ここ数年急増が続いていた銀行の国債投資が、2001年に5年ぶりに購入より売却が多い売り越しに転じた。株価の低迷や時価会計の導入などを要因に、銀行が保有国債の売却に動いたためだ。国債投資の頭打ち傾向が進めば長期金利の上昇要因になり、景気にマイナスになる可能性もある。
日銀によると、都市銀行、地方銀行など国内銀行(銀行勘定)の国債保有残高は、2001年中に1兆7000億円減り、同年末に66兆9000億円となった。売り越しは1996年(1200億円減少)以来。
銀行の国債保有残高は、景気低迷で企業などへの貸出が伸び悩んだことを背景に2001年春までは急増していた。98年末に31兆円だった残高は、ピーク時の2001年4月末に80兆円近くに達した。国債発行残高の約2割を銀行が保有、長期金利が低位安定する原因となった。