年金資金運用基金が行っている年金住宅融資で890億円が回収不能になっている問題で、厚生労働省と同基金は8日までに、回収不能金の返済保証契約を結んでいる約300の金融機関から資金拠出を受け、全額を回収することを柱とした新処理策をまとめた。都銀6行とは大筋で合意しており、週明けから地銀、信金など残りの関係金融機関と最終調整に入る。この線で決着すれば、年金財政への影響は当面回避される。
年金住宅融資は、住宅を取得したい年金加入者に対し、全国51の公益法人を通じて同基金が融資する制度。金融機関は、公益法人が基金へ返済することを保証しているが、企業のリストラなどの影響で利用者が返済できず、890億円もが回収不能になった。処理策は〈1〉890億円分の拠出金の受け皿組織を新設し、公益法人を経由して基金に返済する〈2〉年金住宅融資のうち、公益法人経由の2兆3000億円の正常債権の一部について、金融機関が直接、公益法人から回収できる――というもの。
同省と基金は当初、契約に基づき、金融機関に対し焦げ付き分を強制的に弁済するよう要請する方針だった。しかし、今後も焦げ付く額が膨らむ可能性があり、金融機関側が新たな処理策に応じる姿勢に転じたものと見られる。
(3月9日03:02)