預金の払戻保証額を元本1000万円と利息に限定するペイオフ解禁を来月に控え、与党内で制度上の解禁は予定通り行うものの、預金保険法102条に定められた金融危機時の全額保護特例を中小金融機関も含めて柔軟に発動することにより「ペイオフを実質的に見送るべきだ」(閣僚経験者)との声が高まっている。ペイオフ再延期論が小泉純一郎首相の強い否定で下火となったための代案。金融不安をぬぐえない中での解禁が「連鎖的な取り付け騒ぎを誘発する」との危機感が背景にあり、地方自治体の公金預金などに損害が出た場合の対応策が不明確なことも「実質見送り論」を後押ししている。ただ柳沢伯夫金融担当相は「全額保護は国、地域経済の信用秩序に極めて重大な支障が生じる時に適用する」とかたくなで、政府、与党間の綱引きが続きそうだ。