厚生労働省は、公的年金を運用する年金資金運用基金が手がける「年金住宅融資」の不良債権処理案をまとめた。970億円の焦げ付き融資について、保証した銀行などに損失の穴埋めを要求。代わりに基金は銀行などに1兆円強の正常債権を売却し、その金利収入で銀行の負担を軽減する。基金は損失を回避できるが、正常債権が減少することで年金財政の悪化は避けられない。
厚労省はこの処理案を三井住友、東京三菱、第一勧業、UFJなどの都市銀行6行に提示済み。信用金庫、信用組合などを含む全国約300の金融機関に郵送で通知し月末までに返答を求め、具体的な交渉に入る。金融機関側に対案はなく、骨格は動かない見通し。
年金資金運用基金は年金福祉事業団を衣替えした特殊法人。公的年金(厚生年金と国民年金)の積立金を原資に加入者向けに住宅融資をしてきた。基金は県の年金福祉協会など全国51の公益法人に融資し、そこが個人に貸し付ける。