雪印乳業の別海工場(北海道別海町)が業務用冷凍バターの品質保持期限を書き換えて再利用していたことが分かり、北海道庁は22日までに「好ましくない行為」と指摘した。昨年3月から今年1月までに約2300トン分を書き換えていた。うち約760トンは再利用されていた。道庁は「違法な行為ではないが、集団食中毒事件で信頼を失った会社として、ふさわしくない行為」とする。
道保健福祉部によると、書き換えていたのは20キロ詰め無塩冷凍バターで、自社内で加工乳やアイスクリームの原料に使っていたという。
同社は全国から品質保持期限(1年半)の切れたバターを同工場に運び、包装し直して、期限を1年間延長したラベルを張っていた。00年6月の集団食中毒事件で、業務用冷凍バターの出荷が落ち込んだことへの対策とみられるという。
雪印食品の牛肉偽装事件が発覚した直後の1月末に、雪印乳業側から「バターの品質保持期限を延長したい。違法な行為ではないが、誤解を招きたくない」との相談があり、書き換えが分かった。
同部は「品質保持期限の書き換えについて規定する法令はない。だが製品が安全だということを科学的、合理的に説明するデータが示されていない。企業の責任で期限を設定したのに、それを書き換えること自体、モラルが問われる」として、口頭で中止を促したという。同工場に持ち込まれたバターの品質検査をしたが、食品衛生上の問題はなかったという。
品質保持期限は、食品衛生法にもとづく、厚生省令の改正で97年4月に実施。期限の設定や変更について、届け出の義務はない。同部によると、消費者に対する安全性の目安として期限が設けられ、「書き換えたバターは5〜7年は品質が変わらない」との説明を同社から受けているという。
同工場の岩沢伸次工場長は「書き換えは問題がないと思ったが、いまにして考えると誤解を招きやすい行為だということも否定できない」と話している。
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<品質保持期限> 食品の日付表示は97年4月から、食品衛生法とJAS法の改正で従来の製造年月日の表示から、「いつまで持つか」という期限表示が義務づけられた。期限は企業の自主責任で設定する。期限が製造から3カ月以内のハムやソーセージなどは、品質保持期限(賞味期限)の年月日まで表示しなければならないが、塩や砂糖など数年間保存しても変化の少ない食品は、表示が省略できる。(