○古川委員
今までの財務大臣と比べると、塩川財務大臣は非常に素直だなと私は思う。普通だと、こうやって予算審議をやっている間に補正予算の話だと、一切そういうものは考えておりませんというふうに、まず役所の側は、私も昔、書いた覚えがありますし、まずそうやって答弁されるものですが、非常にそういう意味では財務大臣、素直に御答弁いただいた。
そういう意味では、今までの財務大臣よりもおっしゃることには信用が置けるというふうに思いますけれども、やはりこれだけ、これは財政措置も含めてということになると、かなりこれまでの小泉内閣のとってきた路線から外れていくという方向に行ってしまうんじゃないかなという感じもあるわけですから、この辺は、違うのだったら違うし、あるいは方向転換をされるというならされるんだし、その辺は、外から見ている者は、これは与党・政府でばらばらのことをやられていてはどっちを信じていいのかわかりませんから、やはりその辺はちゃんと与党と政府で、しっかりと意見を合わせていただきたいというふうに思います。
時間がだんだん少なくなってしまいましたので、最後に少し、せっかく大臣が、ひょっとしたら見られたかもしれないし、事務方が読んで、要約か何かを用意したでしょうから、ちょっとこの「ライオンは眠れない」という本の話をさせていただきたいと思いますけれども、大臣はこの「ライオンは眠れない」という本は、読まれていないですね。「ライオンは眠れない」、これは今まで読んではいらっしゃらないですね。
○塩川国務大臣
このごろ、こういう種類の本を読む時間がとてもございません。想定問答を読むのに精いっぱいですから、なかなかそういうところまで読む時間がございませんで、よかったら、一冊いただいたら読んでおきますけれども。
○古川委員
そういう時間はないだろうと思いましたから、きのう事務方に、これを読んで、私もきのう買ってきのう読んだのですが、一時間もあれば読めますから、だから読んで、大体の概要をちゃんと書いて想定問答につけておくようにと言いましたから、その想定問答ぐらいは読んでもらっていないわけですかね。
それぞれ簡単にだけ御説明しますと、要はこれは、「ライオンは眠れない」、ライオン王、これは小泉総理をどうも指し示しているようでありまして、その中にジャジャネコ大臣とかネズミ議員とかタカ長官、ハト代表とか、いろいろ出てくるのですね。残念ながら、ここにいらっしゃる両大臣は、そういうジャジャネコ大臣のように特定の人がわかるような感じでは示されていなくて、大臣のポストに馬、ウサギ、キジ、シカなどユニークな面々をたくさん指名した、今までネズミだけだったのがこういうのを指名したというふうに書いてあるので、ひょっとすると大臣は馬かウサギかわかりませんが、そういうところに当たるんじゃないかと思いますけれども、まあ、寓話です。
これは去年の十一月に出ているものなんですけれども、この寓話、どういうことか簡単にだけ言いますと、非常に人気の高いライオン王が出て痛みを伴う改革をやる、ずっとそれをジャジャネコ大臣が支えていくということで、ちょっとここは、これからの「近未来の日本を予告している」、十一月の段階ではそうだったのですが、その後状況の、ここの本の中ではジャジャネコ大臣は最後までライオン王を支えることになっているのですけれども、実態の方はどうもそういうのとは違っていて、かつ、これは最後まで高支持率が続くことになっているのですが、小泉政権もそういう支持率はもう低下してしまっているという意味では、ちょっとこの本の信用性というものは、近未来を予告しているといいながら、もう既にその近未来が違ってきてしまっていますから、結果において余り信憑性がないというふうに言われるかもしれませんけれども、この中で最後に訪れる結末というのが、X計画というのが実行される。それによって何が実行されるか。預金封鎖とデノミと新円切りかえが同時に行われるようなことが、この本の中での結論として、ライオン王の改革のもとに行われるということになっているのですね。そこまで行かないと、この日本の状況はもう救いようがない。
この本は、サミュエル・ライダーというイギリス人が書いたということになっているのですけれども、一説には財務省の役人が書いたという話もありまして、これは一九六三年生まれと書いてありますから、ひょっとすると、私が六五年生まれですから、私の前後の人が書いたものなのかもしれませんけれども、そんな話があるわけなんですね。
