ダイエーが27日発表した新再建計画は、金融庁の要請で急きょ金融支援額と閉鎖店舗数を積み増した修正策となった。それでも、結局、主力3行の体力の範囲内での再建策に過ぎず、抜本的な収益改善計画からはほど遠いと言える。逆に行政介入で再建計画に「官製」色が強まった分、計画を遂行するダイエーの当事者能力に疑問を抱かせる結果になりかねない。
金融庁がダイエーと主力3行に再建計画の大幅修正を指示したのは、1月に発表した計画の骨子が市場で評価されなかったためだ。1000億円の支援増額で市場に広がった「ダイエー問題の抜本解決は先送り」との印象を払しょくする狙いがあった。
しかし、「金融支援をするのは主力3行だけ」という枠組みが変わったわけではなく、再建計画の修正にはおのずと限界があった。
ダイエーは赤字店の閉鎖数を骨子で示した50店から10店増やし60店舗とするが、これでは、赤字要因を完全に取り除くことはできない。実際の不採算店舗は01年8月中間決算段階で、子会社も含め96店舗あった。
ダイエーは、「黒字回復の見込みのある店まで、つぶす必要はない」(高木邦夫社長)という。しかし、違約金など1店舗当たりの閉鎖損は多くて数十億円かかり、主力3行の金融支援だけでは、リストラ原資をねん出し切れなかった側面もある。
より踏み込んだ再建計画を作るには、全国銀行協会や経団連などがまとめた「私的整理のガイドライン」に沿って主力3行だけでなく、準主力19行や下位行も含めた債権放棄を実施する選択肢もあった。しかし、新生銀行のように債権放棄どころか現状の融資残高の圧縮を急ぐ動きもあり、全行の合意は到底望めなかった。
「行政主導」でリストラ強化を決めたダイエーだが、市場はその限界、中途半端さを見透かしており、金融庁が期待する評価が得られるかどうかは微妙だ。逆に、新再建計画の主要部分をわずか1カ月余りで修正したことで、かえって今回の計画でどこまでリストラが徹底されるか疑問を抱かせる結果になった。 【三島健二】
[毎日新聞2月27日] ( 2002-02-27-20:55 )