
>力が加わっているとき、長期国債を発行する代わりに、短期国債を発行。
これはそのまま認めてもいいだろう。
>それと同時に、スワップ取引を活用して、金利債務を短期から長期に固定化するとい
>うものだ。長期国債で資金調達したのと同じ経済効果を得られるという。
なぜ、「金利債務を短期から長期に固定化」しなければならないのか?一般的に、長期金利のほうが短期金利より高いのである。しかも、銀行など余剰資金を抱えた投資家は、短期の資金運用先に困っている状況にある。
「長期国債で資金調達したのと同じ経済効果を得られる」っていうのは、銀行などの国債投資家にとってのことかいな。
政府部門にとって短期国債の大量発行は、発行→償還の期間が短いので、資金繰り(短期国債の発行スケジュール管理)が大変にはなるが...
>例えば、償還期間6カ月のTB(割引短期国債)を発行する。それと同時に金利ス
>ワップ取引で短期運用を10年間続ける一方、債務金利を10年間固定化する契約を結ぶ
>と、短期運用が短期国債の発行による債務と相殺される。金利スワップを使うことに
>よって、6カ月ごとに市場リスクにさらされることなく資金調達ができるようになる。
おいおい、いい加減な説明はやめてくれ。
確かに「6カ月ごとに市場リスクにさらされることなく資金調達ができる」が、その金利は1.31%であり、0.01%という現在の短期国債の利率に比べれば、1.3%も高いものである。
商業銀行が資産内容を改善したがっている一方で、日銀がじゃぶじゃぶの超金融緩和状態にしているのだから、優良資産である短期国債は、このところ300倍を超える競争率になっているように、引く手あまたの投資対象である。
このような説明が成り立つのは、短期金利が1.3%を超えるような金融政策が採られることが現実性を帯びていなければならない。
そうでない限り、日本政府が、0.01%の金利負担で済むのに、わざわざ1.31%の金利を負担するというとんでもない暴挙を実施することを意味する。
>ただ、スワップ市場の需給に大きな影響を与えるほか、憶測によって、相場が政府に
>対して不利に働く可能性があるため、今では利払いコスト軽減だけのために金利ス
>ワップ取引を使う国はほとんどないという。
デリバティブ取引である限り狙いが逆目に出て大損失を被ることがあるが、今回の話は、それ以前に、政府が、銀行などに利息を大盤振る舞いしようというとんでもないものである。
>フランスでは昨年10月に金利スワップを導入してから12月までで85回のディールが行
>われ、12月末の取引は固定金利の支払いと固定金利の受け取りが同額で行われており、
>市場に影響を与えにくいポジションになっているという。
日本の財務省は、短期国債で長期国債並みの金利を負担しようとしているだけではなく、“変動金利”と“固定金利”のスワップ取引という危険な道を選択するつもりである。
>「こんな高値がずっと続くはずがない。いつか暴落するのではないか」。こんな恐れ
>が、時に強まり、時に薄れながら常に市場に漂っている。
日本政府が過剰債務状態を続けているのだから、国債引き受け投資家にそういう恐怖がつきまとうのは当然である。
しかし、その一方で、商業銀行の貸し出し残高が減少するという異常事態が続き、保有株式まで必死になって売却しようとしている現状では、厖大な余剰資金の投資先として国債に代わるものがないのも現実である。
だから、長期国債の利率も1.5%で収まっているのである。
>需給懸念によるものか、景気の回復期待によるものかはわからないものの、いつか金
>利が反転するときは来る。
0%金利政策を採り続けているのだから、いつか金利が高い方に反転するときが来るのは間違いない。
それが、景気回復(銀行の資金運用先が広がる)によるものなのか、国債の需給懸念(余剰資金が減少する一方で国債発行高が増大する)によるものなのかで、その時の日本経済の姿はまったく違ったものになっている。
>その衝撃を最小限に抑えるため、財務省の手探りの試みは続く。
長期国債に関するものでなく、短期国債で長期国債並みの金利を負担しようという今回の動きは、その衝撃を最小限に最小限に抑えるものではない。
景気回復による長期金利の上昇は、インフレをもたらすとともに税収のアップにつながるから危惧すべきものではない。
しかし、需給懸念から生じた長期金利の上昇であれば、このボードでもたびたび話題になっている「旧勘定→新勘定」による処理策をもたらすことになるだろう。
その結果大きな痛手を被るのは、資産家でも政治家でもない一般国民である。
この国債金利スワップ取引に関する法律が国家に提出されたようだが、それが国会で成立するようなら、日本経済は悲劇的な終局へと向かうことになるだろう。