荒唐無稽な話かなというふうに思ったりもしていたわけなんですけれども、どうも何か聞くところによると、財務省の方から、これが財務省の資料なのかどうかわかりませんが、預金封鎖と新円切りかえが昭和二十一年に行われたわけなんですけれども、その事例を財務省が研究しているといううわさがあって、今大臣の手元にもあると思いますけれども、「戦後処理と企業・金融機関の再建について」という、何となく私が見る限りでは、これは少し古いワープロか何かで打った、財務省の大蔵省時代の資料かなと思ったりもするのですけれども、そういうものが私のところで手に入ったのですけれども、この資料は財務省の資料ですか。その点、きのう、ちょっと確認するように聞いておいたのですけれども。
○塩川国務大臣
これは私は、この資料、今の話も、今秘書から資料をもらって初めて見たのですけれども、これは、私がどうも財務省の局長会議で、私自身が復員してきて、昭和二十二年ですね、経験した話をしたのがもとじゃないですかね。どうもそんな感じがしますね。
というのは、預金封鎖と新円切りかえなんというのは、こんなのは皆さん、あなた知らぬでしょう。恐らくそうでしょう。そういうことを私は話をして、不良債権の問題について、実はこういう時代があったよ、こういう考え方があったよということの話をしたのが、それがそうなったのじゃないですかね。こんな古い話を今ごろ出してみても、これが適用されるものじゃありませんが、しかし、歴史を振り返るということは、政治の上で非常に大変な有益なことでもあるので、こういうことを絶えず勉強しておると、やはり財務省になると鋭い勉強をしておるなという感じをいたしますが、よかったら担当者に説明させますから。
○古川委員
これは、塩川大臣の指示でこういう研究をしたんじゃないかということから言っているのですけれども、今のを聞きますと、要は、昔話風にしゃべったらそれを事務方が気をきかせてまとめたという、そんな資料だというふうに認識してよろしいのですか、そうしたら。
○塩川国務大臣
資料とかいうよりも、その当時のことをしっかりと勉強しようという、そういう、あの役所の職員は皆勉強意欲が強いですから、そういうことだと思いますね。私の大臣室の部屋にもそういう資料がありましたので、私、ちょっとぱらぱらとめくってみましたら、非常に詳しくそのいきさつが書いてございまして、非常に参考になったと私は思っております。
○古川委員
平時であれば、そういうふうに非常に参考になったでもいいのですけれども、こういう本みたいなので、まさにそれと同じことがこれから起きるのじゃないかみたいなことを予告しているようなものがあって、それを財務省の人間が書いたんじゃないかというようなうわさまでされている。そういう状況の中で、ちょっと余りにも他人事のような大臣の答弁じゃないかと思うんですね。ここの、前の竹下先生の質問に対するお答えでも、この十年を振り返っての話を聞いても、何となく大臣は他人事のような感じで話をされておる。
ここの本の最後にこんな言葉があるのです。
「破壊」はやってくるかもしれない。でもそれを恐れることはない。むしろ、チャンスと考えよ。
「痛み」も同じ。それは、けっしてムダにはならない。その向こうには復活が待っている。
「明日は明日の風が吹く」これを口にして、リラックスすることも大事。究極のプラス思考。
「あらゆるものはうつろいやすいものである。怠ることなく、精進しなさい」お釈迦さまの最後の言葉。
というのがあるのですけれども、何となく大臣のお話を聞いていると、達観しているというか、諦観しているというか、そんな感じが見えまして、そういうので日本国民全体が巻き込まれて、日本国民全体が、まあそんなXデーが来ても仕方がないみたいなふうに諦観しなくてはいけないような事態になっては困るわけでありますから、ぜひそこは大臣、やはり責任あるお立場におられるわけですから、いや、そんな言った覚え、それで勉強したんじゃないですかなというんじゃなくて、しっかり、どういう背景だったのか、それで、逆に、本当に、こういうことが起こらないような事態に向けて、今我々が直面している事態に向けて毅然とした態度でやるべき政策はとっていただきたいということを最後にお願いして、質問を終わりたいと思います。
どうもありがとうございました。
【全文】
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